解説 | ハングル:순애보 ハングル発音:スンエボ 意味:殉愛譜。死まで不滅の愛を記録した文章、または恋人のために命を捨てる愛。 解説:「殉愛譜」の漢字を見ただろう。至高至順の愛を意味する純愛ではなく、命をかけたという意味を持った殉愛だ。 「殉」という字は、殉国、殉教などで見ることができる字だ。祖国と民族、自身の信仰のために命を草芥と同じと考えるように、愛する人のためなら自身の命さえ大したものではないと考える愛、世の中にこんな愛がまたあるだろうか。 殉愛は、純愛に比べてはるかに強度も強いだけでなく、悲壮な面もある。 このような愛を記録した殉愛譜の代表作としては、英国の劇作家シェイクスピア(William Shakespeare)の『ロミオとジュリエット』を挙げられる。 韓国では、1938年に新聞に連載したパク・ゲジュ(朴啓周)の小説『殉愛譜』があることはあるが、男性に片思いをしていた女性の死が自らの選択ではなく、偶発的な事件に巻き込まれたものであるため、殉愛譜という名前に合うには少し疑問に思う。 殉愛譜が必ず小説や戯曲、シナリオ、詩の形態で出てくる必要はない。新聞や雑誌に掲載された記事であっても命をかけた愛なら殉愛譜になるだろう。 ところで、ここで少し躊躇する部分が生じる。結婚していない処女が真心で愛する男性の出世を世話し、出世した恋人に裏切られた場合、悲恋を我慢できずに自殺をしたのなら殉愛譜になるだろうか? 普遍的な韓国人の情緒としては、恋人の甘い汁を吸って食べて出世した奴の裏切り行為をののしっても、自殺した行為を殉愛譜と考えないようだ。 ところが面白いことに去った恋人を忘れられず、長い月日を酒にのめり込んでいる人に友人がこのようなことを言う。 「おい、どんな殉愛譜を書いて倒れたんだ? 世の中にどこにでも散らばっているのが女(男)なのに」 |