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韓国自動車産業…「内憂外患」で生態系に危機

内需の冷え込みと輸出低迷 

  • 韓国自動車産業…「内憂外患」で生態系に危機
  • 世界の自動車生産台数の推移


「コロナ19」が世界的に急激に拡散したことで、世界の自動車産業の生態系が揺れている。米国に続いて欧州とアジア地域の完成車工場が生産を中断するなかで、内需心理の萎縮で販売実績が急減するという懸念が出ている。「生産中止 - 販売不振 - 景気低迷」という最悪の悪循環を避けるためには、政府の対策が急がれるという声が相次ぐ。

現代自動車グループは23日、インド現地政府の方針にしたがってこの日から31日まで現代自動車チェンナイ工場の稼動を停止し、起亜自動車のアンドラ・プラデーシュ工場の閉鎖を検討しているとした。

先だって米国と欧州内の工場が止まったことに続いてインドの工場までが生産に支障をきたし、現代自動車グループの海外販売戦略は修正が避けられないと思われる。現代自動車グループは米国、中国、チェコ、スロバキア、トルコ、ロシア、メキシコなど20あまりの工場で、一年に394万台規模の完成車を販売している。このうちトルコとロシア、メキシコ、ブラジル、ベトナムを除く全ての海外工場がコロナ19によって打撃を受けたが、これらの工場の昨年の販売台数は海外販売実績全体の75%に達している。最近、トルコとベトナムそして南米地域でもコロナ19が拡散していることを勘案すれば、シャットダウンに突入する工場はさらに増える見通しだ。

現代自動車は有価証券市場でも、時価総額の上位10位圏から押し出される危機に瀕している。この日の韓国取引所によると、現代自動車の時価総額は14兆7217億ウォンで、サムスンSDI(15兆250億ウォン)に押されて10位に落ちた。現代自動車の株価は20日に場中で6万5000ウォンまで落ち、最安値を記録した。去る6日の終値(11万500ウォン)と比較すると半分のレベルだ。今月に入って蒸発した時価総額だけでも10兆ウォンに達する。

現代自動車グループの関係者は、「部品供給が安定化段階に入った国内工場を中心に、特別勤務の再開などでパリセードとGV80などの人気車種の生産量を補うことに総力を傾ける計画」だとし、「圏域別のラインナップの最適化、パワートレインの効率化に速度を加えて煩雑さを低減し、アーキテクチャー基盤の設計革新などで材料費と投資額を大幅に削減する方針」だと明らかにした。

自動車1台に2万個ほどの部品が入るだけに、部品業界でもコロナ19の余波は尋常でない。最近、国内2位の自動車部品メーカーのマンド社は全生産職を対象に希望退職を実施し、その後も遊休人材があれば循環休職や配置転換を推進するという案件を労組に伝達した。昨年の国内自動車の生産量は400万台以下に落ちたし、コロナ19事態で輸出の道さえ狭くなるなど、業況不振を考慮した決定だ。

業界ではマンドをはじめとする大型部品メーカーが、相次いで人員・事業構造調整に突入するだろうという観測が出ている。特に経営環境が劣悪な中小部品メーカーは、ヨーロッパやアメリカの完成車工場の「シャットダウン」の余波で深刻な流動性危機が懸念される。業界の関係者は、「2週間以内に部品メーカーの連鎖倒産が始まる可能性がある」と語った。

現代自動車グループだけでなく、世界的な自動車メーカーが相次いで工場の稼動を中断し、自動車産業は「生産の崖」に突き当たる懸念が現実化している。独フォルクスワーゲンはドイツとスペインそしてスロバキアなどヨーロッパ全域で工場の稼働を2~3週間停止し、仏ルノーグループと伊フィアットクライスラーもまた、欧州の主要な工場を閉鎖すると発表した。 2011年の「東日本大震災事態」以後にバックアッププランを用意したことで知られている日本のトヨタ自動車と日産自動車も、欧州や北米工場の稼動をいっせいに停止した。

主要自動車メーカーが相次いでコロナ19で生産に支障をきたしたことで、今年も世界の自動車市場は下り坂を歩く見通しだ。韓国自動車産業協会によると、昨年の世界の自動車生産量は9323万台で、2017年(9891万台)以来で2年連続の下落を記録した。

グローバル市場調査会社のIHSマークイットは、ヨーロッパとアメリカ地域の自動車工場の「シャットダウン」事態で、今年の世界の自動車生産量は昨年よりも144万台以上減少するだろうとの見通しを出した。 IHSマークイットは、欧州と北米ではメーカーごとに平均13日と6日ずつ生産に支障をきたし、88万台と48万台ずつ車の生産量が減り、南米もまたコロナ19の予防措置によって8万台以上の生産量減少が避けられないと説明した。

生産の崖だけではない。販売量も内需心理の萎縮の影響で、減少傾向を記録するものと見られる。最近、国際格付け会社のムーディーズは、コロナ19の影響で今年の世界の自動車販売台数が昨年よりも2.5%減少するという見通しを出した。これは0.9%減少するという、従来の予測値よりも1%ポイント以上もかけ離れた数値だ。 LMCオートモーティブもまた、今年の自動車販売台数の見通しを0%から-4.3%に下げた。

しかし、販売の現場で体感される「販売の崖」の強度ははるかに強い。グローバル投資銀行のモルガン・スタンレーは今後3カ月のあいだ、米国内の自動車販売は前年同期比で90%減少することがありうると警告した。

自動車産業の規模と影響力を考慮すれば、政府は急いで対策を出さなければならないという声が世界のあちこちから出ている。最近、米国の自動車メーカーはドナルド・トランプ政権に、米国とメキシコ、カナダの協定(USMCA)の適用を延期して、部品メーカーの資金難を解消ほしいと要求した。

欧州の自動車メーカー協会はまた、1400万人の雇用が危険な状況だとして、欧州連合(EU)と欧州各国は自動車業界に即座に流動性を支援するべきだとした。韓国でも蔚山市を中心に自動車部品業界の連鎖倒産を防ぐために「週52時間勤務制限猶予」を推進したが、一部の地方自治団体の反対で失敗した。
  • 毎日経済_ウ・ヂェユン記者/パク・ユング記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-03-23 19:43:12




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