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韓国の絵本「ボローニャ・ラガッツィ賞」全部門で優秀賞

  • 20ページあまりの厚さ、10カットほどの絵、たった数行の文…。絵本は、こんな素朴な文章と絵だけで子供たちの心を揺さぶる。一言二言で説明できる単純な話が魔法をふるう。毎年3月末に開かれる「ボローニャ国際児童図書展」は、世界最大の児童書の祭りだ。去る2日、幕を下ろした今年の第52回ボローニャ国際児童図書展も、75カ国から1200社が参加して、2万5000人が観覧するほどの盛況を呈した。今年、韓国は主賓国のクロアチアに劣らない注目を浴びた。韓国の絵本6誌が「絵本のノーベル賞」とも呼ばれる国際児童図書展のハイライト「ボローニャ・ラガッツィ賞」(BolognaRagazzi Award)の全部門で優秀賞(スペシャルメンション)を席巻する快挙を収めたせいだ。

    50年の伝統を持つボローニャ国際児童図書展のラガッツィ賞は、フィクション、ノンフィクション、ニューホライズン(New Horizon/中東・南米・アジア・アフリカの作品)、オペラプリマ(Opera Prima/新人作家賞)部門で、大賞にあたる「ウィナー」1作品、優秀賞格の「スペシャルメンション」3~5作品を選定する。今年は50周年を迎え、特別にブック・アンド・シーズ(Books&Seeds/農業・食品・飢餓問題などを扱った作品)部門とデジタル部門も受賞作を発表した。42カ国から1250種類の本が出品されるほどの激しい競争の末、韓国は本賞の受賞に続き、10人の絵本作家も今年のイラストレーターに選ばれる気炎を吐いた。

    韓国の絵本は市場が大きくないにもかかわらず、レベルが高いことで世界的に定評がある。2004年に初めてラガッツィ賞を受けて以来、ますます受賞を増やし、昨年までに3作品がウィナーを、8作品がスペシャルメンションをかき集めた。今年、ボローニャをとらえた栄光の主人公はどんな魅力で世界の出版界をつかんだのだろうか。国内書店でも出会える6種の絵本を一堂に集めてみた。

    ◆ ノンフィクション部門優秀賞/『タンポポはタンポポ』(イヤギッコ)

    • < 『タンポポはタンポポ』 >

    「こんなところにも、タンポポはタンポポ。向こうにもタンポポ。野原いっぱい咲くタンポポはタンポポ~」。

    キム・ジャンソンの詩的な文章とオ・ヒョンギョンの絵が出会って、ありふれたタンポポの花が生まれ変わる。大きな道路沿いにも、街路樹の下にも、垣根の下、古い瓦屋根の上、自動車専用道路の中央分離帯の隙間にも、土ぼこりが少し積もった場所であれば、タンポポは芽を出して葉をつけて黄色の花を咲かせる。そしていつの間にか、どこかでまた緑の葉をつけ黄色の花を咲かせる種子を結び、風にひらひらと飛ばす。この本はラガッツィ賞の審査員から「小さくてか弱い生命が、殺伐とした環境に屈せず乗り越える姿を見せてくれて、何よりも私たちの生活の中で最も平凡なものが最も美しいという事実を語っている」という評価をもたらした。

    ボローニャ図書展から戻ってきたキム・ジャンソン作家の声は上気していた。ようやく8種類の本を出した小さな出版社の絵本が、世界的な注目を受けるようになった事実が信じられないようだった。イヤギッコ出版社代表でもあるキム・ジャンソン作家は、「『タンポポはタンポポ』は商業的な本ではないので受賞前はあまり関心を持たれなかったが、受賞の知らせが伝えられた後、外国の出版社から著作権の問い合わせが殺到した。スペイン、カナダ、フランス、エストニア、コロンビアなどから接触があって、中国からもメールが来た」と語った。

    この本の物語は、セメントで作られた道路の中央分離帯に咲いたタンポポを見て構想したという。文章はそれほど載せられなかったが、図書展に出品する際に英語・イタリア語などで書かれた翻訳原稿を本にはさんだことも、海外の出版社に親近感を持たせた秘訣だ。

