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封建社会を崩した地動説…科学は社会を変える

  • 科学は難しい。一般人は科学が日常生活と関係が少なく、「科学者だけの世界」と考える傾向が大きい。しかし、スマートフォン、バーチャルリアリティなどの先端技術のだけ科学に影響を与えるものではない。社会、経済、政治、哲学などのさまざまな分野に科学はその痕跡を残してきた。

    代表的なものが地動説だ。1500年代、デンマークの天文学者ティコ・ブラーエが惑星の運動を観測した膨大な資料を残し、これをもとにヨハネス・ケプラーが、「楕円軌道の法則」を導き出した。以来、地球が太陽の周りを回るという地動説が伸びをした。地動説の登場は、旧時代的な封建社会が崩れる契機になった。イ・ドクファン西江大学教授は、「過去の多くの基礎科学は、封建時代を崩すきっかけになった」とし、「基礎科学がなかったら、いまだ社会は迷信に基づく旧世界的な生活を送ってきただろう」と伝えた。進化論も同じだ。進化論は、現代生物学の基礎を提供することはもちろん、生物は周囲の環境に応じて変化できるということを、さまざまな根拠を介して提示することにより、育種はもちろん遺伝子の研究などに影響を与えた。また、進化論が持っている適者生存、自然選択説は、生存のための無限競争とそれに伴う結果を「自然の法則」という名の下に容認する副作用を生んだりもした。

    経済学は特に、科学と密接な関連を持っている。科学と同様に仮説、理論を証明できる証拠を実験を通じて裏付けするためだ。経済学に関する論文が科学学術誌に頻繁に掲載される理由だ。

    2014年3月、学術誌『サイエンス』には2000年のノーベル経済学賞受賞者であるジェームズ・ヘックマン米国シカゴ大学教授の論文が掲載された。シカゴ大学経済学のムン・ソンヒョク博士が一緒に参加したこの論文は米国で1972~1997年、脆弱階層児童に集中教育をさせた「ABCプロジェクト」対象者を30年後に探し、調査した内容を含んでいる。分析の結果、ABCプロジェクト対象者は、対照群と比較した時、健康と認知能力などが優れていることが分かった。ヘックマン教授は、これより先立った2014年1月、「全米経済学会(AEA)」の基調講演で経済的不平等を解消するために、青少年にお金ではなく機会を与えなければならないと注文したことがある。当時の研究に参加したムン・ソンヒョク博士は、「政府が脆弱階層のための教育を支援することが、社会的不平等を減らし、国の生産性に貢献する」とし、「ヘックマン教授の主張を裏付ける根拠だ」と説明した。

    しかし、科学理論をむやみに社会・経済に適用する時、間違えを犯したりもする。熱力学第2法則である「エントロピー」が代表的だ。熱力学第2法則は、「エントロピーが減少していない」という内容でお湯と冷水を混合すれば、適切水準の温度で平衡を成すが、平衡を成した水をいくら長い時間置いておくとしても、お湯と冷たい水に分かれないことを説明する理論だ。

    経済学者のジェレミー・リフキンが、この理論を社会に適用し、「人間の歴史と技術、生命体と宇宙もこの法則を避けられない」と力説した。1981年に発刊されたこの本は、消費中心の社会に警鐘を鳴らし、米国はもちろん全世界に大きな波紋を起こしたが、科学理論を無分別に他の分野に拡張させた代表的な事例として数えられたりもする。イ・ドクファン教授は、「エントロピーは『平衡』状態で起こる変化の方向を予測するために導入された熱力学概念で、物質とエネルギーの出入りが不可能なシステムでは、エントロピーが重価するが、単純にこれをすべての分野に適用することは、深刻な間違えがある」と指摘する。彼は、「リプキンが主張したエントロピーの法則は、どのようなシステムに適用するかによって、増加することも、減少することもある」とし、「エントロピーのような科学用語は、厳密に定義された枠組みの中だけで、その生命力が維持される」と付け加えた。
  • 毎日経済 ウォン・ホソプ記者 / 写真=ゲティイメージバンク | (C) mk.co.kr | 入力 2017-02-24 11:41:08