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[FOCUS] デパートが「三顧の礼」で迎えた味の名家

  • 「わしらはいまでも石臼で緑豆を手ずから挽いてピンデットクを作るがね。ミキサーで挽いた味とくらべてみんかね」。

    去る29日、夕方に訪れたソウル市鍾路のクァンジャン(広蔵)市場「スニ屋ピンデットク」の前は、まるで弘大のクラブの店先を連想させた。中国人観光客など、信じられないほどに押し寄せた人波のせいで、人が歩いているのではなく押されて進むというぐあいだ。

    チュ・チョンエ社長(62)をはじめとする、チュ家の5人兄妹が運営するここは、クァンジャン市場の名物だ。すっきりとして高級感あふれるイタリアン雰囲気に熱狂する20・30世代までが、少し汚れて落ち着かない、あまりさえないこの店を訪れるようにさせる魅力、それは見かけはからっと香ばしくて中はしっとりとした、まさに「名物ピンデットク味」だからだ。

    まわりでは、4000ウォンのチヂミ一枚売ろうと、客と相手をするにも狭い店の中に石臼を置いて一日中緑豆を挽くと言うが、主人はそしらぬ顔だ。チュ家の兄妹は喜んで狭い店に石臼を引きずり込み、休む暇もなく緑豆を挽く。石臼は朝から夕方まで、休む暇もなく回る。チュ社長は、「緑豆をミキサーで挽くとこんな味は出ない」とする。ミキサーで挽いた緑豆の生地は、粘り気が劣りもち米を塩梅する必要があり、そうすると特有の柔らかな食感が消えるということだ。

    もうこの頃になると、入店条件が気難しくて有名な大型流通業者の方からスニ屋を訪ねてきた。市場を揺るがす味ならば、中・上流層が集まるデパートや大型マートの客も好むだろうという判断からだ。イーマート側の提案で2013年6月、イーマート竹田(チュクチョン)店に臨時店舗を開いたところ、月の売上げが1億ウォンをかるく越えた。伝統市場で人気を呼んだ地域の味の店が、特別な味と地域代表性まで備えて市場商圏を生かし、デパートや大型マートに「三顧の礼」をこえて「五顧草廬」をさせている。

    現代デパートは束草(ソクチョ)中央市場の名物「マンソクタクカンジョン」のポップアップストア(一時店頭)を最近、2年連続で5店舗に出させた。売上げは一日平均5000万ウォン、1週間に3億5000万ウォンに達した。キム・グンソン新世界副社長は、「日本のように差別化された味と衛生的な包装を備えれば、伝統市場もいくらでも生き残ることができる」とし、「大型マートの営業を規制で制限するよりも、このように一緒に生きる道を探すのが真の共生」だと語った。
  • 毎日経済_パク・イネ記者/チョ・ソンホ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-01-31 04:01:03