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テクノロジー > 健康・医学

疾病の根源炎症を抑制…万能薬「ブラッククミンシード」

    炎症は、私たちの体が外部刺激から身を守るために発生させる自然現象だ。各種ウイルスや細菌、有害物質だけでなく、悪い食習慣やストレスも炎症を誘発することがある。有害物質が私たちの体に侵入すると、免疫細胞であるT細胞、B細胞、大食細胞(マクロファージ)などの防御作用によって炎症反応が現れるようになる。

    体の状態が良かったり侵入物質が少ないときは炎症が正常に回復するのだが、そうでない場合には炎症性タンパク質が生成・蓄積されたあと、私たちの体のあちこちに広がっていく。

    これはアトピークローン病、歯周炎、皮膚炎、関節炎、膵炎、胃炎のような炎症性疾患はもちろん、糖尿病、高血圧、心血管系疾患などのリスクも高めることがある。慢性的炎症の塊は、がんに発展する可能性まである。

    最近のスーパーフードブームを追い風に、天然抗炎剤の機能をする「ブラッククミンシード(Black cumin seed)」が注目されている。ブラッククミンシードとは、地中海沿岸で育つ一年生植物であるクロタネリウ(Nigella)の小さな種だ。ヒポクラテスとクレオパトラは、健康と美容のためにブラッククミンシードを好んで使っていたと伝えられ、古代エジプトと中東では感染、風邪、歯痛、頭痛などを治す「万能薬」として通じた。キリスト教の聖書ではブラッククミンシードについて、「小麦よりも価値があるため、貴重に扱え」と記されており、イスラム経典のハディースでも「死ぬこと以外、すべての病気を治すことができる名薬だ」と紹介した。

    ブラッククミンシードが抗炎効果を出すのは「チモキノン」という成分だ。チモキノンはブラッククミンシードから抽出したオイルに含まれる成分で、体内で炎症性化学物質であるサイトカイン(身体の防御体系を制御して刺激する信号物質として使用される糖タンパク質)を除去するために有用だ。ブラッククミンシードの抗炎効果は、様々な研究によって実証されている。

    2011年に「植物療法研究」に掲載された「リウマチ関節炎の患者でのブラッククミンシードの効果」によると、30~54歳のリウマチ関節炎の患者40人にブラッククミンシードを1か月間毎日1グラムずつ投与した結果、リウマチ関節炎の指標であるACR20とEULARがそれぞれ42.5%、30%減少したことが分かった。

    ブラッククミンシードにはチモキノンのほか、タンパク質、ビタミンB1、カルシウム、鉄分など様々な栄養素が豊富に含まれており、オメガ3、オレイン酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸も含有している。不飽和脂肪酸は血中の脂肪を減らし、体内のインスリン数値を調節する。血糖値の上昇する速度を遅めることで、糖尿病の管理において助けになるのだ。

    1985年、世界保健機関(WHO)は、ブラッククミンシードについて「上部呼吸器疾患の治療に効果的だ」と明らかにし、有害な植物のデータベースには「臭素酸カリウム(KBrO3)に誘導された発がん初期に改善効果がある」という資料が登載された。ブラッククミンシードは1日に1グラム程度の微量摂取をすることが適切だ。チモキノンの成分は揮発性で空気中にすぐに酸化されるため、一般的なオイル形態ではなくカプセル形態で摂取するのが安定的だ。最近にはカプセルでブラッククミンシードオイルを手軽に簡単に摂取できる製品も発表されている。
  • 毎日経済 キム・へスン 記者 / 写真=photopark.com | (C) mk.co.kr | 入力 2017-08-13 09:00:00