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小劇場に押し寄せる観客、追い風受ける演劇界

「リタ」「ハロルドとモード」きっかけに演劇ファンが増える 

    #シーン1.今、大学路はお転婆主婦リタの魅力に落ちている。国内代表女優カン・ヘジョンとコン・ヒョジンが出演する演劇『リタ』が今月25日観客2万5000人(65回公演)を突破した。昨年12月3日から毎日400席規模の小劇場を埋め尽くして成し遂げた成果だ。コン・ヒョジンの舞台は2月1日閉幕公演チケットまで完売した。

    昨年3月にデミョン文化工場1館ビバルディパークホールが開館した後、こうして多くの観客が集まることは初めてだ。公演序盤には俳優たちのファンと演劇マニアが座席を占めたが作品が良いという口コミが出て中壮年の観客まで訪ねて連日完売行進を続けている。

    #シーン2.今、南山国立劇場タルオルム劇場は俳優カン・ハヌルに掴まれた。彼が19歳の少年ハロルドとして出演する演劇『ハロルドとモード』(3月1日まで)を見に来た女性ファンたちが劇場ロビーをぎっしりと埋め尽くしている。チケットが完売した日にももしかしたらキャンセルチケットを買うことは出来ないかと長い列を作る。ロービー空間に限りがあるため、とぐろを巻くような形で並ぶ列を見た演出家ヤン・ジョンウンは胸を熱くした。演劇でもこんなに人が集まる日がくるとは…。ドラマ『未生』で冷たい都会男チャン・ベッキ役で注目されたカン・ハヌルを見に来た観客たちは演劇界のゴッドマザー、パク・ジョンジャのカリスマと作品性に再度驚いた。

    年初から演劇界はスターたちのチケットパワーのお陰で追い風を受けている。ただ俳優の有名税にだけ頼らずに独創的な舞台演出とレベルの高い作品で演劇愛好家層を育てている。スターを見に来たファンたちがまた違う演劇を探す現状が著しく現れているためだ。ちょうどこの興行熱気を引き継ぐ大作が並んで舞台に上がる。シェイクスピアの『リア王』、『ペリクリーズ』など不滅の古典、『3月の雪』『ガラスの動物園』、『レッド』などすでに実績のある作品が再び観客を訪ねる。

    今年は本当に『演劇ルネッサンス時代』が開くのではないか。昨年セウォル号惨事と不況により苦痛を受けた公演界は久しぶりにときめいている。

    ▶ ヒット演劇『リタ』と『ハロルドとモード』

    俳優のすべてが現れる120分。カン・ヘジョンとコン・ヒョジンが出演する『リタ』は2人劇だ。知的熱望が沸き立つ主婦理容師リタと退屈に陥った生涯教育院教授フランクが出会いしれつな言葉の戦いを行いながら互いを変化させていく。

    カン・ヘジョンとコン・ヒョジンは互いに違う魅力のリタで勝負する。コン・ヒョジンは特有のはつらつとした話し方と表情を捨てられないまま演劇の舞台と自然に融合した。愛らしく跳ねるようなリタそのものだ。スクリーンでは強い存在感を見せてくれるカン・ヘジョンの演技力はやはり舞台でも輝いた。躍動感溢れる表情でリタの変化を完璧に消化した。無知だったリタは知的な女性として生まれ変わり、フランク教授に真正な生の意味を気づかせてくれる。

    • (左)カン・ヘジョンとコン・ヒョジンが出演する演劇『リタ』、(右)カン・ハヌル、パク・ジョンジャの演劇『ハロルドとモード』

    演劇『ハロルドとモード』もやはり互いに影響を与える人間関係と疎通を収めた演劇だ。ハロルドは家に火をつけ、保護装置を付けたまま首をつるという自殺遊びを18回も試みる。母の関心を絶えず引くための子供じみた反抗だ。

