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【韓国コラム】「教会のお兄さん」はどこに行ったのか


「教会のお兄さん」
韓国語の辞書に載っている言葉だ。 「比較的端正で優しい男性を比喩的に表現する言葉」という説明が書いてある。
品行方正な若い男なら教会に通ったり、教会に通ってるような感じがするなんて、キリスト教に対するこれ以上の賛辞があるだろうか。
過去、そういう時代があった。
キリスト教信者でなくても教会に通えば善良な人だろう、漠然とそんな考えを韓国社会が共有したことがあった。
教会のお兄さんは、韓国キリスト教のよい象徴の一つだった。白い肌に外見は格好よく誠実で礼儀正しい、ギターの演奏はもちろん、歌も上手で清雅な声。女性には羨望の対象で、男性には嫉妬される対象だった。

娘に交際中の男性は誰かと問い詰めて「教会のお兄さん」と言わると、「あまり遅くに帰ってこないでね」という言葉で済ませるほど、キリスト教信者たちの善良なイメージが強かったこともある。

「 自分を愛するようにあなたの隣人を愛しなさい」というイエスの教えを完全に実践することはできなくても、真似をしようと努力する信者が多かった時代の話だ。

そんな善良なイメージは一体どこに行ってしまったのだろうか?
韓国人にとってキリスト教は、いつの間にか肯定的なイメージの代わりに否定的なイメージで塗り固められてしまった。

今年6月初め、エムブレイントレンドモニターが全国の成人男女1000人を対象に実施したアンケート調査の結果は、キリスト教徒が見るには衝撃的だ。


キリスト教(プロテスタント)、カトリック、仏教など韓国で信者の多い3大宗教のうち、特にキリスト教だけが否定的なイメージでいっぱいになっているからだ。
仏教やカトリック信者に対するイメージで最も多かったのは「穏やか」(40.9%、34.1%)で最も多かった反面、プロテスタント信者を規定するイメージで最も多くの割合を占めたのは「距離を置きたい」ということだった。「二重的な」(30.3%)、「詐欺師のような」(29.1%)というイメージまで加わっている。

おそらくキリスト教が韓国社会に伝播されて以来、このように否定的なイメージで塗り固められたのは初めてのことだろう。

しかし、これまで教会や教会指導者の各種スキャンダルが公開され、信者たちが物神崇拝にとらわれるあまり、隣人を愛する代わりに自分の利益ばかりを求める姿を見せてきただけに、当然の現象かもしれない。新型コロナウイルスはキリスト教の否定的なイメージを極大化させるきっかけになった。

キリスト教の否定的なイメージを教団の問題としてだけ考えることができれば、韓国社会に及ぼす影響はそれほど大きくないかもしれないだろう。しかし、状況はそう簡単ではない。政治、社会に及ぼすキリスト教の影響が依然として大きいからだ。

同じアンケート調査で回答者の半分以上(54%)が宗教の社会的影響力が過去より大きくなったということに同意した。

キリスト教徒の数が多い分、いくら否定的なイメージが強くても、影響力は依然として威力がある。 一時1000万から1200万人に達したキリスト教人口が急減したとはいえ、依然として900万人に達している。韓国社会がキリスト教に背を向けて排斥すれば、彼ら同士の結束力はさらに強化され、強硬派の声がキリスト教を代弁するようになるだろう。そして韓国社会の葛藤はさらに増幅するはずだ。

キリスト教の否定的なイメージの改善が、キリスト教内部の役割にとどまらず、韓国社会が担う問題である理由でもある。
  • Lim, Chul
  • 入力 2020-09-11 00:00:00




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