A. | ホテルのレストランやワインバーに行くと、こんな光景が見られます。 とても楽そうに見えます。 なぜ立たせずに寝かせるのでしょうか? ワインは生きているお酒だからです。 フランスのボルドー(Brodeaux)のワインを購入してイギリスと北ヨーロッパに販売して楽しさを十分に享受した17世紀オランダ商人たちの悩みもワインの腐敗でした。どうすればワインを効率的に運送してより大きな利益を得ることができるのか? このようなことを悩んだ末、ワインを蒸留したブランデーも作ることになりました。 ワインは瓶詰め後も熟成が進みます。 コルクを瓶の入口を詰めても*完全に密閉されることはなく極微量の空気が通るからです。 *コルクではなくスクリューキャップで封じても熟成が進むため、ワインを瓶詰めする過程で入っている空気だけでも熟成するという主張もあります。 コルク栓は弾力があり適度な空気が通るためワインを熟成させるのに役立ちます。コルクの下で10~20年かけてゆっくりと熟成しながら若いワインにはない複合的な風味を持ち高値で売られています。 ワインを横に寝かせる理由はコルクのせいです。 立ててみてください。 コルク栓が乾きます。 コルク栓が乾燥すると収縮し硬くなります。さらに、空気も非常によく通るようにします。ワインが熟成するだけでなく酸化してしまいます。 ワインを寝かせて保管する理由はコルク栓が乾かないようにするためです。 話が出たついでにワインの保管方法をいくつか紹介します。 ワイン保管の3要素は温度、湿度、そして光です。 **航空便で直輸入したワインと船で運送されたワインは味に違いがあります。船舶が赤道近くを通る時に熱気で損傷し、港に到着しても通関手続きを踏む間、野積場に放置されている間に味が変質します。 ワインは温度が上がるほど熟成が加速します。温度が高すぎると最初から酸化してお酢同然になってしまうということです。 適度な温度***は摂氏13度。ワインの種類によって最も適した温度が10~15度と若干異なるそうですが、13度であれば全種類のワインを保管する理想的な温度と考えることができます。ワインバーが「55 degree」と言う理由でもあります。(13度 = 55℉) *** 常温に長く放置すればすっぱくなり、冷蔵庫に入れておいたワインの味は非常にまずくなります。 光もとても重要な要素です。強い光を浴びるとワイン中のフェノール性化合物が反応して味が変質します。紫外線のように高いエネルギーにさらされると熟成するのではなく老化します。だから直射日光を避けて暗い所に置かなければなりません。 ここに振動と雑臭もワインを害する要因です。 家の中の臭いのひどいところにワインを置くと、コルク栓から空気とともに匂いが染み込みます。ワインのタンニン成分は熟成過程で長いチェーン形態の結合構造をしており、沈殿物が沈み色素が吸着されて紫色、紅茶色、煉瓦色などを帯びるが、振動が激しいとチェーン構造が形成されないと言います。 ですから、振動の激しい車の後部トランクや普通の冷蔵庫ではワインを置くのに適していないのです。車のトランクに長く入れていたら「おい、車にいいワイン1本があるんだけど持ってくるよ」と言った後、意気揚々と飲んでみては眉をひそめるようになります。 もう大概お分かりでしょう。 高級ワインをもらうたびに、自慢げにリビングの飾り棚に置いたら、その素晴らしい味とは永遠にさよならです。 豆知識としてもう1つ。 ワインを保管する時も大切ですが、提供する時も適した温度が別にあります。勿論ワインの種類によって差があります。だいたい白ワインは低温、赤ワインはそれよりも高い温度が理想的です。下の図を見ると一目で分かります。 |