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積極的にVRを活用する企業…新入社員教育・車の試験走行・生産ラインの設計

    △写真=サムスン電子生活家電事業部に設置されたVRを活用したサイバートレーニング機器の前で、作業者が無風エアコンQ9500の組立工程を実習している。 [写真提供=サムスン電子]

    サムスン電子はバーチャルリアリティ(VR)機器を製造現場に持ち込んだ。新入社員などの教育にこれを活用することにしたのだ。エンターテイメント用途が強かったVRが、製造現場の核心としての位置を占めた姿だ。

    サムスン電子生活家電事業部はこの3月から、VR機器を利用した新入社員の組立工程実習を進めている。これまでは映像を通じて製造工程の順序と方法を身につけた後、分解された製品を実際に組み立ててみるというステップを踏んだ。この場合、製品によっては多くのスペースを占め、いちいち分解して組み立てる過程を経なければならないために費用問題も小さくなかった。

    これを代替したものが、最近開発されたVR装置を活用したサイバートレーニングだ。オキュラス(Oculus)社で製造する「リフト(Rift)」VR機器を頭にかぶり、特別に作られたバーを両手で握ると、作業者の前に実際と同じ組み立て空間が広がる。作業者は実際の組立工程と同じように組み立て体験をすることができる。例えばエアコンの組立工程の場合、右手を動かしてドライバを握って左手でネジを入れた後に、エアコンの下端部のプラスチックカバーを、ネジを回してはさむことを生き生きと体験することができる。

    サムスン電子のイ・ゲボク生活家電事業部エアコン製造グループ長は、「実際の作業場と100%同じ環境ではないけれど、作業でいちばん重要な工程の順序を身につけることができるというのが強み」であり「現在、生活家電事業部に10台を設置して、新入社員教育などに使用している」と説明した。

    VRを活用したサイバートレーニングは、最近生産されるすべての製品に3D図面があるので可能だった。 3D図面に基づいて職場環境を追加するだけで、すぐさまトレーニング用コンテンツの制作が可能だ。新製品を生産するときにも、VRを介してやさしく製造工程のトレーニングをできるようになるという話だ。

    イ・ゲボク グループ長は「新入社員だけでなく、熟練工の技術水準の評価にもVR機器を活用する計画」だとし「ハイリスク・高コストの訓練を代替するものと期待される」と説明した。

    サムスン電子生活家電事業部で初めて開発されたサイバートレーニング機器は、最近テレビを製造するVD事業部と、スマートフォンを生産するIM事業部でもベンチマークに乗り出した。 VRを活用したサイバートレーニングは、近いうちにサムスン電子の全事業部に拡大すると予想される。市場調査会社のスーパーデータは、全世界のVR市場の規模は今年の2億ドル(約2400億円)から2020年には1500億ドル(約175兆ウォン)に、750倍ほどに爆発的に成長すると予想した。このような成長の背景には、ゲームや映画などのエンターテイメントの領域を超えて、教育・医療・製造などの産業分野にVRが拡散すると見ているからだ。

    実際に、米国カリフォルニア州の一部の小学校では教育目的のためにVR機器を活用している。 「地球から月までの距離がいくら」と教えるよりも、VRを通じて太陽系の映像を学生に見せ、彼らが実際に距離感を感じられるようにするわけだ。また、海洋生態系に関連する授業では海中の風景をVRで提示して、彼ら自身が見た魚などを自由に語るようにしている。

    グローバルな企業もVRを積極的に活用している。テスラの対抗馬として挙げられている米国の電気自動車ベンチャー企業のファラデーフューチャー(Faraday Future)社は、VR技術を活用して短期間に電気自動車のコンセプトカーを作り出した。実際の車のプロトタイプを作成する代わりに、コンピュータで制作された車をVR機器で試験走行させながら、エラーを修正してパフォーマンスを向上させた製品を披露したのだ。

    独メルセデス・ベンツは、作業者が部品を手に持って組み立てる操作を行うと、センサーがこれを認識して画面の中の「アバター」が同じように動く仮想組立技術を使用している。熟練した作業者に仮想体験をさせた後に彼らの意見を反映して、最も効率的な方法で生産ラインを設置するために導入した。

    情報通信政策研究院のチョン・ブヨン副研究委員は、「VR技術はずいぶん以前からあったが、突然浮上したのは大衆化されるだけの情報通信技術(ICT)とインフラストラクチャが用意されたため」とし、「エンターテイメント市場から抜け出して教育や電子商取引、ヘルスケアなどの多数の産業に応用されると期待される」と説明した。
  • 毎日経済_イ・スンフン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-06-17 16:02:30