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数字経済 > 企業 > 現代自動車と米アップル、交渉を中断…秘密保持論難で
秘密保持論難と「同床異夢」。 8日に現代自動車グループとアップルの間での自律走行電気自動車(別名「アップルカー」)の共同開発交渉が中断されたのは、大きくは二つの理由のためと分析される。
この日、現代自動車と起亜が共同による再公示を通じて、「アップルと自律走行車開発のための協議を進めない」と明らかにしたことは、交渉が暫定的に中断されて今後に再開することがあるのか、まったく白紙になったのかという2つのシナリオを同時に内包する。
もちろん現代・起亜自動車は「8日の再公示の説明以外に明らかにできる事案はいっさいない」と念を押したが、業界では交渉の霧散に重みを置く。アップルの事情に明るい消息筋は、「アップルは他の企業と交渉を進めるときには、終了するまでそのすべての内容を公開してはいけないというNDA(Non Disclosure Agreement)」式の秘密保持を強調する」とし、「その原則がくずれたと判断したアップルは、現代自動車グループと今後の交渉をこれ以上は進めない可能性が高い」と述べた。
情報技術(IT)業界で最強者のアップルは優れた地位を前面に出し、他の企業との密かに交渉することで有名だ。先月の8日、アップルが現代自動車グループと自律走行電気自動車の開発に関連して交渉するという最初のニュースが伝えられた当時、現代自動車は「アップル」に言及せずに、「多数の企業から協力の要請を受けており、決定したものはない」と公示した。アップルも当時、現代自動車の最初の公示に対してだけは理解する立場だったが、後に現代自動車グループ内の起亜自動車を通じた生産協力説と、2月中旬の正式契約妥結まで報道され、アップルはもはや秘密保持の原則が持続されることは難しいと見たことが伝えられた。
双方の「同床異夢」も影響を及ぼした。先月20日、起亜自動車は公示を通じて「多数の企業と協業を検討しているが、決定されたものはない」と公示した。現代自動車は「協力要請を受けている」と公示した一方で、起亜は「協業を検討している」とさらに具体化した。現代自動車グループの中でも起亜自動車がアップルとの有力な協業対象に浮上したが、テーブルについた双方は考えが大きく異なっていたと把握される。
業界の関係者は、「起亜や現代自動車がアップルカーの生産だけを担当する、事実上の下請け方式を受け入れるはずがないだろう」とし、「しかしアップルは人工知能などのソフトウェアと独自のオペレーティングシステムなど、電装分野のさまざまな高度な技術を現代自動車グループと容易に共有しようとしないので、双方の交渉は継続して難航を続けてきたと聞いている」と語った。アップルは自分の電装分野の技術共有を最小化したままで自律走行電気自動車を作りたい一方で、現代自動車グループは協業時には得るものが無ければという基本原則を打ち出したが、結局お互いに夢見る内容が異なっていたことから交渉は中断されるしかなかったわけだ。
もちろん一部では、協力を提案する立場のアップルが日本の自動車会社など他の自動車メーカーとも交渉する過程で、現代・起亜自動車の扉を再びノックすることはありうるという観測も出ている。今回は交渉が中断されたが、現代自動車グループの本質的な電気自動車に対する競争力は依然として世界完成車業界では上位であり、アップルとしても現代・起亜自動車ほど魅力的な協力対象をさがすのは容易ではないからだ。
現代自動車グループは今年から、電気自動車専用プラットフォームの「E-GMP(Electric-Global Modular Platform)」を通じて新型電気自動車を量産し、電気自動車の核心部品であるバッテリーの開発にも少なからぬノウハウを持っている。 E-GMP基盤の最初の電気自動車である「アイオニック5」の外形を今月中に公開する予定の現代自動車グループは、起亜「CV」とジェネシス「JW」(以上プロジェクト名)などの後続の電気自動車モデルも完成し、今年を電気自動車跳躍の元年にするという目標を掲げた。これは昨年1~9月の時点でテスラ17.5%、フォルクスワーゲングループ12.9%に続き、世界市場シェア7.2%で、電気自動車の分野4位になった現代自動車グループは、今年は電気自動車の販売と輸出を飛躍的に伸ばし、3位のルノー・日産・三菱連合の市場シェア8.2%に追いつくだろうという見通しも出ている。
デリム大学自動車学科のキム・ピルス教授は、「現代自動車グループのように電気自動車専用のプラットフォームを備え、大量生産技術まで保有するところは珍しいので、依然としてアップルと現代自動車グループは相性がよく合う相手」だとし、「アップルの秘密主義と主導権争いなどで、現代自動車グループが再公示を通じていったん関連議論を水面下に下げて、息をひそめる次元のものと見られる」と語った。
自動車研究院のイ・ハング研究委員は、「よしんばアップルだけでなく、世界の自動車業界内の多くの提携交渉でも、セキュリティの維持は重要な原則として定着している」とし、「その約束が再びきちんと守られるという前提の下で、双方が交渉のテーブルに戻ってまた向き合って座る可能性もある」と見通した。