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テクノロジー > 健康・医学

膵臓がんのリスクが高い膿腫、手術をせずに内視鏡で除去可能

    腸に生じた袋状の「膿腫」である膵嚢胞性腫瘍はほとんどが良性だが、治療をせずに放置するとがんにまで進行することがあり、嚢胞性腫瘍がある膵臓の一部を早期に手術で切除するケースが多い。ところがこの嚢胞性腫瘍は手術をしなくても、内視鏡で取り除く治療法が効果が優れているという研究結果が出た。

    特に膵臓の一部を手術で切除すると糖尿病や消化機能障害などの合併症を引き起こす可能性があるのに対し、この治療法は膿腫のみを削除するために糖尿病が生じず、手術による他の副作用が発生するリスクも減少する。

    ソウル峨山病院消化器内科のソ・ドンワン教授チームは内視鏡超音波で膵嚢胞性腫瘍の患者158人を治療したあとに平均6年間にわたる長期的に追跡を行った結果、141人(89.2%)の患者から腫瘍がなくなったり、もしくは今後観察だけでも大丈夫なほど大きく減少したと28日明らかにした。

    ソ教授チームが2005年に韓国で初めて実施したこの手術法は、口の中に内視鏡、超音波を入れて膵嚢胞性腫瘍に微細な針を刺して中に入っている水を排水したあと、エタノールを入れたり場合によっては少量の抗がん剤を入れて嚢胞性腫瘍細胞を壊死させる方法だ。手術で膵臓の一部を切り取って嚢胞性腫瘍を除去すると、患者の体で膵臓が自分の役割を果たすことができなくなり、血糖調節機能が低下して消化もよくできなくなる。これにより糖尿病、消化機能障害などの合併症が約30%の割合で発生する。

    しかし内視鏡超音波で施術すると膵臓を切り取らないため、膵臓の機能が維持されて糖尿病が生じることがなく、傷が残らないだけでなく回復する時間も非常に速いため施術後の患者の生活の質が維持される。また、再発しても再手術が可能だ。

    ソ教授チームは内視鏡超音波による膵嚢胞性腫瘍除去術の効果を明らかにするため、2005年7月以降に膵嚢胞性腫瘍の内視鏡超音波による除去術を施行した患者のうち、158人を少なくとも50か月から最大85か月のあいだ長期的に追跡観察を行った。

    患者114人(72.1%)からは腫瘍が完全に無くなり、27人(17.1%)は追跡観察だけでも大丈夫なほど腫瘍が小さくなり、合計141人(89.2%)、すなわち膵嚢胞性腫瘍の患者10人のうち9人から治療効果が優れているということが分かった。

    また、内視鏡超音波施術法で膵嚢胞性腫瘍が完全になくなった114人を平均6年間にわたる追跡観察を行った結果、わずか2人だけから膵嚢胞性腫瘍が再発し、すべてが陽性だった。

    さらに超音波内視鏡で膵嚢胞性腫瘍の除去術を受けた158人の患者のうち16人(10.1%)からだけ合併症が発生し、既存の手術法に比べて合併症の発生リスクが約3分の1に減り、その中でも15人は軽い腹痛など症状が非常にわずかであるか、適切な治療を受ければ回復が可能であることが分かった。

    ソ教授は「内視鏡超音波を利用して膵嚢胞性腫瘍を除去すると膵臓を切り取る必要がないため、施術後にも膵臓が正常に機能して糖尿病などの合併症リスクが大幅に減り、傷が残らずに回復速度が非常に速く患者たちの満足度が高い」とし「今回の研究で膵嚢胞性腫瘍の大きさが比較的小さい5~6センチである場合に限定されたが、今後の継続的な研究を通じて膵嚢胞性腫瘍の内視鏡超音波施術法の適用範囲をさらに広げ、多くの膵嚢胞性腫瘍患者の生活の質を高めるように努力する」と伝えた。

    今回の研究結果は、消化器分野で世界的に権威のある雑誌である「ヨーロッパ消化器内視鏡学会誌(Endoscopy)」に最近掲載された。
  • 毎日経済 イ・ビョンムン医療専門記者 / 写真=ソウル峨山病院 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-08-01 09:00:00