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韓国のチキン専門店は「自営業供給過剰の象徴」

全国民が毎月一匹ずつ食べてこそ「チキン店」は生きながらえる 

    • < 供給過剰により厳しいチキン店 >

    老後対策をきちんとたてていなかった退職者は、ありふれて創業第1順位に考えるのがチキン専門店だ。しかし、韓国のチキン専門店は「自営業供給過剰の象徴」と言っても過言ではないほど、供給過剰が深刻なことが分かった。これは毎日経済が農林畜産食品部、農村振興庁、チキン専門フランチャイズ「BBQ」などの資料を利用して、国内チキン市場の供給と需要を独自分析した結果だ。

    まず韓国の大型チキンフランチャイズの内部統計によると、チキン専門店として創業して月500万ウォンの家計純収入を得るためには約2000万ウォンの売上げを上げなければならないし、このためには1匹あたり1万6000ウォンするフライドチキンを一日平均45匹売らないといけない。

    月500万ウォンはチキン専門店を運営する創業者らが最も好む目標で、保健福祉部が発表した4人家族基準の中位所得439万ウォンに投資金の機会費用などを含めた水準と類似している。

    KB金融持株経営研究所の調査によると、国内には約3万6000店のチキン専門店がある。国内のチキン専門店が平均月500万ウォンの所得を得るためには、一日に約162万匹(3万6000×45匹)のチキンを売るという計算が出てくる。年間単位でみると、国民1人当たり11.5匹の鶏を食べなければならない。タクタリ(鶏足)の数では約23個だ。それでは需要側面から見てみよう。

    国内にチキン需要に対する正確な統計はないが、ニワトリの消費量などを通じて推定みることはできる。農林畜産食品部によると、国民1人当たりの年間鶏肉消費量は11.6キログラムだ。平均800グラムのニワトリを基準にすると、1人当たり年間14.5匹のニワトリを消費することになる。このうち「サムゲタン」や「タッカルビ(鶏カルビ)」などを除いて、揚げ物などのチキン製品として消費されるニワトリの割合は32.7%(農村振興庁調査)レベルだ。国民1人当たり1年間で約4.6匹ずつチキンを食べているわけだ。結論的に、需要に比べて供給が多すぎるわけだ。国内チキン専門店が月500万ウォンの収入を得るためには、全国民が1年に7匹ずつチキンを食べなければならないわけだ。

    このような供給過剰現象は、チキン専門店の廃業・休業現況にもそのまま現れている。国内のチキンフランチャイズ業界によると、チキン専門店が創業後3年以内に店をたたむ割合は50%に迫る。 チキン専門店事業を開始したが、2人に1人は投資資金の回収どころか借金が残るわけだ。それでも比較的参入障壁が低いため、毎年何千ものチキン専門店が新たに登場する。一部では、チキン専門店に代表される自営業者の供給過剰現象は、家計負債問題の主要な雷管のひとつだという指摘が出ている。多くの創業者らが借金をして店を開いたが、事業に失敗した場合は融資金の回収が難しいからだ。

    韓国銀行によると、チキン専門店などの自営業貸出は今年の6月末現在222兆ウォンで、前年比で12.3%増加した。これはウォン貨全体の融資増加率7.5%を大幅に上回る水準だ。

    • < 全国のチキン店、どれほど多いか >

    ソウル市江北区でチキン専門店だけを10年以上運営してきたキム某さん(59)は、三か月前にチキン専門店を思い切ってたたんでフルーツジュースの店を開いた。この夫婦がチキンの代わりにジュースを選んだのは、これまでチキン店の収入が減り続けたからだ。

    最盛期には各種付帯費用を除いても一ヶ月に500万ウォン以上の収入を上げることもあったが、昨年からは300万ウォン以上を確保することも難しい境遇に陥った。キム某さんは「これまで味とサービス一つでなじみ客をたくさんかかえていたが競合店がかなり増えたうえ、人々が間食として食べる食べ物の種類もチキンに加えて多様化し、店の運営が難しくなった」と語る。

    現在、国内のチキン専門店は約半径1キロメートルごとに1つ存在すると推定される。しかし、国内全体の面積を対象とした推定値であるため、公園や山や川などを除けば実際の国内チキン専門店ははるかに狭い間隔で立ち並んでいることがわかる。

    チキン専門店の数も年ごとに増えてきた。景気不況で職場から隠退した高齢者らがチキン店の創業で生計を立てるケースが増えて生じた現象だ。実際に、統計庁によると国内のチキン店舗の数は2007年の2万3622店から2011年の2万9095店を経て、2013年には3万1469店に増加した。しかし、集計されていないチキン関連の自営業を考慮すると、実際の国内チキン専門店の現在数は3万6000店に達すると推定される。

    2013年を基準にして、全国人口1万人当たりのチキン店の店舗数は6.6店、1万世帯当たり18店を上回る。 10年前の2003年に人口1万人当たりの店舗数が3.9店だった点を勘案すれば、10年のあいだにチキン店だけで2倍近く増加したわけだ。また、統計庁が全国事業調査を実施して産業詳細分類項目に配置した「チキン専門店」は、文字通りチキンだけを専門的に売る店なので、ここにはチキンをつまみに出す居酒屋などはいっさい含まれていない。ホップチブ(ビヤホールあるいはビールバー)のなかでチキンのつまみを強調して、「チメク」などのメニューを前面に押し出している店まで合わせれば、国内チキン店の乱立はさらに深刻なことがわかる。

    競争に勝てず、廃業するチキン店も続出している。 KB金融持株経営研究所の分析によると、2002~2011年の国内チキン専門店の中で休・廃業した店は5万ヶ所に達する。年間のチキン専門店の退出比率も2009年以降は増加傾向を示していて、同年に17%で2010年は20%、2011年には21%と増え続けた。チキン専門店の平均生存期間も2.7年で、個人事業者全体の3.4年よりも短いことが分かった。

    廃業しなくても供給過剰で手にする収入は多くない。国内チキンフランチャイズ業界の推定値によると、月500万ウォン以上の収益を出す店は30%に過ぎず、300万~500万ウォンが約40%だ。月300万ウォンを得ないところも30%に達している。

    チキン店が乱立して競争が激しくなると、加盟本部や個人自営業者は自分だけの新メニューを考案したり、これを広めるために少なからぬマーケティング費用を投資する。しかし、このようなコスト投入がストレートに収益拡大につながるという保証はないし、コストを増やしても収益は拡大されないという悪循環が繰り返されている。

    創業専門家らは、「引退後はチキン創業」というこれまでの安逸な創業構想から外れて慎重な検討が必ず必要だと口をそろえる。 KB金融持株経営研究所の関係者は、「チキン専門店の創業後、年平均900万ウォン以上の所得減少が発生すると集計され、無給家族従事者を考慮すれば、実質所得の低下幅はさらに大きくなるものと推定される」とし、「資金調達計画と損益分岐点などを綿密に計算して創業しなければ、失敗する可能性が高い」と語った。
  • 毎日経済_ソン・イルソン記者/ソ・ジヌ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-09-17 17:50:24