記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
コラム > 人物

韓美(ハンミ)薬品、5兆技術輸出…鍾路の薬剤師から製薬の巨人に

ハンミ薬品「新薬開発は私のいのち」 

    韓国の製薬会社には「真夏の夜の夢」のようだったグローバルな新薬に対する宿願が現実化している。その第一歩を林盛基(イム・ソンギ)ハンミ薬品会長(75)が踏み出した。

    韓美(ハンミ)薬品は去る5日、グローバルな製薬会社仏サノフィ(Sanofi)社との総39億ユーロ(約4兆8000億ウォン)規模の技術輸出契約を結び、超大型「ジャックポット」を叩き出した。

    イム会長がふだん「グローバルな新薬開発は私の命とも同じ。しっかりとしたグローバルな新薬をひとつ作り上げるのが生涯の夢」だと語ってきた長年の宿願が成就したわけだ。イム会長に大ヒットを抱かせた製品は、バイオ医薬品の薬効持続時間を伸ばす技術を適用した、持続型糖尿病新薬「量子プロジェクト」だ。

    2015年はイム会長に特別な意味を持つ。去る3月、グローバル製薬会社の米イーライリリー(Eli Lilly)社に自己免疫疾患の治療剤「HM71224」を6億9000万ドルで輸出したことに続き、7月には抗がん剤の候補物質(HM61713)の技術を独ベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim)社に7億3000万ドルで売った。

    イム会長は製薬業界に足を踏み入れて48年めに、韓国の製薬の歴史を新たに書いている。イム会長は中央大学薬学科を卒業した後、1967年にソウル市の鍾路5街に「イム・ソンギ薬局」を開いた。当時、イム会長は直接自分の名前を掲げて薬局の営業に乗り出し、他人を気にする性病患者を積極的に治療しつつ有名になった。 「その当時、ベトナム戦争直後なので性病患者が非常に多かったんです。イム会長は自分の名前を挙げて、私は何を気兼ねするのかと梅毒患者を丹念に治療してくれました」。ある周辺の人物が聞かせてくれた逸話だ。

    ハンミ薬品の母胎となったイム・ソンギ薬局は、ある程度の資金が集まるやいなや1973年にイム・ソンギ製薬を設立し、同年には仲間の薬剤師とともに商号を韓美(ハンミ)薬品に変更して再創業を宣言した。薬局を直接経験したイム会長の経験を盛り込んだハンミ薬品は、一線の薬剤師が最も好む製薬会社としても有名だった。 「他のものはとにかく、営業力だけは最強」という評判を聞くことになる。薬局に特化した製品とマーケティング、親切な営業担当者でうわさになったおかげだ。

    ハンミ薬品は2000年代初頭までは製薬業界10位圏をぐるぐると回る小さな会社だった。しかし2010年、研究開発の代表走者に変貌して業界の先頭圏に打って上がってきた。

    その種はイム会長の人並み外れた経営哲学のおかげだった。イム会長は、創業当初から「薬はジェネリック医薬品であれ合成新薬であれ、必ず独自開発して売らなければならない」という信念を持っていた。会社で稼いだ金はわき目をふらずに新薬開発に注ぎ込んだ。これは最終的には技術の蓄積につながり、グローバルな製薬会社に成長する重要な基礎になった。

    イム会長は機会があるたびに従業員に「他人が行かない道を、他人より一足先に行かなければならない」と話している。 2004年、アムロジピンの改良新薬「アモディピン(Amodipin)」を出すとき、韓国で初めて改良新薬という概念を使用した。その後に改良新薬がブームを起こすやいなやイム会長は、2009年に国内初の複合新薬「アモサルタン(Amosartan)」を出し、米メルク(Merck)社とアジア6カ国の著作権契約を締結した。

    イム会長が新薬開発に「オールイン」する理由は、営業をいくら上手くやっても後発医薬品のみの製造はいつかは危機を迎えるという信念のためだった。 2010年に史上初の赤字を記録したときに、「投資を削減し、一度収益を出そう」という内外の激しい要求に黙々と耐えて、イム会長は新薬開発に積極的な投資を続けた。

    ハンミ薬品の研究開発費用の規模と割合は断然国内1位を走る。これまで10年間の累積の研究開発投資額は8000億ウォン台だ。最近の5年間に新薬開発に注ぎ込んだ金は5000億ウォン規模だ。昨年だけで売上げの20%に相当する1525億ウォンを研究開発に投資した。

    ハンミ薬品が2004年から2013年までに出願した特許の数だけでも300件に達している。これまでハンミ薬品は「他の者が行かない道」を行く歩みを見せた。韓国の製薬業界に改良・複合新薬ブームを起こし、圧倒的な研究開発を通じて新薬開発に邁進し、医薬品の流通革命を主導したのがそれだ。

    製薬業界の歴史を新たに書いていくハンミ薬品の歩みを世界が見ている。
  • 毎日経済_イ・ビョンムン医療専門記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-11-06 16:32:51