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2015年の韓国経済、成長率は再び2%台…統計数字を通じて対応を模索

2015韓国経済の誤解と真実 

  • 2015年の韓国経済、成長率は再び2%台に落ちて危機感が高まっている。これまで以上に客観的な視点から経済的現実を探って見て、新たな対応を模索しなければならない時だ。しかし、一部では依然として過去のデータと誤った数値を見て韓国経済を論じることが多い。問題となっている韓国経済の現実に対する誤解と真実が何であるかを、公信力のある統計数字を通じて暴いた。

    • < 原油価格が10%下落したとき生産・消費が少しだけ上昇 / GDP比の黒字率高く >

    ■ 所得分配さらに悪化? NO

    ▶ 原油安は祝福(誤解)
    海外輸出ともに減り、造船・油化業種に暗雲


    1980年代半ばの韓国経済は「3低好況(低ドル・原油安・低金利)」を享受した。原油価格が低くなればそれだけ生産コストが減り、輸出競争力が高まったためだ。エネルギーの海外依存度が90%台後半であるうえに、重化学工業中心の産業構造であることから韓国経済は原油価格に敏感に反応したりもした。

    しかし最近の原油価格はバレル当たり30ドル台(ドバイ原油の現物基準)で、昨年の半分にも満たないにもかかわらず、経済が良くなる兆しは見えない。

    経済の専門家らは、海外需要の減少を原因として挙げる。 1980~1990年代は米国や欧州などの主要輸出市場が好況で消費を増やしたが、最近では欧州が不況の中にあり、主要輸出相手国である中国経済がはっきりしないことから、なかなか海外需要は伸びないだろう。韓国開発研究院(KDI)によると、国際原油価格が10%下落するときに、1988~2002年には国内総生産(GDP)の成長率が0.31%ポイント上昇する効果があったが、2001~2014年には0.16%ポイントの上昇効果だけを享受した。

    むしろ低い原油価格は、韓国経済に災難になりうるという指摘も出ている。低い原油価格が長期化すればするほど、原油価格に敏感な造船・海運・石油化学産業はターンアラウンドに失敗する確率が高くなるからだ。

    ▶ 二極化がひどくなった(誤解)
    高齢者の貧困は減少し、ジニ係数と5分位倍率はやや改善

    • < ジニ係数は少し良くなり / 高齢者世帯の相対的貧困率は小幅減少 >

    世界金融危機以降、韓国で「富益富貧益貧(富める者は益々富み、貧しい者は益々貧しくなる)」状況が悪化しているという認識が支配的だ。しかし様々な指標を見てみると、韓国の所得分配はかなり改善されている。所得不平等の程度を表示するときに主に使用される「ジニ係数(Gini's coefficient)」を見てみよう。ジニ係数は0~1の間の値を持つが、0に近いほど所得が均等に分配されたということを意味する。韓国のジニ係数は、世界金融危機の影響で2008~2009年には0.314に高騰したが、2012年に0.307まで下がった後はずっと安定を維持している。統計庁が集計した昨年のジニ係数は0.302で、2006年以来の低水準だったし、今年も似たようなレベルと見られる。

    「富益富貧益貧」のレベルを示す指標である「5分位倍率」も改善された。 5分位倍率は、所得最上位20%層の平均所得を下位20%層の平均所得で割った数値だ。高ければ高いほど、高所得層に富が偏っていることを意味する。今年の第3四半期の5分位倍率は4.46倍で、昨年の5.41倍から改善された。

    依然として高い水準とはいえ、高齢者の貧困も状況が良くなった。高齢者世帯の相対的貧困率は、基礎年金導入前の2013年の47.9%から昨年は43.8%に4.1%ポイント減少した。

    ▶ 生産人口の減少は災難(誤解)
    独の強力な労働改革...人口増加率が低くても成長

    • < ドイツ・イギリス、人口減っても成長を維持 >

    よく日本の「失われた20年」の原因として、少子化に伴う生産可能人口の減少を挙げる。実際に、日本では1990年代の人口増加率は0%台に落ち、今まで不況から抜け出せずにいる。

    韓国は日本よりも速い速度で生産可能人口の増加率が鈍化し、より大きな懸念を生んでいる。事実、2001年の合計特殊出生率は1.297人で、超低出産国に進入した後、韓国の潜在成長率は3~4%を超えられずにいる。 KDIによると、韓国の人口傾向が今のまま維持されれば、2026~2030年の潜在成長率は1.8%まで落ちる。

    しかし、生産可能人口の減少は必ずしも低成長につながるわけではない。代表的な国がまさにドイツと英国だ。 1990年以降、人口増加率が1%を超えなかったドイツは2003年以来、いわゆる「ハルツ改革」を推進し、強度の高い労働改革と構造調整を推進して成長は止まらずにいる。ユーロ圏(ユーロ使用国)全体の成長率が0%台にとどまる中で、ドイツは1%台の成長を維持した。英国も1980年代にマーガレット・サッチャー元首相の強度の高い構造調整で、経済を反騰させた経験がある。

