解説 | ハングル:무전무업 ハングル発音:ムジョンムオプ 意味:スペックを作るお金がなくて就職できない立場を自嘲的に表現する言葉 解説: 無銭無業(ムジョンムオプ)。就職するためにはスペックを積まなければならないが、スペックを作るお金がなくて就職できない立場を自嘲的に表現する言葉だ。 大学、TOEICの成績、語学研修、インターンの経験、公募展の入賞実績など…。就活生に基本条件として通じるスペック5種類セットだ。こんなスペックを備えていなければ書類選考すら難しいだろう。 それだけではない。新型コロナウイルスの影響で非対面業務が増え、IT人材に対する需要が増えると情報処理技能士などのIT関連の資格証も必須のスペックとなっている。 必須スペックではないが、外見も競争力なので肌の管理くらいは受けると有利だ。家庭の経済事情が豊かなら整形手術も辞さず、金がなければ就職市場で淘汰されるしかない状況だ。 実際の調査でもムジョンムオプが確認されている。先日、就職ポータルのジョブコリアが求職者820人を対象にアンケート調査を実施した結果、就職を準備するために月平均44万3768ウォンがかかると集計された。回答者の半分ほど(56.4%)がその費用をまかなうためにアルバイトをするというが、就職の勉強はいつするのだろうか? 就職難、低賃金で自虐する若者の姿は韓国だけに見られるものではない。イタリアをはじめ西ヨーロッパ全域でも似たような様相を見せている。 アントニオ・インコルバイア(Antonio Incorvaia)とアレッサンドロ・リマッサ(Alessadro Rimassa)の自伝的小説『1000ユーロ世代』は就職難に苦しむヨーロッパの青年たちの姿を描いている。 作家はイタリアの名門ミラノ工科大学の建築学科を卒業したが建築事務所でインターンの経歴を積むことができず、10年間正社員として就職できなかったと吐露する。インターンの地位は有力者の子どもたちのものなので自分には決して回ってこなかったという絶望も伝えた。 ムジョンムオプは階層間の谷間を深め、さらに貧富の格差が子孫へと広がるようにする。 |