A. | ポンチャックとトロットは同じ言葉ではありますが、少し違った意味も持っています。 Naver辞書などでポンチャックを検索すると「トロット」という項目が飛び出してきますから同じ言葉と言えるでしょう。 しかし、トロット歌手に聞くならトロットとポンチャックを区別するはずです。 トロットを卑下するポンチャクという言葉は、1970年代に生まれた言葉です。ポンチャク、ポンチャク、ポンチャクチャ…。コッキ(トロット唱法)、高音、休まずに合いの手を打つ上、歌詞は少し下品な内容だと考えていました。 だから、「トロット歌手」たちが「ポンチャク歌手」として扱われるのを喜ぶわけがないです。 トロットは多様に分化し始めました。 トロットにロック、ダンスミュージック、バラードを組み合わせて新しい曲を作り出しました。 トロットが様々な形態の下位ジャンルを持つようになったのです。 1930年代、初めて登場した当時のオールド・トロット、韓国の大衆音楽を総なめにした1960年代当時のオールド・トロットは死蔵された状態です。 オールド・トロットの中には哀愁を感情的に表現した曲がかなり多いですが、こうした歌を別にまとめて「エレジー・トロット」に区分したりもします。
「家王」と称えられたチョー・ヨンピルは、昔ながらの雰囲気を完全に除く前の1980年代までトロット歌手でした。しかし、以前の先輩歌手たちが歌っていた歌とははっきり違っていました。彼はトロットに黒人音楽を接ぎ合わせて曲を作りました。 12/8拍子ブルースリズムを主に使うチョー・ヨンピルのトロットを「ブルース・トロット」に区分します。(下のYouTubeからチョー・ヨンピルのブルース・トロット『大田ブルース』が鑑賞できます。) 25歳で生涯を閉じたシンガーソングライターのユ・ジェハの影響でバラード時代が幕を開けましたが、トロットにもバラードのゆるくて叙情的なスタイルが合わさったのです。憂鬱で悲しい物語を盛り込んだ歌も「ポンチャク、ポンチャク」と楽しくお尻を揺さぶる要素が消えたわけです。 こんな音楽を「バラード・トロット」と称することもありますが、実際の歌を聞くとこれがトロットなのか、正統ポップ音楽なのか区別するのが非常に難しいです。 これに比べて強烈なドラムとギターリフなど、ロック音楽の要素を加味して作った「ロック・トロット」は、確かに伝統的なトロットとは異なる印象を与えます。1980年代を風靡したハーフ歌手、ユ・スイルの曲『恍惚の告白』をご覧ください。 2000年代初めにはダンス歌謡とK-POPの影響を受けた「ダンストロット」がトロットの命脈を受け継いでいます。チャン・ユンジョン、パク・ヒョンビン、ホン・ジニョン、キム・ヨンジャなどがダンストロットを代表する歌手たちです。ダンストロットは、ダンス曲なのかトロットなのか区別するのが非常に難しいです。結局はボーカルの歌い方でトロットの可否を判断するようになります。 高速道路のサービスエリアなどで売っているCDに入っている曲がポンチャクです。 一時、トロットの別名だったポンチャクは、トロットの下位ジャンルの中で最も軽く見られているわけです。 |