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[筆洞情談] 金福酒の男尊女卑主義

    「育児休業もクソもない結婚をして子を産む瞬間にトイレで涙を流し、搾乳機持ち歩いて(母乳を)絞っている」

    1980年代でも聞くかどうかという暴言だ。大邱慶北の中堅酒類企業である金福酒の企画チーム長が結婚した後、会社を辞めないという女性社員に最近発した言葉だ。2011年に同社に入社したが、女性は結婚の話を知らせてすぐ会社から退社の圧力を受けた。この社員が対抗しようとすると、会社はとんでもない部門に転補発令を出してしまった。

    男女差別の禁止、仕事・家庭の両立などが社会的モットーとなっている2016年、女性大統領時代に大韓民国で起きたことだなんて信じ難しい。 30年前の1987年に制定された男女雇用平等法は、婚姻により差別されない権利を明示している。ところが、すでに消えたと思われた「結婚退職制」という幽霊がよみがえって仕事をしようとする女性たちの足を引っ張っている格好だ。

    1957年に設立された金福酒は、過去58年の歴史の中で事務職の女性社員が結婚した後に勤めた前例がないという。人妻になった瞬間に会社を辞めるという時代錯誤的なルールを適用してきたという話だ。参焼酒で大邱・慶北地域焼酎市場の80%を占めている金福酒はハン・イェスル、イ・ダヘ、カン・ソラなどの女性芸能人を起用し、市場を拡大してきた。また、まろやかな味を強調し、女性を対象に自社商品をマーケティングして金を稼いだ。その一方で、人妻は会社で働く資格もない人と考えるなど驚くべきことこの上ない。

    結婚退社制が堂々と維持されている会社ははたして金福酒だけだろうか。表面にあらわれてはいないが、女性を差別する第2、第3の金福酒が少なくないだろう。形態は異なるが、運転手を常習暴行した蒙古食品、大林産業のオーナーなどの変わっていく社会の雰囲気を把握できず、「私の言葉が法」と過去の慣行に捉われて企業を運営する人が1人2人ではない。

    女性団体が不買運動に乗り出し消費者の非難が殺到すると、金福酒のキム・ドング会長は男女雇用平等法を守り、社会貢献に乗り出すという謝罪文を出した。女性の社会活動を妨げる悪徳企業が並んでいるから青年たちが結婚、出産を忌避するのだ。雇用労働部は、男女雇用平等法に違反した事業場の管理監督を強化しなければならない。いつまで女性は「結婚と出産が罪なのか」と嘆き、無知蒙昧な企業と戦わなければならないのか。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-03-31 17:09:30