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[コラム] 寄付を遮る公僕…215億を寄付したら225億の税金が

全財産を奨学団体に寄付して税金に苦しむ工学博士の話 

    貧民村で生まれてあらゆる苦労を経験しながらも、26歳で大学に入学した人がいます。大学を卒業した後にフランスに留学し、工学博士号を取ってKAISTの教授になりました。25年前に「スウォンキョチャロ(水原交差点)」という生活情報誌を作り、たくさんのお金も稼ぎました。

    今年で70歳になるファン・ピルサン博士の話です。苦労の末に楽が来る、というようなことを強調したいわけではありません。彼が奨学​​財団を設立したのですが、税金爆弾に見舞われた事情を紹介しようと思ったのです。

    ファン博士は、自分も奨学金があったから学業を終えることができたと、全財産のほとんどを奨学事業に投げうちました。「スウォンキョチャロ」の株式90%と現金15億ウォンを合わせて215億ウォンの財産を寄付し、大学はそのお金で奨学財団を設立しました。これが2003年のことです。

    ファン博士はもちろん、大学側も税金については気にしなかったようです。現行法では、どんなに良いことでも寄付した財産が株式である場合、発行済み株式の5%を超えた部分に対してはつ税金(贈与税50%)が賦課されます。税金回避を目的として、財団に寄付することを防ぐための法的装置です。

    この規定によると、このときすでに100億ウォンの税金を払わなければならない状況でした。ところで、財団はあまりよく知らずにいた状態で、税務署も静かにいました。家計の苦しい学生に奨学金は支給されていきました。

    ところが、6年も経ってから水原税務署長が財団に、140億ウォンの贈与税を払うようにという処分を下しました。贈与税100億ウォンに、それまで税金を払わずにいたことから加算税が加わったのです。そのお金を出してしまっては、奨学事業も終わりです。財団は取消訴訟を起こすしかありませんでした。

    この事件を担当した判事は苦心の末に原告、つまり財団の側に立ちました。税法の規定を超える判決でした。ファン博士が財団を管理したり、寄付したお金に対する権利を主張していないという現実を考慮した勇敢な判決でした。

    とは言え、高法(高裁)では判決が覆されました。「悔しいだろうが、法は法だ」という文字通りの解釈に忠実だったわけです。財団としては出すお金がないため、大法院(最高裁)に上告しましたが、4年が経ってもまだ結論が下されていない状態です。

    この間にも税金を払っていないことに対する加算税が付いて、今では225億ウォンを支払わなければならない局面です。財団にはお金がないため、ファン博士に連帯責任を求める納付督促状を送っているというのですが、ファン博士も全財産を寄付した状態なので、税金を出すお金はないありさまです。

    今まで延べ2400人が奨学金を受け取りましたが、税務署が財団のお金を押収したことから前学期には、奨学金も渡すことができなかったそうです。

    なぜこのようなことが起きたのでしょうか。法を執行する公務員や、司法部が硬直しているからです。ファン博士は変則的に経営権を世襲することではないという事実を確認した後にも、税金を出せと督促することは硬直、この理由以外には何もないでしょう。

    各財閥が変則承継を行いながらも税務専門家が抜け穴を作ることから、司法部や行政当局は手も出せずにいる状況で、罪もない人だけが痛い目にあっている局面です。大法院が判決を先送りしている理由も​​、このような状況を知っているためでしょう。ところが、裁判が長くなったことにより生じる加算税を考えると、加算税の相当部分は裁判所が支払わなければならないという気にさえなります。

    ファン博士は自分が運営する情報誌に「お金があれば喜びは買うことができても、幸せは買えない」というコラムを書いたことがあります。自分には多すぎる富だとして全財産を差し出した彼から、無能な公務員が幸せを奪っていきます。
  • O2CNI Lim, Chul / 写真=KBS放送画面キャプチャ | 入力 2016-01-10 08:00:00