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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    あくびは伝染しますか?
  • A.
    記者クラブの招待で済州島(チェジュド)に講演に行ったことがあります。ずいぶん昔のことですが、考えただけで身がすくむような恥ずかしいことなので、なかなか忘れられません。

    昼食を食べて一番前の席に座って順番が来るのを待っているのに、眠すぎて先に講義した人が何を言ったのか、いつ終わったのか全く覚えていません。横にいた後輩が指で私を刺しました。

    「先輩の番だよ、起きて」

    一気に目が覚めました。
    あくびが出るのを見つからないように手で口を覆い、伸びをする動作を無理やり我慢しました。

    壇上に上がると「今まで居眠りをしていた奴が何を言うのか聞いてみよう」と睨む目があちこちで見えました。

    「眠いですよね?私も同じです」
    言い訳だとしても、一言話してから準備した資料を講演台に置こうとしたところ、あちこちであくびをする姿が目につきました。まだ始まってもいないのに、もう退屈なのかと思いました。逆にやる気も出てきました。

    講演資料はほったらかしにして、出席者のほとんどが聞いたことのないユーモアを並べました。
    おかしな話で起こそうとしましたが、あくびを隠そうとする手は相変わらずでした。
    おそらく、筆者のあくびがセミナー場を伝染させたようです。

    あくびが伝染するのですか?
    そうです。でも伝染という表現は、少し合わないでしょう。

    人はもちろん動物もあくびをします。
    飼っている子犬や猫があくびをすると、飼い主もあくびをします。

    進化した動物ほどあくびを長くするという説もあります。人間のあくび時間は平均6秒で、動物の中で最も長いです。

    あくびは眠い時に出る症状だと知っている人がほとんどでしょうが、そうでもないです。
    脳に酸素が不足していたり、脳の温度を下げる必要がある時に出る自然な現象という説明も何か足りません。

    サバンナの草原をふらついているライオンもあくびをし、10万人の観衆が見守る中、スタートライン上で緊張した五輪出場選手があくびをする場面が目撃されたりもします。人はお母さんの子宮の中であくびを習って出てくると言います。赤ちゃんがあくびをしているのか、お母さんたちは分かると言われますが筆者はよく分からないです。大学の入学試験を受ける学生たちは試験用紙を待ってあくびをする時もあります。

    とにかく疲れたり退屈だったりして、脳に酸素が不足してあくびをすると誤解しては困るという意味です。

    健康な人は寝る直前や目が覚めた直後によくあくびをしますが、本格的に活動を始める前に目を覚ますことを予告しているようです。起きている状態の変化があくびを誘発するとみる学者たちも多いです。

    一説によると、あくびを「呼吸器のオルガスム」と呼ぶこともあるそうですが、健康なオスのネズミがあくびをしながら勃起をするという事実からすると、ある程度一理あるように思えます。

    テーマがあくびの伝染性でしたね

    伝染といっても、新型コロナウイルスのような伝染力はないです。隣の人があくびをしたから真似するのではありません。

    2005年にドイツとフィンランドの共同研究チームがあくびの伝染について研究をしましたが、他人があくびをするからといって真似るのではなく、無意識に出てくる行動だという研究結果を出しました。

    脳研究者のスティーブン・プラテックは新しい観点からアプローチしました。人々があくびをする時に反応する態度を比較しましたが、個々人によって特に高い反応を見せたり低い反応を見せるという事実を確認しました。あくびビデオを見せると、感情移入がうまくいく人たちがより簡単に、より頻繁にあくびをする事実が明らかになりました。もう少し具体的に知るために脳の反応を調べた結果、共感の感情が生まれる時、脳の特定の部分が作用しました。

    あくびは伝染ではなく、共感でした。
    「私も退屈だ」であくびをするのではなく、「君の気持ちを理解している」という共感の表れでした。

    あくびは知る人ぞ知る最も早くて確実な意思伝達の手段なのです。