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パリジャンを魅了する水素タクシー…「3年以内に600台」

  • ■ 「水素電気自動車タクシープロジェクト」仏パリに行ってみる

    △写真= 去る20日(現地時間)、パリのアルマ広場でサドリン・カイザーさんの家族が現代自動車製の水素電気自動車「ツーソンix35」のタクシーに乗っている。現地の電気タクシー会社のステップ社は37台のツーソンix35を運営しており、2020年までにその数を600台に増やす計画だ。 [パリ=パク・チャンヨン記者]

    去る20日、フランス・パリのアルマ広場に位置する「エアリキッド」水素ステーション。澄んだ空のイメージに車体を塗装した現代自動車の水素タクシーから、運転手が下りて水素を充填し始めた。充填はガソリンスタンドで見慣れたガソリン車の給油法と同じだ。水素タクシーの残り走行距離は199キロメートルで、充電開始後わずか2分で最大走行可能距離の415キロメートルに跳ね上がった。今年6月から現代自動車の水素タクシーを運転しているというボニパスさんは、「水素車とガソリン車の充填方法はひとつも変わらない」とし、「電気自動車の充電時間が少なくとも20分かかるのとは異なり、3~4分でフル充填される」と話す。

    現代自動車は昨年から、仏パリの水素自動車タクシープロジェクト「HYPE」(Hydrogen Powered Electric Taxi Service)に参与している。 HYPEは現代自動車のツーソンix35水素車7台から開始したがパリ市民の反応が良く、現在は37台のix35と3台のトヨタ「MIRAI」を含めて総40台に規模を大きくした。タクシーの運営を担当している地元のスタートアップ「ステップ(STEP)」の最高経営責任者(CEO)であるマシュー・ガルディ(Mathieu Gardies)代表は、「現在までにパリ市民10万人がわが社のタクシーを利用した」とし、「年末までに75台、来年は200台、 2020年には600台に増車するつもり」だと明らかにした。

    水素燃料電池車は究極のエコ車としてあげられる。走行過程で汚染物質を放出しないだけでなく、大気を浄化するためだ。秘訣は自動車の動力となる電気の生産過程にある。水素自動車に搭載された燃料電池は、車に格納された水素と空気中の酸素を直接反応させて電気を生み出すが、酸素を吸入する過程でフィルターで一度浄化過程する。

    現代自動車によると、ツーソン水素車を1キロメートルを走らせる際に、空気中の微細粉塵は最大20ミリグラム減少する。ステップによると、1年半のあいだパリ市民10万人が水素タクシーで68万4603キロメートルを走っており、これまで低減した微細粉塵は13.6キログラムだ。これはディーゼルエンジンの中型車100台が、1万3692キロメートルを走って排出した微細粉塵に匹敵する量だ。ガルディ代表は「パリ市民はHYPEアプリを活用して、本人が大気汚染の減少にどれほど貢献したのかを確認することができる」と強調した。

    水素車はパリ市民にもまだ不慣れな車だ。この日、アルマ広場に建てられたツーソン水素タクシーに向かって近づいてきたサドリン・カイザーさんは、「一般タクシーと比べて料金が違うのか」「ここから2時間ほど離れたところまで行くのは可能か」など、いくつかの質問を投げかけた。すぐさま乗車を決めたカイザーさんは、記者に「このような車があることをまったく知らなかった」とし、「乗車後の経験が良ければ、まわりの友人に教える計画だ」と話した。

    記者もすぐ「HYPE」アプリを起動して水素タクシーを呼んでみた。 HYPEアプリは周辺に走り回る水素タクシーをただちに記者につないでくれ、タクシーは4分で到着した。

    水素車の停車時には運転手の息づかいが聞こえるほど静かで、エンジンの振動もなく乗車も楽だった。ただし車があまりにも静かなせいか、外部の騒音はややあった。運転手のドミニク・リドウさんは、「水素車そのものはとても静かだ」とし、「外部の騒音が聞こえるのは、まだ現代自動車が騒音遮断に能力を発揮していないからだ」と説明した。

    HYPEはタクシーとして活用するために、いくつかのメーカーの水素自動車のうつから現代製ツーソンix35を最も積極的に導入している。ガルディ代表は、「トヨタMIRAIは次世代モデルが2020年になれば出てくる」とし、「現代自動車の次世代水素車が来年にリリースされるなら、わが社としては現代自動車に目が先に行くのは当然だ」との理由を説明した。

    またガルディ代表は「MIRAIはセダンモデルなので4人しか乗れないが、ツーソンはスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)で5人が乗ってもゆったりしている」とし、「高級車市場ならMIRAIが有利だろうが、タクシーでは現代自動車が絶対優位にある」と付け加えた。

    ただし現代自動車が水素自動車業界でこのような優位性を持続していくのかを断言することは難しいのが実情だ。最近、ベンツはフランクフルトモーターショーで水素燃料電池のプラグインハイブリッドカー「GLC F-セル」を公開した。

    このモデルは水素で走ることができるだけでなく、バッテリーで電気自動車のように充電も可能だ。車が停止する危険性が水素燃料電池車に比べて小さいわけだ。ガルディ代表は「GLC F-セルが市中に出てくる瞬間、導入する予定だ」とし、「さまざまなメーカーが水素自動車の競争に飛び込むと、水素自動車の商品性は高くなるだろう」とした。

    現代自動車の関係者は「一回の充電で580キロメートルを走る次世代水素車を来年2月に発売する」とし、「平昌五輪大会の支援車両として投入し、広報効果を極大化するつもりだ」と明らかにした。
  • 毎日経済 パリ=パク・チャンヨン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-10-25 09:34:54