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危険な超高層火災...災害を防ぐ「タワーノロジー」

  • ■ 超高層ビルの災害科学


    良心的な建築設計士ポール・ニューマンと献身的な消防隊長スティーブメクウィンがそこかしこを走り回る映画『タワーリング・インフェルノ』(1974)は、超高層ビルの火災がどれほど恐ろしいのかをよく見せてくれる古典だ。「摩天楼(超高層ビル)」に向かう人間の欲望が上昇するほどに、『タワーリング・インフェルノ』のような悪夢が現実につながらないようにする警戒心もまた高くなる。超高層ビル(Tower)に潜む科学(Technology)、いわゆる「タワーノロジー(Towernology)」はどのような価値よりも安全性を一番に掲げる。ロッテワールドタワーは世界で5番目に高い建物(555メートル)だ。この建物には火災や地震などに備えた先端科学技術が隠されている。

    ▶ 超高層ビル火災はどれほど危ないのか

    超高層および地下が連携した複合建築物の災害管理に関する特別法(別名超高層災害管理法)には、超高層ビルの基準を階数が50階建て以上であるか、高さが200メートル以上の建築物と規定する。超高層ビルで起こる火災などの災害被害は、低層建築物とは次元の異なる様相で展開する。はるかに危険だという意味だ。代表的なのが煙突効果(stack effect)だ。この現象は超高層ビルの垂直構造のせいで、火災発生時に火炎や煙が垂直方向に急速に拡散することをいう。 2001年に消えてしまった米ニューヨーク市のワールドトレードセンターも、じつはそれ以前の1993年に自動車爆弾テロによって1棟の地下2階で発生した煙が数分のうちに45階まで拡散し、建物内部の人員の避難を困難にしたことがあった。国内でも16人の命を奪った1971年の「大然閣(テヨンガク)ホテル火災事故」や、38人が死亡した1984年の「大亞(テア)ホテル火災事故」なども煙突効果により被害が拡大した事例だ。

    超高層ビルでは業務用途であることから、各フロアの平面を分割するブロックの壁が少ない。開放型平面に対応するこの構造のために、炎や煙が水平方向にも急速に拡散する。上下と左右を問わず火災が瞬時に大きくなるために、超高層ビルの火災はさらに危険だ。けっきょくこのような危険を防ぐには、超高層ビルの特定階を避難安全区域として確保して、ここに避難した人々を1階に迅速に移動させることが重要だ。

    ▶ どのように避難するのか

    建物で火災が発生した場合は、階段で避難するのか、エレベーターで避難するのか。多くの建築学者らが語ることは、エレベーターでは避難しないことが原則だという点だ。しかし実際の火災事例では、エレベーターを利用した避難がよく見出される。 1996年に日本の広島で20階建ての広島市基町住宅で火災が発生したときに、避難者の47%がエレベーターを利用して建物から出たことが分かった。超高層ビルではエレベーターを利用した迅速な移動がさらに切実だ。ヨ・インファン建設技術研究院博士は「9・11テロをきっかけに、超高層ビルではエレベーターを利用して避難するしかないという認識が大きく広がった」とし、「特に炎や煙に安全な避難用エレベータを開発する研究もその後加速した」と語った。

    世界で5番目に高いビルであるソウル市松坡区のロッテワールドタワーが竣工を控えて最近、重要な災害防災実験を行った。去る4日、市民3000人を募集して火災状況を想定した避難訓練を行ったわけだ。 123階建てで総555メートルの高さに達するロッテワールドタワーの避難の基本原理も、避難階段と避難用エレベータを同時に活用する方式だ。ロッテワールドタワーは22・40・60・83・102階の計5つの中間層に避難安全区域を置いている。避難安全区域は消火設備と自動火災探知装置、防煙壁と空気呼吸器(補助マスク)そして除煙設備を備えている。ロッテワールドタワー避難安全区域の区画壁は、3時間まで火災に耐えることができるという。避難用エレベータはまさにこの避難安全区域階から出発する。全エレベーター61基のうち19基が避難用だ。この19基はふだんは一般エレベーターだが、火災時は避難用に転換され、各避難安全区域からまっすぐ1階まで降りて行く。全体の層に分布した人々は、火災発生時に一度避難階段を利用して最も近い避難安全区域階に駆け下りた後、その階層に設けられた避難用エレベータに乗って、他の層を経ないまままっすぐ1階まで降りていくことになる。とは言え、すべての人がこのエレベーターを利用するわけではない。

    去る4日の訓練は、3000人の市民を上層部の85~123階に分散配置した後、一部は避難階段で、一部は83階と102階に設けられた避難用エレベータ6台を利用して脱出する模擬実験として行われた。最上階に居た人の中で、ひたすら避難階段だけを利用して歩いてきた人たちは1時間近くかかったが、118階に配置されたが16階層を歩いて下りてきた後、102階からエレベーターを利用した人の場合は21分30秒で抜け出した。この日、3000人あまりが85~123階から1階にすべて脱出するのにかかった時間は、ソウル市消防災難本部の公式集計の結果58分と出た。

    一方、ロッテワールドタワーの耐震・耐風設計が注目される。震度9の強震と秒速80メートルの台風に勝ち抜くことができる設計工法が適用されたためだ。震度9は国内最大規模の慶州地震(規模5.8)よりもエネルギー強度は300倍も強力だ。

    ■ 「人」の字のダイヤグリッド構造...強風に耐える力

    ロッテワールドタワーの最上層部に設けられた120メートルの高さのダイヤグリッド構造(写真)は、科学の原理が含まれている。ダイヤグリッドは斜め(Diagonal)と格子(Grid)の合成語で、「人」の字に資材を繰り返して積み上げた構造だ。竹を交差させて筒状にした「竹夫人」の原理のように、柱なしに建物の重い荷重に耐える構造の建築技術だ。超高層ビルは風によって少しずつ動くので、ダイヤグリッドを積むたびに衛星測位システムで3次元座標を正確に合わせなければならない。ロッテワールドタワーはダイアグリッド工法が適用された超高層建物の中で、既存の中国の広州国際金融センター(438.6メートル)を抜いて世界最高記録(555メートル)を持つことになった。

    上・下2つにつながったエレベーターが同時に動く、「ダブルデッキエレベーター」も注目するに値する。国内ビルでは初めての試みられたこのエレベーターは、2階建てバスのように超高層ビルの中を移動するための手段で、これまでの1台のエレベーターによる非使用空間を低減する。1回の停止で2つのフロアを同時に利用するので、乗客の待ち時間が短縮されて輸送効率が高い。ブルジュ・ハリファとニューヨークのワンワールドトレードセンター(1 WTC)など、世界の多くの超高層ビルにもダブルデッキが採用されているが、ロッテワールドタワーの全階層を運行するエレベーターはその運行の長さが547メートルで世界で最も長い。ブルジュ・ハリファの場合は中間で一度乗り換えるからだ。
  • 毎日経済_ソ・ジヌ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-01-06 17:11:36