    キム・ジャンソン作家はこの本が「花が咲き種を結んで風に飛ばされるタンポポの単純な絵と物語に見えるが、裏面には誰もが持っている自尊心、堂々さ、生に対する意欲のようなメッセージを読者に伝える本だという点が海外でも共感を得たようだ。何十回も繰り返して読む子供の読者にも会った」と語った。

    ◆ フィクション部門優秀賞/『私の小さな人形箱』(カルチャー・プラットフォーム)

    2014年の『モンジアイ(Dust Kid)』で韓国の絵本作家では初めてラガッツィ賞(ニューホライズン部門)を受賞したチョン・ユミ作家は、2年連続でラガッツィ賞を受賞した。審査委員たちに「精密なディテールが引き立つ写実的な絵柄を通じて、自己のアイデンティティが形成されていく過程と、畏れに向き合う瞬間に感じられる不快な心理的現実に読者を引き込む」という評価を得た。一人の少女が自分で作った小さな人形箱の中を旅しながら、4人のキャラクターに出会って経験する話を盛り込んだ。

    ◆ フィクション部門優秀賞/『塀(タム)』(パンダル)

    子供の頃の思い出の「塀」は、チ・ギョンエ作家にとっては遊び場であり、落書き帖だった。あまり高くない塀の下でかくれんぼをしたり落書きをしたり、塀にそって歩くこともした懐かしい思い出をそのままに蘇らせた。塀の下で母親の「ご飯食だよ!」という声に、急いで家に走って行った暖かい記憶、そのおぼろげながらもまるで塀に触れているような感じを淡白な絵で表現した。「降り注ぐ星、一晩中抱いてくれる」などの詩的な文章は心を鳴らし、思い出にひたらせる。

    ◆ ニューホライゾン部門優秀賞/『てるてる』(シゴンジュニア)

    2007年ボローニャ国際児童図書展で『マンテじいさんがくる』で「今年のイラストレーター」に選ばれたパク・ヨンチョル作家の絵本。民俗人形劇の「コクトガクシノルム」からストーリーを持って来た、わが国の伝統文化に対する愛情があふれた本だ。作家はコクト(人形)の色と表情をうまく表すために木のひだと色を重視し、アカマツを用いて半立体の木彫り人形を誕生させた。天然染色を用いて背景を作り、縫製作業を加えてキャラクターの特徴を生かした。

    ◆ オペラプリマ部門優秀賞/『上を見て』(ヒョンアム社)

    いつも一人で遠く離れて世界を見渡すしかなかったスジと、いつも前だけを見ていたがふと上を見上げたある一人の子供、この子供たちの行動の変化で、世界には一つ二つと変化が起こり始める。人と人がお互いに疎通していなかった単調な黒と白の街並みは、最後の章に至って色の芽が生じて花が咲き、色とりどりの風船が飛びかう活気のある風景に変わっていく。建築を専攻したチョン・ジンホ作家が独自の視角で表現した絵本だ。

    ◆ ブックエンドシーズ部門優秀賞/『世界で最も大きなケーキ』(ジュニアキムヨン社)

    • < 『世界で最も大きいケーキ』 >

    「ケーキで作った結婚式場です」。ダ・ヴィンチが食卓に置かれていたケーキを自信を持って入って見せるやいなや、公爵は結婚式を台無しにされるという怒りで顔が真っ赤になる。結婚式は無事に行われるのだろうか。アン・ヨンウンの文とキム・ソンヒの絵が出会った、レオナルド・ダ・ヴィンチの実話を素材にした絵本だ。ダ・ヴィンチがスフォルツァ公爵とベアトリーチェ・デステの結婚式をケーキにしようと描いた一枚の絵から始まった。「ケーキ」を中心に、建築・数学・料理・歴史・人物など、さまざまな話が絵本の中で調和する。
  • 毎日経済_キム・ジヘ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-04-10 16:10:18