A. | Naver百科事典で「ポリクルビ(麦干しイシモチ)」を検索すると、このような説明が出てきます。 1年以上、海風で乾燥させたクルビ(干しイシモチ)を壷に入れて麦を詰めた後、熟成させたクルビ。麦の中に入れ射て保管させたので生じた名前です。 この説明だけ読んだ人は多分こう思うでしょう。「ポリクルビがクルビより高いだろう」 それで価格を検索してみました。 ついでにクルビを作るイシモチも見てみましょう。 済州(チェジュ)で釣ったイシモチの値段が5匹28,500ウォン、Naverショッピングに上って来た値段です。 何か変ですよね。 イシモチを海風に乾燥させるのに苦労したことを考慮すればクルビの値段がイシモチより高いことは理解できます。ところが、なぜクルビを作って麦に熟成させたポリクルビがイシモチよりかなり安値なのかは理解できません。 そこで商品説明を詳しく読んでみると違いが分かりました。 クルビは「韓国産イシモチ*に韓国産天日塩を使用した」という部分があり、ポリクルビは中国産キグチだという説明がありました。 * 2020年1月、中国産のイシモチを全南(チョンナム)霊光(ヨングァン)で乾燥させた後、ヨングァンクルビと偽って販売したグループが詐欺の疑いで逮捕されたことがあります。 イシモチを乾燥させたクルビ、キグチを乾燥させたポリクルビ*。 いとこのようなイシモチとキグチの待遇は韓国で全然違います。キグチは偽物のイシモチとして扱われるほどです。 ** 上記の説明を参照すれば正確な表現ではありません。 イシモチはせいぜい30センチほどで、市場にたくさん出回るのは13~20センチですが、キグチは50センチまで成長し、30センチのものが主に市場に出されます。体が大きいほど肉も多く、水分も豊富で中国や日本ではキグチは人気だといいますが、韓国ではそうではありません。 クルビとポリクルビの違いについて大体分かりましたね。 では、韓国人はいつからイシモチを干して食べ始めたのでしょうか? クルビという言葉の由来から時期を知ることができます。 高麗中期の権勢家であるイ・ジャギョム(李資謙)が、「十八子為王説」を広め、乱を起こそうとしたことが発覚し、法聖浦に島流しをしたのです。そこで塩漬けにして干したイシモチを食べて、その味に惚れてしまいます。イ・ジャギョムは王にも味わってもらおうと進上しながら、罪を減免してほしいのではなく、ただ民の道理を尽くすことだとして「進上しても屈(クル)するわけではない」と書いて送ったそうです。ここから「クルビ(屈非)」という言葉が出来たそうです。このため、現地ではかなり昔からイシモチを塩漬けにして海風に乾燥させてきたことが分かります。 とにかくクルビの値段はとても高いです。 請託禁止法の一部改正で農水産物は10万ウォンまで許可されたそうですが、その程度では大きくて質の良いクルビセットを購入することは難しいでしょう。 韓国で数年間プロ野球選手として活動したドミニカ出身のヘンリー・ソーサ(Henry Sosa)がイシモチの味に魅了され、一度に37匹も食べてしまったことがあるそうですが、一食の食事代がどれぐらいなのか考えてみたら開いた口が塞がらないでしょう。 ちなみに冷蔵技術が発達した最近は塩も少なく冷凍倉庫で一日二日観相させて熟成させる所が多くなりました。それで年寄りたちは「最近のクルビはイシモチでもない」と愚痴をこぼします。 1年以上長く干したイシモチと速成クルビの味を比べると、違いはあります。伝統方式で海風にきちんと乾かしたクルビはタンパク質がアミノ酸に分解されてコクがあります。この味になじむと、クルビを見ただけでつばが出そうになるほどです。 |