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[I ♥ 建築] チャムチャミョンなソウル

    先日、友人が「自分はソウルの江南(カンナム)に住んでいるが、江北(カンブク)のほうがはるかに楽だ」という話をした。彼の言葉によれば、江南に行くと、全体主義の一部となった感じがして、江北に行くと個人が尊重されているような印象を受けるというのだ。そして「江南でずっと育った妻は、江北より江南の方が好きだ」と付け加えた。その友人の奥さんは江南は予測が可能だが、江北は予測が不可能だから不安だということだった。

    江北は初期には鄭道伝の計画があったが、ほとんどの場合、計画的にデザインされた都市というより、自然発生的に作られた町だ。江北の道は地形に沿って流れていた水の道がのちに車道になった場合が多い。過去の主な交通手段は、単に歩いたり馬に乗ることだった。人や動物は上り坂を避けて、等高線に沿って平らな道を行き来したものだ。そのため、道はすべて曲がりくねっている。だから江北に行くと、私たちの視界はほとんど100メートルを超えることが難しい。道の前にはつねに何かが見える。近景はあるが、中景はなく、遠く南山が見える程度だ。悪く言えば息苦しく、良く言えば居心地の良い雰囲気だ。道が複雑なため、当然予測が不可能だ。あちこちに行かなくてはいけない人はイライラするだろうが、隠れて休みたい人には最適な静かな空間だ。

    一方、江南は全知的視点で地図上に定規を使って道を描いた都市だ。江南は合理的な格子型の道路だ。直線の道路に立つと、遠くまで眺望することができる。そして、格子型は移動したときに予測可能な空間だ。江北がベネチアのようであれば、江南はニューヨークのような都市だと言えるだろう。空間的な特徴を見ると、江北は壁が中心となった閉ざされた空間であり、江南は道が中心となった開かれた空間だ。江北の閉ざされた迷路のような空間は、可愛らしくて居心地がいい。四方が開かれた江南の予測可能な空間は、初めて来た外地の人が簡単に慣れることができる空間だ。どちらがより良いかを決めることは難しい。

    とにかくソウルは、この二種類の都市形態を一つにした空間だ。料理で言うなら、チャジャンミョンとチャンポンを一皿に合わせた「チャムチャミョン」のような都市だと言えるだろうか。漢江はチャムチャミョン用の器の仕切りだ。これがソウルの競争力だ。
  • 毎日経済 ユ・ヒョンジュン 弘大建築学部教授 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-09-09 17:23:23