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[世智園] 教保文庫の読書テーブル


  • [世智園] 教保文庫の読書テーブル
東京住宅街の代官山に位置している「蔦屋書店」は、必見の名物に挙げられる。私たちが考えている伝統的な書店とはかけ離れている。豪華で広々とした店舗、本を読むことができる快適な空間だけでなく、顧客の好みに合わせて本を推薦してもらえるブック・コンシェルジュまで配置されている。アナログ的なこの書店のもう一つの魅力は、文具屋、DVD屋、ギャラリー、カフェ、バーなどが繋がっていて、顧客の文化欲求を満たす点だ。

オフライン書店が危機を迎えている状況で、「蔦屋書店」は開店2年目にして日本の超大型書店「紀伊国屋書店」を押さえ、年間の本の販売1位に上がった。また、立ち遅れた地方図書館の運営代行を引き受け、廃れていく図書館を復活させたこともある。

増田宗昭社長は「本を販売するという考えをやめ、本が読める書斎を提供したら、本が売れた」と秘訣を公開した。オンライン書店が大勢の時代だが、本を読む空間を提供し、生活スタイルを提案したことが役に立った。

韓国の教保文庫も「本を売る書店」から「読む書店」への変身を図っている。最近、光化門店の中心部に長さ11.5メートル、幅1.5~1.8メートル、重量1.6トンの読書テーブルが2つ設置された。5万年前に自然災害により、ニュージーランドの沼に埋もっていたカウリ(Kauri)松で作られたテーブルであり、なんと100人余りが座ることができる。先週、教保文庫に立ち寄って目撃した「22メートルの読書行列」は実に圧巻だった。

この破格的な決断に対して教保文庫側は「単に本を販売することを越えて、本を読んでもらおうという故シン・ヨンホ創立者の哲学を反映したものだ」と説明した。

シン創立者は、営業社員たちに「長い時間、本を立ち読みすることを絶対に制止せず、そのまま放置する」「本をあれこれ出してみるだけで買わなくても睨み付けない」などの指針を与えた。教保文庫は本棚を片側の壁面に配置して椅子やソファなど、400席程度の本を読む場所を作った。もう書店の床に座り込み、本を読んで足がつることは大幅に減少する。

韓国のオフライン書店数は、1994年の5683カ所から2013年の1625カ所へと減少した。しかし、蔦屋と教保文庫は、オンライン書店ができないサービスで勝負すれば成功できるということを見せつけている。書店の変身は無罪だ。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-11-23 17:25:40




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