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[I ♥ 建築] ヒキガエルの家の美術館

    韓国人であれば、誰しも子供のころに公園の砂場で「ドゥコビジプ(ヒキガエルの家)」を作る遊びをした。手を砂の中に入れて、その上を砂で覆った後にしっかりと固めてから慎重に手を抜き取る。そうすると、中に空洞のある砂の山ができる。これがヒキガエルの家だ。中の空間を大きくするために子供たちは慎重に土を掘り出す。欲張って一度に掘り出そうとすると、結局、崩れてこの遊びは終わる。より大きく広いヒキガエルの家を作るために、雨が降った後の濡れた砂を使用したりもした。私たちは子供のころ、一度くらいは建築家だったのだ。

    日本の建築家・西沢立衛氏は、美術家・内藤礼氏と一緒に、このヒキガエルの家を建てる原理を利用し「豊島美術館」を作った。豊島美術館の製作過程は次のとおりだ。

    先に土を人の背より高く積み、緩やかな丘を作る。きれいにその形を整えた後、その上にビニールを敷く。ビニールの上に2つの穴を作って、これを避けて鉄筋を配筋する。この時、鉄筋がビニールに触れないように、一定の隙間を作って設置する。最後に、コンクリートを注ぎ、鉄筋を覆う。コンクリートが固まった後に穴から土を掘り出し始める。まるで砂場でヒキガエルの家を建てるように土をすべて掘り出すと、通常の木材の鋳型ではとうてい作れない美しい曲面の薄い貝殻のようなコンクリートの屋根が出てくる。積まれた土は、ヒキガエルの家をつくるときに、公園の砂場の中に埋めた手で、注いだコンクリートはヒキガエルの家の濡れた砂に該当するものだ。建築では、このような構造を貝殻のようだとして「シェル(shell)構造」と呼ぶ。

    内部は、まるでローマのパンテオン(Pantheon)のように貝殻のような円形の構造体で、中に穴が開いていて日光も入って雨も吹き込む。大きな穴から鳥が飛び込んできて、飛び回って遊んで再び別の穴から出たりもする。美術家・内藤礼氏は、床に目に見えない穴を開けて水が一滴ずつ上がって来るようにした。滑らかな防水処理のされた床の上で、この水は表面張力によって集まったり、流れたりもするし、風によって散ったりもする。子供たちが遊ぶ原理を利用した建築家の創造的な構法と美術家の詩的な装置が合わさって、これまでには感じることができなかった自然が完成する美術館が建てられたのだ。
  • 毎日経済_弘益大学建築学科ユ・ヒョンジュン教授 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-06-11 17:26:31