    この危なっかしい少年が葬儀場で偶然可愛い老婆モードと出会う。モードもやはり突拍子もなかった。市庁前の街路樹をこっそりと抜いて公園墓地に植え、動物園のアザラシを盗んで海に送ってやる。不法だが木と動物を愛する気持ちのためだ。

    モードは「この世界に真正な主人がどこにいる。人は素手で来て素手で行くものだ」と無所有の人生を楽しむ。誰にでも親切なモードは幼いハロルドに音楽と酒、自然の美しさを教える。温かなモードに同化したハロルドは友情を超えた愛情を感じる。挙句の果てにはモードの80歳の誕生日にプロポーズすることを決心する。しかしモードは「死という偉大な循環を楽しんで死にたい」と服毒自殺を祈る。

    色彩治療を学んでいる演出家ヤン・ジョンウンは温かな証明で舞台を埋め尽くした。彼と親交の深いデザイナー、イム・イルジンはハロルドとモードの部屋を区分し海と夕日の映像で居心地のよい世界へと導く。

    ▶ 不滅の古典『リア王』と『ペリクリーズ』

    偉大なイギリス劇作家シェークスピアは今年もなお舞台を掴む姿だ。「人間感情に関する完璧な百科事典」と呼ばれる『リア王』(4月15日~5月10日明洞芸術劇場)と、膨大なスケールのため演出の難題と挙げられる『ペリクリーズ』(4月27日~5月25日ソウル芸術の殿堂CJトウォル劇場)が公演される。

    4大悲劇の中で最も深い戯曲に挙げられる『リア王』はユン・クァンジン演出家の手に任せられた。2013年韓国演劇大賞演出賞と最優秀作品賞を受賞した彼は観客と評論家の信頼を受けてきた。今回新しく革新的な舞台で『リア王』の詩的表現を生かす予定だ。

    シェイクスピアの『隠された宝石』のような演劇『ペリクリーズ』は国内初演だ。戯曲『テンペスト』と共に作家の後期ロマン主義傾向を代表する傑作に選ばれる。イギリス・バービカン・センターとグローブ座などで開かれるシェイクスピア祝祭にて実力を認められたヤン・ジョンウンが時空を超えた原作のメッセージを伝える計画だ。政治と時代を扱うシェークスピアの既存の戯曲とは確実に違うこの作品の中に収められた美しく、ロマンチックな言語と現代を貫通する普遍的な感情を見つけだしていく。

    ▶ 実証済みの秀作『3月の雪』『ガラスの動物園』『レッド』

    消えていくすべてのものに対する獻詞を収めた国立劇団『3月の雪』(3月13~29日国立劇場タルオルム劇場)が再び感動を伝える。演出家ソン・ジンチェクと作家ペ・サムシクが時間の流れの中に静かに込められた人生の深みを舞台の上に広げる。俳優ソン・スクとシングが老夫婦役を演じて生と死を超越した人生の摂理と省察を率直に描き出す。

    昨年好評を受けたテネシー・ウィリアムズの戯曲『ガラスの動物園』(2月26日~3月10日明洞芸術劇場)が再び舞台に上る。非常な現実を避けて記憶と幻想に逃げるアメリカ小市民がが観客の同情の念を引き起こした。演出家ハン・テスクと俳優キム・ソンヒョ、イ・スンジュ、チョン・ウンソンの呼吸で再び鑑賞出来ることとなった。

    『レッド』(5月3~31日忠武アートホール中劇場ブラック)は煩悩に勝った画家の芸術魂を収めた演劇だ。2010年トニー賞受賞作で主人公は実在人物であるロシアの画家マーク・ロスコ(1903~1970)。多様な赤い色の競演で抽象表現主義時代の絶頂を見せてくれる大家だ。

    赤い色は彼の情熱を象徴する。しかしNYマンハッタン・シーグラムビルに入るフォーシーズンズレストランの壁画を依頼されて以降、根源的な懐疑に陥る。芸術を媒介に人生と世代間葛藤を圧縮して見せてくれる傑作だ。
  • 毎日経済_チョン・ジヒョン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-01-31 04:01:05