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文ケアの逆説…海外同胞たち「費用負担の少ない韓国で治療」


文在寅(ムン・ジェイン)政府の美容・整形を除くすべての医療費に健康保険を適用する「健康保険保障の強化方針」で、民間保険の居場所がなくなるという批判が提起されているなか、健康保険が新規採用される免疫抗がん剤の使用を制限したことで、治療機会を剥奪された末期がん患者らが反発している。

これに加えて韓国の保障強化が、殺人的なレベルの医療費を負担する海外同胞、特に米国同胞たちが韓国の病院を頻繁に訪れる機会として悪用されるという懸念も高まっている。健康保険の保障強化が逆説を生んでいるわけだ。

先立って保健福祉部は18日、健康保険を適用することにした免疫抗がん剤「キイトルーダー(KEYTRUDA)」と「オプジーポ(Opdivo)」に対する処方を受けることができる医療機関を総合病院以上のクラスに高め、対象も肺がんと黒色腫(皮膚癌の一種)に限定した。

このように、健康保険の適用対象者には大きなメリットだが、今回除外された既存の免疫抗がん剤を使っていた患者は、むしろ治療を受けることができる機会が剥奪されて論難が起きている。胃がん・肝臓がん・大腸がんなどの末期患者は、これまで民間の実損保険を通じて薬代の一部のみを負担し、自宅近所の病院や療養病院などで免疫抗がん剤を非給与として処方されて使用した。

しかし今後は処方を受けるとなれば大病院を利用することになるが、大病院では治療論拠の不足などを理由に、免疫抗がん剤を処方してくれない可能性がある。免疫抗がん剤の処方を受ける別の方法は、臨床試験審査委員会(IRB)が設置されている療養機関で申請を行うが、少なくとも60日から90日が必要だ。免疫抗がん剤で化学療法を続けているがん患者と家族は「政府が治療を受けることができる権利を剥奪した」といって国家人権委員会に陳情を提出した。がん患者と家族らは、「末期がん患者で3~6ヶ月後に死ぬという死刑宣告を受けたが、免疫抗がん剤で1年以上も維持したり、がんが好転した状態だ」とし、「治療効果があり、自費でも得たいという患者の最後の選択を剥奪しないことを望む」と話した。

一方、今回の保障強化対策としてインプラント(人工歯)は来年7月から、65歳以上の高齢者の自己負担額が50%から30%に縮小される。米国は会社員が加入する民間の医療保険会社が5社に達し、個人ごとに保険料が別途策定されるが、かなりの保険料を支払っても診療時に支払う医療費はかなり高い。

歯科医師協会のイ・ジェユン広報理事は、「韓国は保障強化があまりにもうまくいっていて、米国同胞が韓国を訪れて親知らずや虫歯を治療しても、航空券を含めて旅費を除いても残るという話がある」とし「保障強化とともに、健康保険料がもれないようにしなければならないだろう」と話した。

1人部屋の1日入院料は、ソウル峨山病院などの上級総合病院は現在44万~45万5000ウォン台だが、福祉部の保障強化対策で1人部屋の利用を重症呼吸器疾患や出産直後の母親などに制限し、本人負担金は50%程度とする予定だ。この場合、1人部屋の病室料は20万ウォン台前半になると予想される。米国の病院は1人部屋のみを運営しているが、一日の入院料は1500~1600ドル(165万~176万ウォン)で、入院費がこわくて手術してもすぐに退院するのが実情だ。

高価な医療機器である磁気共鳴画像(MRI)撮影装置は、韓国は健康保険が適用されて検査部位によって6万6000~53万ウォン(一般病院)だが、米国では通常2000ドル(約220万ウォン)に達することから利用するには覚悟が必要だ。

海外同胞らは3ヶ月分の健康保険料を支払えば、合法的に国内の病院で治療を受けることができる。また、韓国内の親戚・姻戚の名義で病院を訪れて不法に治療を受けてきたことは公然の事実だが、韓国の病院はこの事実を知っていても見て見ぬふりをすることが多かった。
  • 每日経済 イ・ビョンムン医療専門記者/キム・ヒェスン記者
  • 入力 2017-08-18 20:33:38




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