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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    アメリカで遠征出産をする韓国人はまだいますか?
  • A.
    事実なのかは分かりませんが、米国に不法移民として行く人の中で子供を妊娠した母親がアメリカに到着する前に子供を産まないように、様々な方法をとったことがあるという話を聞いたことがあります。親は不法移民でもアメリカの地に到着して子供を産めば、子供がアメリカ国籍を取得することができるため、親の米国滞在も簡単になるからです。

    米国は代表的に属地主義政策を広げる国です。親の国籍に関係なく、米国の地で生まれた子供に市民権を付与します。このような政策を悪用して、出産を控えた母親がアメリカに行って子供を産むのです。

    一時は、米国に遠征出産に来る人の中で韓国人が最も多く、国に恥をかかせたという非難が殺到しました。しかし、米国の産後調理院(産後の肥立ちが良くなるようにケアしてくれる施設)を訪れる韓国人は減らなかったそうです。法で防ぐことも難しいです。生まれる日を確実に知ることが難しいのに、アメリカに行く人に航空券を販売しない訳にもいかないし、パスポートやビザを出さない方法もないですよね。

    またある時は、遠征出産が韓国社会の身分を象徴するかのように考えられていた時もありました。お金のためでしょう。庶民は夢も見れないほどの多くのお金がかかりますから。

    米国で生んだ赤ちゃんに正常に米国の市民権を持たせようとしたら、ホテルや病院のほか、居住地の住所が必要になります。赤ちゃんの親の英文ん公証書も必要で、赤ちゃんが米国のパスポートを受け取るのに時間がかかります。 90日程度の観光ビザで、このような過程を順調に終えることは決して容易ではないでしょう。最終的には母親が子供を妊娠したことが外見からはわからない妊娠初期にビザの発給を受け、4~5か月程度米国に住まなければならなので、お金がかかるほかありません。現在、遠征出産にかかる費用は3万ドル程度だそうですが、順調に事を成功させるには、はるかに多くのお金が必要です。

    それでは、そこまでして、米国で子供を生もうとする理由は何でしょうか。理由は、教育と兵役の2つです。遠征出産で生まれた子供は、韓国と米国両国の国籍を取得することになるため、成人になって軍に入ることが嫌ならアメリカ国籍を選択すればいいことになります。米国市民だから中・高校時代にアメリカに留学に行くのも簡単です。さらに、後に米国への移民も容易になります。子供が米国市民であれば、いくらでも親を招待することができ、永住権を得るのに非常に有利なのです。

    韓国の国民所得が高くなったため、最近では、中間層でも遠征出産に行く人が少なくありません。最初から遠征出産の方法を教えてくれる専門業者もいるので、お金があればできないことはない世界です。

    しかし、米国の遠征出産で韓国人はすでに頭を悩ませる対象ではありません。今では中国人がはるかに多いからです。中国人はもともと遠征出産地域として香港を選んでいましたが、中国当局が香港での遠征出産の道を阻止し、米国に足を向けたのです。

    米国のLAにはこのようなアジアの遠征出産の母親を受ける産後調理院が数えることができないほど多いといいます。しかし、米国市民が「遠征出産で生まれた子供たちが、今後、米国の福祉と雇用を脅かす」と反発し、LAカウンティが遠征出産を防ぐ法を制定する動きを見せており、注目されています。

    もちろん、現在も米国の空港で入国審査をするときに拒否されることがあります。入国目的に観光や親族訪問と書かれていても、疑いがもたれあれこれ質問され、子供を産むために来たという事実が明らかになれば入国を拒否するのです。米国の産婦人科で赤ちゃんを出産するために来たと正直に答えても、審査官の気持ち次第で米国への入国が拒否されることもあります。実際に韓国の妊婦が米国移民税関局の調査を受けて戻ってきたりもしました。

    質問する意図とは少し異なりますが、韓国内でも遠征出産が行われる場合があります。田舎住んでいる人が子供をソウルの人にするために、ソウルで産むのです。もちろん、逆にソウルに住む母親が出産奨励金をたくさんくれる地方に行って子供を産む場合がないわけではありません。

    まれに、子供を産むために韓国に来る日本人もいます。去る2013年、俳優の松山ケンイチの妻・小雪が韓国で子供を産みました。最近では、韓国では営業不振で店を閉める産婦人科医院が増えていますが、日本よりは状況がましなのか適当な産婦人科を選ぶことができなかった日本人がたまに韓国を訪れるそうです。だからといって韓国で産んだ子供が韓国人になることはありません。韓国は米国とは異なり、親の国籍を継ぐ属人主義を採用しています。

    遠征出産を防ぐ道は一つです。法や入国審査の強化程度では不可能です。ある時期、米国移民当局の審査が厳しくなると、米国の代わりにカナダやオーストラリアに遠征出産の隊列が移って行ったりもしました。法が厳しくなるほど、これを抜けていく方法は、さらに巧妙化し、最終的にはお金があり権力のある人々だけ反射利益を得ることになります。子供をアメリカ人よりも韓国人として育てたほうががはるかに良いという世界を作ることだけが、遠征出産への道を遮断することができるでしょう。