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【韓国コラム】旧正月の朝, 台所の代わりにスケートリンクに行った嫁


韓国人女性たちの嫁いびりが激しかった1970年代、旧正月を迎え27歳の嫁が地方にある夫の実家を訪れた。

夫は次男だったが義父は長孫(長男の長男)だったそうなので親戚がかなり多かったようだ。

旧正月の朝、早く目を覚ました嫁は姑と義兄嫁が働く台所ではなく家の中のあちこちを歩き回った。初めての夫の実家なので探索作業が必要だと感じたのかもしれない。そして夫が幼い頃使っていたフィギュアスケートを見つけた。履いてみたら足にぴったり合ったそうだ。

嫁は嬉しさのあまり歓声を上げるところだった。代わりにスケートを持って家の外へ出た。
「どこでスケートをしようかしら」
これだけ考えていた。町の子どもたちに会ってすぐに聞いてみた。
「みんな、スケートはどこでするの?」
「パムコルに行けばいいです」
「そこはどこなの?」
子どもたちは返事の代わりに彼女の手を取ってパムコルへ連れて行った。
凍りついた田ゼリに広がるスケート場の氷質はソウルのスケート場に劣っていなかった。
嫁は磨き上げた腕を思う存分発揮した。
キム・ヨナほどの腕前ではなかったが町の子どもたちを感嘆させるには十分だった。

子どもたちの拍手を受けながら嫁は意気揚々と夫の実家に帰っていった。
こっそりスケートを元々あった場所に置き静かに台所に向かうつもりだったが、足のない言葉は、もう夫の実家の垣根を越えたあとだった。

しかし、家にいた年配の方々は家の恥をかかせてきた嫁に叱責を一言もしなかったそうだ。明け方から料理に夢中だった姑や義兄嫁も叱ることなく旧正月の朝が過ぎたそうだ。みんな、無口な家でぺちゃくちゃとしゃべる嫁が可愛いのか、義父はそばにいることを願ったそうだ。

ポッドキャストで紹介されたある嫁の旧正月の朝の風景だ。

祭祀の料理を作るために名節になると、いや旧正月を半月後に控えてくるだけでも頭がずきずきするという慢性的な名節症候群とは程遠い話だ。

保守的な地方で有名な夫の実家の嫁が経験する風景とはかけ離れた話だ。

無論、世間知らずな次男の嫁なので黙って家事をする長男の嫁にしてみれば憎らしくつねってやりたい義弟嫁だっただろう。大変なこともせず義父の隣でしゃべりながら暮らす義弟嫁は見たくなかっただろう。

それでも姑も義兄嫁も「出てきて働きなさい」と叱らなかったのは、何か理由があったのではないだろうか。例えば義父など集まった年配の方々が世間知らずな嫁の愛嬌(?)に夢中になり、普段の厳しい態度を和らげたり、あれこれ小言を言わなくて幸いだと感じたのかもしれない。無口だった家に笑いの花を贈ったので世間知らずな嫁が自分の仕事をしていると、そのように考えたのだろう。

もしそう思ったなら旧正月のたびにやってくるという嫁姑問題は、その家庭ではなかなか見つらないだろう。

新型コロナウイルスで実家や妻の実家にも行きづらくなった2021年の旧正月、今年は嫁姑問題、婿姑問題の話が出てこないでほしいと思う。世間知らずな行動は可愛く見てあげ大変な仕事をする人たちの苦情に感謝し難しい仕事を快く引き受ければ葛藤の芽(原因)が少しは減るだろう。

韓国人の暮らしを危うくさせた新型コロナウイルスが名節症候群でもなくしてほしいと感じる。
  • Lim, Chul
  • 入力 2021-02-11 00:00:00




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