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[世智園] 最低賃金と国民儀礼


  • [世智園] 最低賃金と国民儀礼
韓国で2016年の最低賃金を決定する今年の最低賃金委員会は、色々な面でまるでラグビーボールのようだ。最低賃金委員会は、労働者・使用者・公益代表から9人ずつの合計27人で構成されており、今年で28年目を迎えた。これらの委員のうち、半分以上の16人が今年4月に交代した。新しい人物が大挙して迎え入れられ、活力源になると期待されたが現実はそうではない。

まず、新しい委員の資質論争が炎上した。「お前、歳も若い奴が」と労働者側の委員にタメ口と暴言を吐いて物議をかもした使用者側の委員もいた。もっと呆れるようなこともある。労働者側の委員2人と何人かの同席者は初めから国民儀礼(国旗への敬礼と国家斉唱)を拒否する。彼らは国旗への敬礼中、胸に手を置かなかったり、または席にそのまま座っていた。このような態度が俎上に載せられると、彼らは国民儀礼が行われている間、会議場から出て行き、国民儀礼が終わったら戻ってきたりもした。

最低賃金委員会の中立性を維持するために委員会の運営規則には、「非公開の原則」が明示されている。ところが、一部の労働者の代表は、このようなルールを無視して、委員別の発言内容を外部にそのまま公開した。公益委員を圧迫するために、彼らが在職中の大学のキャンパスで教授である委員らの名前を取り上げて、集会を開いた。

委員会の雰囲気が、この様子だから交渉も行われるはずがない。当初、労働者側は時給を1万ウォンへ、今年より79.2%値上げしようと提案した。使用者側は最低賃金を5580ウォンで凍結しようと言った。不合理なほど大きなギャップがある。今年の最低賃金が2014年に比べて7.1%引き上げされた事実を考慮すると、「オアノット」式の協議案だ。先月29日に設定された法定期限を守れなかったのは予定されたことのようなものだった。今月に入って労働者側は8400ウォン、使用者側は5610ウォンに協議案を修正したが、道のりはまだ遠い。

最低賃金は、憲法に基づく代表的な社会保障制度だ。韓国の労働者の15%である260万人が適用を受ける。最低賃金委員会の委員を大統領が委嘱し、会議ごとに国民の税金で20万~25万ウォンずつの手当を支給する理由だ。しかし、国民儀礼を拒否して、運営規則まで違反する人々にこのことを任せているのだから、あきれてしまうばかりだ。
  • 毎日経済 チェ・ギョンソン論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-07-06 19:41:28




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