A. | 事務所の近くにある銭湯に行ったら、お金をもらう所に座っていたマスクをつけたおばさんが体温計を突き付けてきました。 口元は見えませんが少し恥ずかしそうな目で、自分も仕方なく、こんなことをしているという話を伝えてくれました。 何度ですか? 35.9度です。 少し低いですね。 そうですね。 何度以上だったら入れませんか? 37.5度です。 体温37.5度が銭湯に入る基準です。 先日は、この基準で入れるかどうかを調べようと体温を測ろうとした銭湯の職員を殴り、警察に捕まった男もいました。 「僕を新型コロナウイルスの感染者かと疑っているのか?」 一言で不快だったということです。 通報を受けて出動した警察はまず体温から測ったそうです。 体温計に表示された目盛は36.9度だったそうです。少し微熱?それで怒ったんでしょうか? それでもかまいません。ピンク色の文字ではありませんから。もちろん、罪のない職員に暴力を振るったので暴行罪を免れることはできませんでした。 体温が37.5度の場合は、ホテル、役所、病院、公演場など各種施設の出入り基準になってしまいました。 昼食を食べに外に出た公務員たちは体温を測った後、席につけるほどです。
日本では一時、2~4日間以上37.5度以上の高熱が続いた場合、新型コロナウイルスの診断検査を受けるようにしていました。 ところで、なぜよりによって37.5度が基準になったのでしょうか? 人の正常な体温は36.5度のはずなのに、なぜ37度、38度ではなく37.5度に決めたのでしょうか? 人によって正常な体温は少し違います。熱が高く、隣に座っているだけで暖かくなる人もいれば、冷蔵庫の役を買って出る人もいます。 それでも11歳を過ぎれば37.5度までを正常体温と見るというのが医師の意見です。 問診をする患者さんの熱を測ってみて38度を超えたら、おそらく医師は咳払いをしてマスクをし直します。そして、それとなく聞くでしょう。 「外国に行ってこられましたか?」 身体の部位によって体温に少し差があります。肛門の内側に体温計を入れて測る直腸体温が最も正確な体温ですが、36.6~37.9度までが正常範囲に含まれます。まず、ピンクの文字のボーダーラインである37.5度を超えました。 だからと言ってこれを基準にするわけにはいきません。 出入りする人ごとにズボンを下ろせ、スカートを上げろとは言えませんから。 耳やわきの体温の正常範囲は35.7~37.5度です。これも不特定多数の人を対象に計るのは難しいです。おでこや手の甲が適当でしょうが、そこは口腔体温に似ています。そして、口腔体温を基準とした時に37.5度を超えると「熱が少しありますね」と診断するのです。 もう1つ、感染症の場合、臨床的に37.5度を発熱基準にしています。個人によっては、38度を超えても全然熱が出ないという人もいるでしょう。しかし、健康な人の場合、体温が37.5度以上に上がることは非常に稀なので、これを発熱基準にしたのです。 それでは、額や手首部位の体温を検査する非接触式の体温計は正確でしょうか? 手首に体温計を当てましたが、汗をかいた場合は低く測定されますね。 新型コロナウイルスの影響で最近熱が出ているのか、よく額に手を当てる人が少なくないでしょう。 しかし、たとえ熱が出ても自分の手のひらで額を触った場合、どれくらい熱が出ているのか判断がつかなくなります。手のひらにも熱があるからです。だから、どうせ熱を測るなら、手のひらではなく手の甲で測ったほうがいいです。 ちなみに、感染の種類によって熱は異なるパターンを見せるそうです。風邪や肺炎などになると熱が上がったり下がったりしますが、新型コロナウイルスも同じ症状です。腸チフスや髄膜炎のような細菌性疾患は、熱が徐々に上昇して一日中持続し、マラリアになると1日2日周期で上下します。病院に入院したら看護師が出入りしながら随時体温を測るのもパターンを確認するためでしょう。 |