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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    韓国人は国籍を複数所有することができますか?
  • A.
    現在20歳の浦項スティーラーズのゴールキーパーのキム・ロマン、今は引退したプロ野球選手のマシュー・ランデル(Matthew Randel)、ソロ歌手のキム・アルム(Shannon)、サムスンライオンズ所属右腕投手のイ・ケビン、天才子どものイ・カイル、ガールズグループI.O.Iのリードボーカルのチョン・ソミ、少女時代の元メンバーのジェシカ、ジェシカの妹であるf(X)のクリスタル。彼らの共通点が何か分かりますか。

    とても簡単ですよね。質問に答えがありますからね。そうです。全員韓国の国籍以外に他の国の国籍を1つ以上持っている複数国籍者です。おそらく、いきなりこのような質問を出していたら、複数国籍者という正解を当てられる人は何人もいないと思います。複数国籍を持った韓国人が非常に稀だからです。

    上記に列挙したリストに加えて、複数の国籍を持つ韓国人はもっといます。本当にまれに韓国と日本の国籍を両方持っている人もいますよね。代表的な人物が、ロッテグループのトップである辛格浩(シン・ギョクホ)です。辛格浩会長は重光武雄という素敵な日本名も持っています。

    辛氏家の人物のうち、辛会長の長男・辛東柱(シン・ドンジュ)は日本国籍を持っていて、次男・辛東彬(シン・ドンビン)は韓・日の二重国籍を保持していましたが日本国籍を放棄しました。しかし、辛東彬の夫人はまだ2カ国の国籍を両方持っています。辛東彬の長男は英国で生まれたのですが、そのため韓国と日本、英国の3カ国の国籍をすべて持っているそうです。

    日本では大山倍達として知られる極真空手の創始者の崔永宜(チェ・ヨンウィ)も、韓国と日本国籍の両方を持っていたのですが、行政の誤りで国籍が抹消されていない非常にまれなケースに属していました。韓日国交正常化前の1964年に日本国籍を取得したため、韓国の行政当局が彼の日本国籍取得の事実を知らなかったのでしょう。また、日本政府は1985年まで二重国籍を許可していましたから、韓国国籍を持っているという事実を問題視していなかったのでしょう。

    韓国では韓国人、日本では日本人として通じる人物である辛格浩と大山倍達は、日韓両国で妻を迎えて重婚をしたという点も似ていますね。

    • < 極真空手創始者の大山倍達(1923~1994) >

    もう少し異色的な複数国籍者は、サッカー選手の鄭大世(チョン・デセ)です。鄭大世の父は慶尚北道義城(ウィソン)出身の韓国人で、母は朝鮮国籍の在日韓国人です。鄭大世は日本で総連系朝鮮学校に通いながら、北韓(北朝鮮)により忠誠心を抱き、2007年から北朝鮮代表としてプレーすることになりました。ものすごい突破力で人民ルーニーというニックネームも得たんです。

    北朝鮮は韓国や日本で正式承認された国ではないため、北朝鮮の国籍取得を法的に認めていませんでしたが、鄭大世を北朝鮮代表として認めてほしいという北朝鮮サッカー代表チームの要求をFIFAが受け入れ、暗黙的に韓国と北朝鮮の二重国籍者になりました。

    • < 鄭大世の北朝鮮のパスポート >

    注目すべき韓国の複数国籍者は、カトリック教の枢機卿らです。故・金寿煥(キム・スファン)枢機卿はもちろん、鄭鎭ソク(チョン・ジンソク)、廉洙政(ヨム・スジョン)枢機卿もみな、韓国以外にバチカン市国のパスポートを持っています。枢機卿ではありませんが、チャン・インナム大司教も教皇大使の資格でバチカン市民として複数国籍を所有しています。

    考えてみれば韓国で複数国籍を持つ人があまり多くないという事実を容易に知ることができるでしょう。韓国は兵役忌避を防ぐために、2010年までには複数国籍を許可していなかったのです。

    そうするうちに2011年の国籍法が一部改正され、例外的に複数国籍を許可し始めました。アジアでは、台湾、フィリピン、ベトナム、香港などのわずかである複数国籍許容国に編入されたのです。

    韓国政府が認める複数国籍者は、2010年5月以前に兵役義務を終えた先天的複数国籍者、先天的に複数国籍を取得した女性、結婚移民者、満65歳以上の高齢者、特別帰化者です。彼らが複数国籍を行使するためにも条件が付きます。どのような条件かというと、韓国では韓国籍だけを行使するという条件です。

    あまり難しくない条件だと思うでしょう。しかし、深い意味が含まれているんですよ。韓・米複数国籍者が韓国で罪を犯すと、韓国法通りに処罰を受け、米国大使館に逃げて米国政府の庇護を受けられないように足枷を掛けたのです。韓国にいる際に、戦争が起これば韓国人として徴集される可能性もあるでしょう。

    複数国籍者には警察などの公務員になるにも一部制約が伴います。

    注意すべき点は、後天的に得た複数国籍は許可されていないという事実です。韓国で生まれ育った男性が、兵役も終えて米国に渡り、苦労の末に米国市民権者となれば韓国国籍は自動的に喪失します。国籍法の抜け穴を掘り下げて、今後、韓国国籍を回復することはできますが、原則的に後天的に得た複数国籍は許可されません。また、複数国籍の許可国もすべての国が含まれていはいません。複数国籍を許可する国、例えば米国や欧州、香港などだけが可能です。

    韓国と日本の国籍両方を持ちたい。これはなかなか難しい願いなのかもしれません。日本は日本国籍を持つ人に、外国国籍の離脱に努力するよう義務付けているからです。