記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
コラム > FOCUS

韓国でもバイオブーム、シルラジェンに続け

    • < 世界のバイオ産業、急成長 >

    ウイルス癌を治療する新技術で投資家の注目を集めている韓国のベンチャー企業のシルラジェン(SillaJen)社は最近、大当たりをとった。シルラジェンは「ワクシニアウイルス」の遺伝子を操作して、体内の癌細胞を捉える画期的な技術を持っている。その技術で開発したものが新概念の抗がん剤「ペクサベク(Pexa-Vec)」だが、4月に米国食品医薬品局(FDA)からグローバル第III相の許可を獲得した。 2006年に設立してまだ売上げはないが、店頭市場で同社の株価は3万ウォンを上回る。昨年の4月は一株5000ウォン程度だったことから、1年めでなんと500%も高騰したわけだ。時価総額はすでに1兆ウォン以上という話も聞こえる。ペクサベクが最終臨床を通過すると、ブロックバスター新薬として大当たりするだろうという期待からだ。

    最近も数多くの個人投資家、ベンチャーキャピタル、機関投資家らがシルラジェンに投資するために列をなしている。 FDAの承認を受けて世界の多くの国で臨床第III相を進める韓国企業はシルラジェンが初めてだ。臨床III相はある程度確認された薬効を、多数の患者を対象に最後に効能を確認するプロセスだ。

    韓国のバイオ産業が再び動き始めている。セルトリオン(CELLTRION)社は2012年、ヨーロッパで世界初の抗体バイオシミラー(複製バイオ医薬品)「レムシマ(Remsima)」の許可を獲得した。セルトリオンのレムシマの許可取得は、業界でバイオシミラー市場を開拓した功労として受け入れられている。韓国の分子診断試薬の専門企業シージェネ(Seegene)社は、この分野で世界1位の技術力を持っている。分子診断は遺伝子情報を分析し、マーズのような呼吸器疾患をはじめ肝炎や結核など、様々な病気を診断する尖端技術をいう。次世代医療の核心として評価されている。

    韓国のバイオ企業のこのような成果は、しっかりとした技術力を土台にしている。世界的な技術力に資金まで殺到し、これまでとは質的に異なる全盛期を迎えているという評価だ。 2000年代初め、ドットコムバブル(1次)と黄禹錫(ファン・ウソク)博士の幹細胞論争(2次)に触発された過去のブームとは異なり、最近のバイオブームは世界が注目する成果と技術力を通じて、持続して成長可能なファンダメンタルズを備えているというわけだ。業界によると、国内のバイオ市場は2011年の2兆8000億ウォン台から年平均11%成長し、2020年には16兆ウォン台の巨大市場を形成すると期待される。韓国未来創造科学部の関係者は、「バイオ産業はITに続いて、わが国の経済を生かす救援投手」とし、「2024年の世界のバイオ市場は現在、韓国の3大輸出貢献産業である半導体・化学・自動車などの世界市場を合わせたものよりも大きい2兆6000億ドルの巨大市場を形成するだろう」と予想した。

    バイオブームはたんに韓国だけの現象ではない。市場調査会社のデータモニター(Datamonitor)によると、世界のバイオ市場は2013年の330兆ウォンから2020年には635兆ウォン台規模に急増する見込みだ。バイオ産業は国民の健康と経済成長という二匹のウサギをともに捕まえる産業で、各国が積極的に育成しているからだ。

    こうした中で、韓国は個別対応医療や誘電体医学などのパラダイム変化を迎え、尖端・融合技術を土台にこの分野で世界的リーダーになれると予想される。未来創造科学部の関係者は、「韓国のバイオ技術力は他の分野とは異なり、世界をリードするグループに位置している」とし、「融合医療機器、幹細胞、遺伝子治療などでは世界最高の技術と1~3年以内のギャップに過ぎない」と説明した。

    一部ではシルラジェンなど最近、店頭市場を中心に吹いている過度な投資熱気を指摘している。最終的な結果が出てもいないのに、過度に高評価されているという憂慮の声だ。

    韓国バイオ協会(KoreaBio)のオ・ギファン政策開発支援本部長は、「バイオは産業の特性上、多くの時間と労力が必要なので長期的な視線で、慎重に投資を決定しなければならない」と語る。しかし、バイオ業界はむしろ「より多くのシルラジェン事例」が出なければならないと主張している。国家の全幅的な支援を受けた電子・重工業・IT産業とは異なり、製薬・バイオ産業が頼れる分野は民間投資しかないという切迫感からだ。バイオ企業のジェノミクツリー(Genomictree)社のアン・ソンファン代表は、「バイオは限られた国土、貧弱な資源の韓国が頭脳だけで成長を持続できる最後の産業」だと語った。
  • 毎日経済_釜山=イ・ヨンウク記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-07-24 04:01:05