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[世智園] 貸付業者


  • [世智園] 貸付業者
世界で最も悪名高い高利貸しはシェイクスピアの戯曲『ヴェニスの商人』に出てくるユダヤ人、シャイロックだ。シャイロックは、貿易商アントニオにお金を貸し、期限内に返さない場合は肉1ポンドを受け取ることにするが、裁判で敗れる。徹底的にキリスト教の観点から書かれたこの戯曲でシャイロックは、血も涙もない邪悪な高利貸しとして描かれ、後には裁判官ポーシャによって財産を没収され、耐えきれないほどの侮辱を受ける。しかし、最近では常にユダヤ人を抑圧して迫害している偽悪的なクリスチャンに対して、シャイロックは何の経済的な実益もない肉1ポンドで復讐しようとしたという解釈も出ている。

人類の歴史において、貸付は売春以上に根が深い。5000年前に貨幣が出現する前から、貸付け金の記録があるほどだ。人類の歴史はまた、高利と闘った歴史でもあった。歴史的に見れば、BC 3000~1900年のシュメールの穀物金利は33.33%、銀の金利は20%だった。ローマ法は年12%の利息を認め、11~13世紀のフランスの法定最高金利は33.5%だった。貿易が盛んだった13世紀のイタリア都市国家の金利は5~30%だった。一方、同じ時期、ユダヤ人とロンバルディアの金利は34~266%、英国の金利は12~33.5%だった。

韓国では三国時代に春窮期の春に穀物を貸して収穫期である秋に貸した穀物の50%を加えて受け取るのが一般的だった。 9か月に50%だったのだから、年間では66.67%であるわけだ。高利による弊害が大きくなると、高麗時代には「利子(子)は、元金(母)を超えることができない」という子母停息法を施行し、朝鮮時代にはいくら古い負債でも利息は元金を超えることはできないという一本一利の原則を明文化した。日帝時代に始まり、1990年代まで制度圏の外に存在していた「ヤミ金融」は、2002年の貸付業法の制定を起点に、制度圏の金融として定着したが、初期には年60%を上回る高利と不謹慎な催促で悪名が高かった。

金融が高度に発達した先進国でも、消費者金融はまだ有効な金融形態だ。日本は消費者金融に対して、年15~20%の金利の上限を適用しているが、年20%を超えると契約が無効になり、年108.5%を超えるときは刑事処罰をする。米国の小額の超短期融資である「ペイ・デイ・ローン(pay-day loan)」の金利は通常、年7~30%水準だ。ドイツは年4%台の市中金利の2~3倍を慣例的な金利として認めている。一昨日、韓国の金融委員会が消費者金融の上限金利を年34.9%から29.9%に引き下げることにしたところ、貸付業者の反発が大きかったという。基準金利が年1.5%に落ちたのに、上限金利年29.9%はまだ過度に見える。金利制限のない違法なヤミ金融よりはましだが、紀元前のローマや13世紀の中世に比べても決して低くない金利だ。8794社にも及ぶ貸付業者の数を思い切って減らし、大型化する代わりに上限金利はなるべく大幅に下げてこそ、庶民が息をする空間が広くなると言うものだ。
  • 毎日経済 チェ・ギョンオク論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-06-24 17:14:10




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