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米ITC「ボツリヌス菌株は営業秘密に該当せず」判定

    • テウン製薬「ナボタ」(写真=テウン製薬)


    米国国際貿易委員会(ITC)は16日(現地時間)、ボツリヌス(botulinum toxin/別名ボトックス)菌株の営業秘密の侵害訴訟に対する最終判決を通じて、大熊(テウン)製薬(DAEWOONG PHARMACEUTICAL)のメディトクス(Medytox)菌株と製造工程に対する盗用の疑いを認めた。テウン製薬がメディトクスの菌株を盗み、製造工程もコピーしたと判断したもので、ITCがボツリヌスリヌム菌株の盗難をめぐって4年以上続いた「ボトックス戦争」でメディトクスの手をあげたわけだ。

    しかしITCの最終判定に反転があった。菌株と製造工程をテウン製薬が盗んだ疑いを認めても、自然物である菌株そのものを営業秘密と見ることは困難なので、菌株の盗用は営業秘密の侵害ではないという驚きの判定を下した。

    このことから、今年の7月に営業秘密の侵害の決定を下した予備判決のとき、テウン製薬や「ナボタ(米国人チュボ)」について下した10年間の米国輸入禁止命令が21ヶ月に大きく緩和された。表面的にはメディトクスが勝利を収めたが、テウン製薬が最悪のシナリオから逃れてボトックス事業を継続できるきっかけを用意したという点で、実利を得たというのが業界の専門家らの診断だ。株式市場もこれに反応した。 17日のテウン製薬の株価は買い傾向が暴走して上値まで急騰し、メディトクス株は-5.74%と大幅に下落した。

    米ITCはテウン製薬のボツリヌストキシン製剤のナボタが米国関税法337条に違反した製品だとみなし、21ヶ月のあいだ米国内への輸入禁止を命令するという最終判決を下した。米国関税法337条の規定は、特許権・商標権・著作権などの侵害と関連した不公正な貿易慣行を扱う制裁規定だ。条件にしたがって、特定商品の輸入を禁止したり、不公正行為を制裁することができる。

    ITCはナボタの米国内の在庫販売も禁止した。テウン製薬の米国パートナーのエボルース(Evolus)社が保有しているナボタのどの在庫も、今後21ヶ月間は販売できないようにしたわけだ。米国大統領がITCの最終判決を審査するあいだにナボタを輸入したり販売すると、1バイアル当たり441ドルの供託金を払わなければならない。

    この日の最終判決と関連して、メディトクス側はテウン製薬がメディトクス菌株と製造工程を盗んだ疑いをすべて認め、ナボタによる収益を10年間禁止するよう勧告した予備判決のような結果ではないが、とにかく菌株盗用であるという事実が認められたことに力点をふった。

    メディトクスは「テウン製薬がメディトクス菌株と製造工程を盗用してナボタを開発したことが完全に証明された」とし、「菌株源が営業秘密として認められず、輸入禁止期間に含まれなかったが、京畿道竜仁市の土壌からボツリヌス菌株を発見したというテウン製薬の主張は明らかに虚偽だということが確認された」と強調した。

    一方、テウン製薬は安堵のため息をついた。菌株・製造工程盗用の疑いははれなかったが、菌株そのものを営業秘密としてITCが認めないことから、輸入禁止期間が大幅に短縮されたためだ。テウン製薬は自社の特許を得た製造工法は確保しているので、営業秘密の侵害は成立しないとみて控訴する計画だ。テウン製薬のナボタは不純物を最小にした原液の製造工法を適用して、特許取得および米国食品医薬品局(FDA)の許可を受けている。

    テウン製薬の関係者は「菌株の営業秘密自体は認められなかったので、今後メディトクスはもはや菌株を根拠に異議を申し立てることはできなくなった」とし、「製造技術の盗用も成立していないが、米国が自国のトキシン企業を保護するために認めた」と主張した。テウン製薬はITCが自国のボツリヌストキシン企業のアラガン(Allergan)社の独占体制を保護するために、製造技術の侵害に対する根拠がわからないままに輸入禁止命令を下したという立場だ。

    業界ではテウン製薬の盗用の疑いが認められたが、予備判決よりも最終判定の内容が緩和され、テウン製薬は米国のパートナーであるエボルース社と訴訟を避ける一方、米国その他の国でナボタを販売することができるようになったと分析した。業界関係者は、「テウン製薬のナボタがまったく市場から永久退出したり、予備判決のように10年間の輸入禁止を超える強硬な判決が出たらメディトクスも負担を大幅に減らしたと思うが、多少は気の抜けた結果であることは事実」だとし、「今までの戦いにかかった訴訟費用だけでなく、今後に必要な費用までを考慮すれば負担は小さくないだろう」と語った。

    ヒュジェル(HUGEL)など菌株盗用問題から無関係ではなかった他のトキシン企業も、菌株を営業秘密として認めない今回のITCの最終判決で反射利益を得るだろうというのが業界の見方だ。

    メディトクスは今回の勝訴の結果を持って、テウン製薬と継続して戦いを続けていく計画だ。これと関連し、海外特許の専門家らは「菌株ではなく製造技術の侵害は認めたため、メディトクスは米国でも韓国でも、別の裁判所にこれに対する損害賠償を請求しなければならないだろう」とし、「議論を終結させようとしていたメディトクスの立場では、多少煩わしくになった」と語った。

    ITCの最終判決が出れば、米国大統領は60日以内に承認または拒否権を行使しなければならない。大統領が拒否権を行使すると、ITCの最終判決と措置は効力を失う。メディトクス側によると、米国の大統領がITCの最終判決を拒否した事例はこの33年間でたった1件に過ぎない。
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  • 毎日経済_チョ・ンジソン記者/キム・シギュン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2020-12-17 20:02:50