解説 | ハングル:매덩 ハングル発音:メドン 意味:魅力の塊、매력(魅力)+덩어리(塊)を短くした言葉。 解説:こう見ても私の愛、ああ見ても私の愛。 『春香伝』(チュニャンジョン)という韓国の古典小説に出てくる文句だ。春香伝は、妓生の娘の春香(チュニャン)と地方の首領の息子夢龍(モンニョン)が恋に落ちた物語だが、夢龍が春香を見つめながら歌った歌だ。 後頭部を見つめるだけでも綺麗でときめく心を告白した歌だ。 目に豆のさやが被されば(韓国のことわざで、恋は盲目、あばたもえくぼと似たような言葉)、すべてが魅力的に見えてしまう。軽くしかめた姿も、拗ねた顔も、失敗をして慌てている姿も、軽く微笑んだりしたものなら、それまでだ。心臓がどきっとするだろう。こういう時は、メドンがシムクン(胸キュン)と一塊に混ざるようだ。 このような文を書いていると子どもの頃に隣に住んでいたお姉さんを思い出す。どれほど綺麗だったかというと、近所の男の子たちはそのお姉さんの目やにもきれいだろうと考ていたほどだった。年齢を重ねたら、そのような感情がこっそりと消えていった。学校に行ったら隣のお姉さんのような綺麗なお姉さんがあちこち目に入ってきたからだろうか。妖術を操る心がいたずらをやめたからだろうか。 メドンは主観的な感情だ。1人で暮らしながら犬を飼う職場の同僚の家に行くと、その犬が吠えまくる。家主があやしても止まらず歯まで剝いてくる。「この子が少し人見知りをするんです」と、申し訳なかったのか家主が言い訳として一言添える。笑いながら言う姿が、客に吠えることすらもかわいく見えているようだ。客にはただただ厄介な1匹の犬であるだけなのに、襲い掛かる気勢を見せたり、尾を下げて隅に逃げたりしても、主人には狂いそうなほどかわいく見えるだなんて。 |