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崩れた「K防疫」…「ウィズコロナ」後に確定・重症・死者が急増


    政府は先月1日に施行した「段階的日常回復(ウィズコロナ)」が「総体的防疫失敗」と判定されたなかでコロナ19の確定者数は今月1万人を超え、来年1月中には2万人にまで上昇する可能性があるという予想が出ている。

    いまや防疫の専門家だけでなく国家研究機関でも、病床不足と確定者数の激増が続くならば一日の死者数は数百名台に増えるだろうという警告まで出ている。一部では今年の初めからずっと指摘されてきた「防疫コントロールタワーの不在」がまったく解決されておらず、「政治防疫」に一貫してきた青瓦台(大統領府)と保健当局のあいだの呼吸のずれが状況をここまでにした核心要因という批判も提起されている。これを意識したからか文在寅(ムン・ジェイン)大統領は16日に「申しわけない」と謝罪したが、批判を静めるには力不足の状況だ。

    高麗大学九老病院感染内科のキム・ウジュ教授は「毎日の確定者が5千人を超えた時に急いで強い対策を出さなければならなかったが、手をこまねいていてタイミングを逃してしまった」と指摘した。匿名を要求した国内のある医療専門家は、「政府は昔も今も医療界をパートナーと考えず、上命下服式の垂直関係で見ている」とし、「行政命令を通じてまるで徴集するように病床をさし出せという式のアプローチでは、病床不足問題を本質的に解決することは難しいだろう」と語った。ソウル所在の医科大学の教授は、「あれやこれやと防疫政策がしょっちゅう変わって、誰も責任を負う人がいないというのが最大の問題」だと指摘した。

    野党圏を中心とした政治界でも、防疫政策に対する苦言が続いた。キム・ジョンイン国民の力総括選挙対策委員長はこの日午前の国会でコロナ19関連の記者懇談会を開き、「国民の健康と命が深刻に脅かされる危機状況」だとし、「全的に文在寅政府の無能と無責任、独善が作り出した人災」だと批判した。国民の力のユン・ソギョル大統領候補もこの日、大韓医師協会を訪問した席で「病床と医療陣の準備なしで、(政府が)ウィズコロナを施行した」とし、「政治防疫ではなく科学防疫に切り替えなければならない」と主張した。

    先月、ウィズコロナ施行当時に一日の確定者数1万人台でも対応が可能だと高言した防疫当局はパニックに陥った姿だ。この日、鄭銀敬(チョン・ウンギョン)疾病管理庁長は「(コロナ19の)流行が悪化する場合は12月中に約1万人、来年1月中には最大で2万人まで確定者が発生する可能性がある」とし、「流行が続くと危篤・重症患者は12月に約1600~1800人に、流行が悪化する場合には1800~1900人までも発生する可能性がある」と明らかにした。

    チョン庁長は「首都圏の集中治療室の病床稼働率は90%に迫り、限界状況だ。危篤・重症患者数は989人に、確定者数は7622人に急増したなかでオミクロン変異が地域に広がっている」とし、「医療・防疫対応の余力が限界に達している。首都圏だけでなく、非首都圏の江原と忠北や大田などでも病床稼働率が90%を超えており、非首都圏の病床余力も急速に使い尽くされている」と語った。

    防疫当局によると、この日のコロナ19の確定者数は7622人を記録するなど、拡散傾向はさらに激しくなっている。一週間の1日平均確定者数は10月の4週めは1716人だったが、12月の3週めには6676人で4倍近くに激増した。

    このために国家研究機関でも死亡者の急増を警告している。国家数理科学研究所(NIMS)は、今のように流行が続くと29日で新規確定者数が1万1114人になり、集中治療者数は1500人に、死亡者数は157人になると予測した。チョン庁長の発表通りに来年の確定者数が2万人台に上がれば、死者は2倍以上も多い300人以上ずつ出てくるかもしれないという話だ。

    このようにコロナ19の防疫が総体的難局に突き当たったのは、責任を負う者が事実上は存在せず、コントロールタワーさえ不在だからという批判が出ている。現在、コロナ19の防疫を担当する組織は4つが乱立している。

    疾病管理庁中央防疫対策本部、行政安全部中央災害安全対策本部、保健福祉部中央事故収拾本部、青瓦台防疫企画官などだ。さらに全国自治体までが加わって、混乱が加重されている。

    このうちで形式上の防疫首長はチョン・ウンギョン疾病管理庁長だ。チョン庁長が中央防疫対策本部本部長で疫学調査の範囲、隔離および隔離解除、診断検査の範囲、入国時の検疫、患者の治療などを指揮する。この中央防疫対策本部を支援する部署が保健福祉部中央事故収拾本部であり、青瓦台でのコロナ19対応業務は社会首席室が担当中だ。社会首席室の傘下には、ワクチン業務を担当する社会政策秘書官と、防疫を専門に担当する防疫企画官がある。

    政府はこのような体系が「有機的にうまく進んでいる」と明らかにしたことがあるが、現実は正反対に流れてきたわけだ。マ・サンヒョク大韓ワクチン学会副会長は「そもそも大統領ではなく疾病庁長に全権を与えて、防疫コントロールタワーを疾病庁中心に一元化したならこういうことはなかったはずだ」とし、「大統領も国務総理もまったく動きもせず、つぎはぎの政策だけを持続した末に出てきた緊急対策でさえ、いまは何の意味もない。相対的失敗だ。けっきょくは苦痛を受けた国民がこの状況を耐え抜くしかない」と語った。
  • 毎日経済 | キム・シギュン記者/シン・ユギョン記者/パク・ユンギュン記者 | 入力 2021-12-16 19:09:11