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  • Q.
    ユン・ジョンシンが率いるミスティックエンターテイメントについて教えてください。
  • A.
    ユン・ジョンシンが率いるという言葉が合っているのかはよく分かりません。もともとはユン・ジョンシンが作ったミスティック89が母体となって規模が大きくなった会社であり、みんなユン・ジョンシンがこの会社の代表だと思っているのですから、当然ユン・ジョンシンが率いるべきでしょう。

    しかし、2016年の6月にミスティックエンターテイメントの新しい首長は、IU、Brown Eyed Girls、ガインなどのアルバムをプロデュースしたチョ・ヨンチョルさんが務めることになりました。チョ・ヨンチョル代表の選任事実を知らせる報道資料には、ユン・ジョンシンの去就についての言及は1行もなかったそうです。そのため記者が尋ねました。ユン・ジョンシンはどうなるのかと。

    「経営はチョ・ヨンチョル代表が務め、ユン・ジョンシンはミュージシャンなどのアーティストを育成する仕事をする。以前からそうしてきており変わりはない」というのが会社側の回答でした。

    ミスティックエンターテイメントの規模が大きくなりながら、音楽、演技、バラエティ番組などの各分野に進出し、今では会社の看板となるアイドル歌手も披露するほどになったため、芸能企画社らしい経営をするだけの人が代表を務めることになったという意味でしょう。実際、オーディション番組である『プロデュース101』にミスティックは所属事務所の練習生を送り、アイドルグループを準備中なのではないかという観測が出回ったりしました。

    この点がこれまでミスティックを応援してきたファンたちが、心配そうな目で見ている部分でしょう。ミスティックはアイドルの溜まり場である他の芸能事務所とは明らかに違った歩みを見せた会社だったんです。元々の出発からそうでした。

    ミスティックの前身は、ユン・ジョンシンがぽつんといた個人事務所「シンスタウン」です。歌謡界で笑い話として言及されるユン・ジョンシンの2代目の音楽奴隷ハリム(1代目はユ・ヒヨル)が軍時代にユン・ジョンシンに抜擢されて一緒に過ごし、チョ・ジョンチが合流して2011年にミスティック89が発足されます。

    実質的に会社の形を備えたのはミスティック89からです。ミスティック(MYSTIC89)という会社名は、1989年にデビューしたユン・ジョンシンが特に苦労もせず、神秘的なほどに仕事がすらすらと進んで行ったとし、自身のデビュー年とMYSTICを合わせて作ったものです。

    • < ユン・ジョンシン、ハリム、チョ・ジョンチの3人のトリオ・シンチリム(信治琳)。家族アクターズの所属芸能人たちが同じ事務所となった後、シンチリムのミュージックビデオにかっこいい俳優が出演し始めた >



    本格的にミュージシャンのスカウトをする前に、ユン・ジョンシンとチョ・ジョンチ、ハリムは「シンチリム」というトリオを構成して活動したりもしました。ミスティック89が発足し、ユン・ジョンシンは『私は歌手だ』に出演しながら親交を深めたキム・ヨヌを引き入れましたね。そして、審査員と出演者として出会った『スーパースターK シーズン2』のチャン・ジェインらを迎え入れるなど、『スーパースターK』に出演した新人歌手を抜擢しました。キム・イェリム、ト・デユン、エディ・キム、パク・ジェジョンらがこのようにミスティックで同じ釜の飯を食べることになったのです。

    2014年3月、俳優ハン・チェア、オ・ジウン、シン・ソユルらが所属していた家族アクターズと合併しました。会社名は少し長めに「ミスティック89そして家族」に変わりました。ついでだったのか、4カ月後の同年7月にBrown Eyed Girlsのガインが所属していたエイポップ(APOP)エンターテイメントとも合併しました。エイポップエンターテイメントはロエン(LOEN)エンターテイメントにいた芸能人の一部が出て立ち上げた会社です。

    Brown Eyed Girlsのメンバーのうち、ガインだけはエイポップ所属で、残りはネガネットワークに所属していましたが、幸いなことに2015年10月、残りのメンバーらもエイポップに移籍し、グループが「成人ドル」として活動することに支障がなくなりました。

    ここまでのミスティックの歴史を見ると、ある程度お分かりかもしれませんが、合併で規模が大きくなる前のミスティックはマイナーミュージシャンたちの溜まり場、所属事務所がなく活動が困難な歌手の夢を実現するために勇気を与える活力の場でした。ユン・ジョンシンやチョ・ジョンチ、ハリム、キム・イェリムたちは自分だけの音楽領域を構築する歌手でもありました。ミスティック89の設立時にバラード歌手のソン・シギョンが「ミスティックに移籍するか?」と苦心した理由もそこにあるのでしょう。

