A. | 犯罪事件を扱った映画やドラマでは、些細な手がかりから証拠を探し出す先端科学、捜査官の鋭い推理、粘り強く動き回って真相を究明します。しかし、このすべては発見された遺体があるという前提の下で行われます。再開発の過程で、土地を掘り起こし古い遺骨が発見されてから捜査が始まるという話です 遺体がなければ? 事件もありません。 死んだ人は、そのように忘れられてしまうのです。懐かしがっていた家族たちも「どこかで幸せに暮らしているんだろう」と漠然と期待するだけです。 誰も知らない殺人。 映画『暗数殺人』は、そのような事件(?)をモチーフにした映画です。 刑事キム・ヒョンミン(キム・ユンソク)が黒板に書いた名前も殺人者の自白にすぎず、実際に殺害された人なのかは不明です。 犯人はどうしてこんな自白をしたのでしょうか? 自分に容疑がかけられた事件で捜査官が何も証拠を見つけられずに無罪判決を受けることにより、証拠があってばれてしまった事件でも「証拠が捏造された」「別の事件のように刑事や検事が誤って判断した」という状況を仕立て上げて自分に有利な局面を作るためです。 映画『暗数事件』実話を元に制作されました。ただ、映画のように、1人が全部犯したわけではなく、いくつかの事件を絡み合わせて脚色しました。映画では恋人を殺害した容疑で逮捕された犯人が追加犯罪を自白してストーリーが続きますが、実際の事件は釜山(プサン)の居酒屋で働いていた女性従業員が殺害された事件です。 映画に道端の人をナイフで刺して殺し、遺体を燃やした事件も実際に起きたことです。実際の被害者は、司法試験を準備していた青年でした。被害者の妹は映画の予告編を見た後、ショックを受けて上映半月前に上映禁止仮処分申請をしました。 遺族に事前同意も得ずに映画を制作したという問題で、『暗数殺人』は有名になりました。 Naverリアルタイム検索ランキングが大きく上がって1位に上がったりもしました。 制作陣は心から謝罪し遺族はこれを受け入れたため、訴訟を取り下げました。ひょっとしたら妹がキム・ユンソクのファンだったのかもしれませんね。事件に関わった別の遺族は、「誰も目を向けていなかった事件に注目し、真実を突き止めた刑事を応援する」という感想を述べたりしました。 映画と実際の事件が異なる点もあります。 キム・ヒョンミンのモチーフとなった釜山の捜査官は、あるメディアとのインタビューで「殺人犯の供述を聞くために金銭を与えれば職権乱用に当たる。実際の事件でも、犯人が捕まるやいなや金銭取引を提案してきたが断った」と明らかにしました。 |