    ■ 経常収支は多い方が得?(誤解)

    ▶ 経常収支の黒字は過渡(真実)
    今年1120億ドルで最大…GDP比で6%ほどを占めて過度


    今年の韓国は、史上最大の1120億ドルの経常収支黒字を記録する見込みだ。これまでは「経常収支の黒字が多ければ多いほど、経済がしっかりしている」という認識が強かった。

    しかし、最近では輸出よりも輸入が減って生じる「不況型黒字」に対する懸念の視角と同時に、「経常収支の黒字幅が過度だ」という認識が支配的だ。数字上でもこのような懸念は真実に近い。今年に入って10月まで、原油価格の下落に伴う経常収支の改善幅は約315億ドルで、この数字を除けば、昨年の1~10月に比べて経常収支の黒字幅はむしろ103億ドルも少ない。原油安にともなう不況型黒字が正しいわけだ。また、過去の主要先進国が1人当たり国民所得2万ドルから3万ドルに向かっていた時代、国内総生産(GDP)比での経常収支の黒字幅は1~4%の水準だった。たとえば日本では、3万ドルを達成した1992年のGDP比での経常収支の黒字は3.0%だった。しかし韓国は、昨年の時点でこの数値が6.0%と非常に高い。

    特に先進国は海外投資を活性化して、外国からの配当と利子を受け取った所得(本源所得)を増やし、経常収支を管理する方法を使っている。昨年の時点で、韓国のGDP対比の本源所得は0.3%に過ぎず、日本(3.7%)、フランス(2.4%)、ドイツ(2.3%)に比べて大幅に少ない。

    ▶ 物価0%台なのに経常成長率が5%? (真実)
    原材料価格の下落でGDPデフレーター上昇

    • < 政府の経済見通し >

    政府が発表した今年の実質GDP成長率は2.7%で、消費者物価指数(CPI)の上昇率は0.7%に過ぎない。ところが、物価が含まれる経常成長率はなんと5.0%にもなる。経済を少し知っていると自称する人も、「なぜ物価が0%台なのに経常成長率が5%なの?」と疑問を持つ。しかし経常成長率5.0%という数字は真実だ。

    これを理解するには、経常成長率に使用された「物価」の概念が消費者物価とは異なる点に注目しなければならない。経常成長率は実質GDP成長率に「GDPデフレーター」を加えて計算される。 GDPデフレーターは消費・投資・純輸出(輸出から輸入をマイナス)など、国民経済全体の物価水準を示すことから、消費者物価を含む概念だ。ほとんどの場合、消費者物価とGDPデフレーターは同じような方向に動く。しかし、今年のように、原油価格の下落などの複数の理由から交易条件が改善される場合は、GDPデフレーターは消費者物価の上昇率をはるかに超える「逆転現象」が発生する。

    正確ではないが、より簡単に理解するにはGDPデフレーターの純輸出項目を見てみるとよい。純輸出デフレーターは輸出物価の上昇率から輸入物価の上昇率を引くとよい。けっきょく、原油安で消費者物価が落ちたことよりも、純輸出デフレーターがはるかに大きく上がり、経常成長率が5%を記録することになったわけだ。

    ▶ 韓国は自営業者の墓場(真実)
    フランチャイズ増え、自営チキン店など減少

    • < 非賃金労働者の割合、韓国は最高水準 >


    「40・50代で名誉退職するとチキン店の社長。とは言え10ヶ所のうち8ヶ所は滅びる」という噂は、統計的に何度も実証された真実だ。韓国は全世界で類を見ない「自営業の墓場」となっている。

    韓国のような自営業者の定義はないが、似たような統計である経済協力開発機構(OECD)の2012年非賃金労働者の割合の数値を見ると、韓国は28.2%でOECD平均の15.8%よりもはるかに高い。

    将来が不安な自営業者が多いため、消費活性化にも悪影響を及ぼすという分析がしきりに出されるほどだ。しかし、古いこの真実の中にも新たな事実が一つ発見される。自営業者の割合が減少傾向に入ったということだ。今年の第3四半期にのみ、昨年の同じ期間に比べて自営業就業者数が13万6000人も減った。

    「成功することは容易ではない」という噂が広がったからなのか、自営業への進入規模も年々減っている。勤続1年未満の自営業就業者は2011年に64万8000人に達したが、今年は50万人を超えないだろうという推定が出ている。また、一人で働く1人自営業者は少なくなってきており、フランチャイズはさらに増える傾向にある。「大企業ベーカリーでなければ滅びる」という自営業の俗説も統計で証明されたわけだ。
  • 毎日経済_キム・ギュシク記者/チョ・シヨン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2015-12-18 16:55:46