A. | 公園のベンチに座って、飼い主と一緒に散歩をしているペットを見てみると、韓国の在来犬はあまりいないです。 いや、一日中眺めてみても、一匹もいませんでした。 考えてみれば、韓国で公認された在来犬は種類が少ないです。珍島犬(チンドッケ)、サップサル犬、豊山犬(プンサンケ)、トンギョンイ(慶州犬)、済州犬の五種類だけです。この他に、プルケとコリアンマスチフが在来犬という主張がありますが、まだ公認されていません。 韓国の在来犬の特徴は、品種改良や育種など人の手が加えられなかった自然状態の犬種だということです。韓国の犬は改良されたことがほとんどありません。軍馬を除けば改良する必要があまりなかったからです。犬たちは主人が作ってくれるご飯を食べて外で遊び夜になると家に帰ってきて泥棒から家を守りました。飼い主がご飯を与えなかったり、少しだけ与えれば隣の犬の餌を盗み、ネズミやウサギを捕まえて食事を済ませました。交尾相手も自分が勝手に見つけました。前の家の犬、後ろの家の犬を選ばず、恋に落ちれば本能を発揮しました。ある日、家で飼っていた雌犬のお腹が出てくる光景はよくあることでした。 そして、伏日(ポンナル)が来たら~~~。韓国の犬たちは気の毒な状況に陥ってました。 最近になって珍島犬とサップサル犬に若干の改良が加えられましたが、家で簡単に飼うためではなく、希少種を復元させるための目的でした。 朝鮮時代の高官がペットとして好んで飼っていたバルバリ*は、すでに絶滅しました。 *「ジャパニーズ・チン」の祖先とも言います。 珍島犬とサップサル犬の未来も、明るくはありません。住みやすい都市はマルチーズ、チワワ、ゴールデンレトリバーなど外国の犬にすべて譲って、田舎の家の庭に縛られて「家を守る」身に転落した状態です。しかし、天然記念物に指定され、血統保存事業が進行中なので、バルバリのように絶滅する危険はなさそうです。 今日は、まず韓国の代表的な犬、珍島犬について話してみましょう。 珍島犬も前述したとおり、半分放置状態で飼育されましたが、島という孤立した場所のせいで、血統が維持されました。 珍島犬が天然記念物に指定された時期は1938年。動物学の権威者である京城帝国大学の森教授が半月間、珍島に滞在しながら研究した結果、この島の在来犬が純粋な東アジア系統の犬だと結論づけ、天然記念物に指定することを総督府に申し立てた結果です。血統が優れているのに、惜しいことに食用にだけ使われていましたから、一刻も早く助けようとしたのでしょう。 だから、今日の珍島犬たちは森教授の恩を一時も忘れてはいけません。 森教授が明らかにした珍島犬の特性をいくつか紹介します。 -潔癖性が強く、家や犬小屋で糞をせずに必ず外に出て糞をする。 -聴覚が敏感で家中の足音を区別する。 -嗅覚が優れていて猫のように、ねずみをよく捕まえる。 -飼い主の家族にはよく従うが、他の人にはなかなかなつかない。 -服従心が強く、遠く離れていても飼い主を捜して帰ってくる。 -戦う時は背中の毛を逆立てて勇敢に飛びかかる。 珍島犬が森教授以外に恩恵を受けた人はサムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長です。 1968年、珍島に行った李会長は2泊3日をかけて優秀な犬30頭を集めて交配させて、オス一匹とメス5頭を英国に送って飼育する功を立てた末、2005年、英国のケンネルクラブから純血種の公認を受けて、世界ペット連盟でも公認犬種として認定を受けました。 血統が良くて、確かに長所がありますが、ペットとして飼うには?という疑問が伴います。 ゴールデンレトリバーとは違い、珍島犬は決して社交的な性格を持つことが難しいからです。飼い主には忠誠を尽くしますが、家に遊びに来た飼い主の友達には歯を突きつけます。 攻撃的な野性の性格も残っています。放し飼いにすると虫やネズミ、ウサギはもちろん、キバノロ、ノロジカ、ハト、キジ、野良猫、毒蛇まで捕まえます。田舎で珍島犬を飼っていて、隣の養鶏場を襲って45万ウォンを弁償したという人もいます。 以前、朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が大統領府で珍島犬を飼っていたのですが、警護室長が噛まれそうになったり、付属室に勤めていた女性職員は、お尻を噛まれたそうです。警護室長や付属室の職員は毎日接する人なのに、この犬は大統領以外は全員噛んでもいい人だと思っていたようです。 結局、青瓦台(チョンワデ、大統領府)に滞在できず、新堂洞(シンダンドン)の大統領の私邸に居場所を移したそうです。 このように荒い気性が珍島犬をペットのリストから外した理由です。
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