    相次いだ合併とともに、歌手、俳優、コメディアンが続々と合流しましたが、こうなるほどにミスティックのアイデンティティは曖昧になっていきました。ミスティックが歌手の会社なのか、俳優の会社なのか、それともコメディアンが集まる会社なのかを知ることが難しいという指摘が相次いで出たりもしました。エディ・キムが『Paldangdam』とイ・ソンギョンとのデュエット曲『Sweet Kiss Like Coffee』で体面を生かしたりもしましたが、パク・ジェジョンのアルバムに対する反応は芳しくありませんでした。

    その中でミスティックの柱であった歌手パク・ジユン、アナウンサー出身のパク・ジユンと歌手キム・イェリムは契約が終わると事務所から離れて行きました。

    • < 歌手キム・イェリムがミスティックを離れてから、「社長が休暇をくれない」という彼女の発言が注目されたりもした >



    2015年、主要放送局の年末授賞式で所属芸能人らが賞を受賞したり、候補者として挙げられたりもしましたが、アルバムや音源への反応はありませんでした。ユン・ジョンシンが歌手以外にバラエティ分野で活躍したからでしょうか? ミスティック所属の歌手たちが過度にバラエティ番組の出演が多いという話も出回ります。毒舌で有名なMCキム・グラがMBC『ラジオスター』で、「またユン・ジョンシンの会社の芸能人が出演した」と言い、棘の混ざった冗談を言ったほどです。

    矛盾した部分ではありますが現在、ミスティックで最も活動が盛んな所属芸能人はソ・ジャンフンとキム・ヨンチョルです。ミスティックが追求していた音楽はどこに?

    ファンたちが残念がるわけです。キム・イェリムがミスティックを去った理由も理解できるという声も聞こえます。ミスティック所属ラッパーのBrayは、Mnet『SHOW ME THE MONEY 5』に出演したのですが、「会社がケアしてくれるのか」というプロデューサーからの質問に「がんばれと言ってはくれるが、それは通行人にも言えること…」とも答えました。

    異なる分野の3社が合併し、ミスティックは総合エンターテイメント会社としての地位を得ましたが、システムがまだ整っていないようでもあります。アイドル企画会社として進むのか、アーティストが自身の夢を育てて行けるように支援する専門企画会社として進むのか、会社のアイデンティティもいまだに確実ではないようですね。

    このような悩みを解消できれば、ミスティックエンターテイメントはSMエンターテイメントやYGエンターテイメントの後に続く芸能界の主役になる可能性もあるでしょう。

    2016年9月現在のミスティックエンターテイメント所属芸能人

    ▶ ミスティック89
    シンチリム(ユン・ジョンシン、ハリム、チョ・ジョンチ)、キム・ヨヌ(歌手)、Puer Kim(キム・ビョル / バークリー音大出身)、Muzie(ダンスデュオUVメンバー)、チャン・ジェイン(スーパースターK2の主人公)、エディ・キム(キム・ジョンファン、スーパースターK4)、チャン・ハンジュン(映画・バラエティ監督)、キム・ウニ(ドラマ作家 / チャン・ハンジュンの妻)、イ・ジヨン(アナウンサー)、ソ・ジャンフン(バスケットボール選手出身芸能人)、チョン・ジヌン(2AMメンバー / チュムシンチュムワンで有名)、キム・ヨンチョル(コメディアン) 、パク・ジェジョン(スーパースターK5)、015B(1990年X世代を象徴するグループ / チョン・ソグォン、チャン・ホイル)、チョ・ギュチャン(シンガーソングライター)、Postino、Bray(ラッパー)

    ▶ 家族アクターズ(俳優会社)
    ハン・チェア、オ・ジウン、シン・ソユル、パク・シヨン、アン・ミナ、パク・ヒョクグォン、キム・ギバン、ハ・ジェスク、キム・サグォン、ユ・ジュヘ、イ・ギュハン、キム・ソラ、キム・ソンウン、大谷亮平、チャン・ジュンユ

    ▶ APOP
    チョ・ヨンチョル(プロデューサー)、Brown Eyed Girls(ジェア、ナルシャ、ミリョ、ガイン)、チョ・ヒョンウ、イ・ミンス、キム・イナ、チョンドゥン(歌手)、ミンソ(スーパースターK7出身)