A. | 2020年秋、韓国の政界を貫くキーワードは検察です。 検察総長と法務長官の神経戦は連日ニュースに取り上げられ、野党政治家たちが検察総長を擁護する珍しいことが起こっています。 そんな中、検察や警察、いわば権力機関の内部を覗き込むドラマが出ているので世間の関心を引くのは自然なことでしょう。 ドラマ『秘密の森~深い闇の向こうに~』は、最初からNetflixが関与したわけではありません。シーズン1の制作が終わった後、Netflixが版権*を買いました。このドラマをまだ見ていない方ならシーズン1から見ることをお勧めしたいです。 * Netflixを通したドラマはtvNの放送分と少し違いがあります。歌が違ったりTVでは削除された場面が出てきます。作家はドラマのタイトルに『Stranger』を望みましたが、タイトルが曖昧だという意見が支配的なので変えたそうです。ただ、Netflixを通じて海外に放送され英文制作で「Stranger」が使われるようになりました。 シーズン2まで放送されましたが、ここではまずシーズン1(2017.6~7月放送)から紹介します。 ドラマは殺人事件に巻き込まれた検事ファン・シモク(チョ・スンウ)の話です。彼は感情なしにただ冷たい目で世の中を眺めます。法を守るために作った検察が法を最も多く破るアイロニーを見守る視線も冷たいです。 作家イ・スヨンは「外部の環境に左右されない主人公が必要でした。感情が非常に薄い人なら、望むことが少ないのではないか、欲張らないのではないか、こんな思いで感情のないキャラクターを作りました」と明らかにしました。 ファン・シモク検事は、同僚検事のスポンサーから検事の不正情報を提供するという連絡を受け訪ねて行きましたが、スポンサーは刃物で刺されたまま死んだ状態でした。検察組織内部の不正が引き金となった殺人事件と思われてきましたが、次々と事件が起こり真実は迷宮入りすることになります。 犠牲者が増えるほど容疑者のリストも長くなりますし誰でも犯人になれるかもしれません。 検察内部または外部? 冷徹な検事として捜査を進めますが情熱的で温かい心を持った刑事ハン・ヨジン(ペ・ドゥナ)が手伝います。 不正に積もった検察組職とスポンサー検事、自然にニュースに上がっていた特定人物を想起させるドラマです。 しかし、作家は世間のこのような推測を警戒します。検察スポンサー殺人事件をはじめ、いくつかの事件をモチーフにしてはいるものの、特定人物をモデルにしたわけではないというのが作家の主張です。 脚本を書いたイ・スヨンは、このドラマがデビュー作だそうです。梨花(イファ)女子大学中文学科を卒業後、平凡な会社員生活を送り会社を辞めて3年にわたり取材や執筆をしたそうです。図書館に通いながら8回分まで書いたら、放送編成が確定したそうです。 新人作家としては、言葉通り「大ヒット」したわけです。 作家はこれを出演俳優***たちの功績に回します。 「事前制作だったので放送前に仮編集本を見る機会がありました。動画プレイを押した瞬間、私のノートパソコンの中にファン・シモクそのものが動いていて、本当に驚いた記憶がまだ残っています。モニターをしながら見るべきでしたが、チョ・スンウさんの演技に感嘆ばかりしながら見ました。ペ・ドゥナさんが演技したハン・ヨジンは本人が創造した面が私がシナリオに書いたものよりはるかに多かったです。ユ・ジェミョンさんは元々お上手な方だということを知っていましたが、神の一手だと思います。シン・ヘソンさんは優しい顔でヨン・ウンスというキャラクターが持つべき全てのことを表現してくれています。ほかにエキストラの方まで、タクシーの運転手さんやガヨンのお母さん、Sクラブのマネージャーの方まで、番組を見ながら私は感謝さえすればいいんだと思いました」と伝えました。 ***出演俳優たちのチームワークがとてもいいです。会食の場面がインスタライブを通じてファンに紹介されたほどです。ドラマファンの間で「会食の森」という言葉も出回りました。 検察スポンサー殺人事件から始まった捜査は真実を設計した背後へ向かいます。 真実の森で操ってきた背後は果たして誰なのでしょう? これを知るのは視聴者の役目として残しておかなければなりません。ただ16話だけ見れば良いです。 シーズン1は17部作で編成されています。本番に入る前に『秘密の森 ザ・ビギニング』を特別編成しました。 参考までにもう一つ付け加えると、『秘密の森~深い闇の向こうに~』は2018年百想芸術大賞で脚本賞、男優最優秀賞、そして大賞3冠王を獲得しました。 ニューヨークタイムズが選定した2017年国際テレビドラマ「トップ10」に名前を連ね、第1回ソウルアワードでドラマ部門で大賞を受賞したので、一度目を引く作品です。 |