記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
コラム > FOCUS

[FOCUS] 「ソロエコノミー」…ひとりで酒を飲むホンスル族増える

彼女も「ホンスル」に陥った… 

    ソウル市新川駅に位置したB飲み屋は、「快適な1人掛け」をキャッチフレーズに掲げている。この店のすべてのメニューは1人分を基準として提供され、すべての座席には個別にコンセントが設置されている。携帯電話でドラマを見るなど、「ホンスル(ホンジャ/一人、スル/酒)族」が自分だけの時間を楽しんでいる。

    会社員のパク・サンヒョン氏(31)は会議や会食で疲れときはここを訪ね、一人で酒を一杯傾けて心を癒すという。彼は「サッと食べて席を空けなければという心理的圧迫がない。余裕たっぷりにスマートフォンでゲームやビデオを楽しみながら、気持ちよく飲んで出ます」と語った。

    1人世帯の増加と飲食業界のサービスの多様化がかみ合い、会社員らの間で「ホンスル族」が急速に増えている。集団の顔色を見て「ナ(私)」よりも「ウリ(私たち)」が優先される会食の席が「苦役」だった会社員に、一人で酒を楽しめる「ホンスルチプ」が口コミに乗り始め、関連のニッチ市場が大きくうごめいているというのが業界の傳だ。

    ホンスルチプを標榜するところが増えている。ソウル市往十里のWソンスルチプ(立ち飲み屋)は「静かにおすごしの方のみ歓迎します」というキャッチフレーズで営業する、ホンスル族の名所だ。仕事帰りの会社員らが訪ねるこの店は、10席あまりの椅子と2つのテーブルが全てだ。ここのキム社長(仮名)は「一日を終えて心地よく休める場所を重視するコンセプトで店を始めましたが、(ホンスル族の)反応は期待以上に良い」と語る。ソーシャルネットワークサービス(SNS)に上がってきた「ホンスルチプリスト」は、ホンスル族のあいだで人気を集めている。

    ホンスル族に男女の区分がないという点も興味深い現象だ。ソウル市延南洞のBレストランは、パスタとワインを楽しむ20・30代の会社員の女性が訪ねるスポットとしてあげられる。会社の関係者は、「だいたい退勤時間帯に合わせて(女性客が)訪ねてくるけれど、軽い食事にワイン1~2杯を楽しんでいくという特徴がある」と説明した。

    ホンスル族は、「会社の仕事でしじゅう人に会うので疲れている」とか、「仕事帰りに時々立ち寄って、一人で酒を飲むとあれこれ悩んでいたことを忘れることができる」とし、現代社会の複雑なネットワークに対する、各人それぞれの解消法として一人で飲むと説明した。

    ホンスル族をターゲットとする飲食業界のサービス戦略は、これらのホンスル族の消費潜在力とかみ合っている。 Bレストランを代表するハ氏(仮名)は、「一人で来る客を迎えて、売上げのためにサービスを疎かにすることは絶対にない」とし、「一人で来る方が多くなればそれも良いし、これらの方が後で友人と一緒に来ることもあり、売上げの心配はない」と語った。

    S寿司代表のキム氏(仮名)も「一人で来る方は団体に比べて売上げが少ないのは事実だが、明らかなことは一人で来る方の需要が確かに存在するということだ」と強調した。

    専門家らは会社員を中心としたホンスル族は、現代社会の特徴である「ナホルロ族(一人族)」の多様な形態のひとつと説明する。ソウル大のキム・ナンド教授は著書『トレンド・コリア2013』で、自分の慰安のために惜しみなく投資する「一人族」の購買力は「ソロエコノミー」という言葉を生み出すほどに、産業の各分野に質的な変化をもたらしていると強調した。慶煕大学外食経営学科のキム・テヒ教授は、「一人でご飯を食べる者同士が集まるソーシャルダイニング・プラットフォームも国内外で活発に運営中」だとし、「ホンスル族を狙った新種のメニューとサービスの開発競争がさらに加熱するだろう」と予想した。
  • 毎日経済 ペク・サンギョン記者/パク・ユング記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-02-21 10:27:26