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スペインをとりこにしたクラシックギタリスト…チャン・デゴンは誰?

爪が折れたら接着剤でつけて演奏 

    ギタリストのチャン・デゴン(40)の右手の爪だけ長かった。ギターの弦を弾くためだ。一方、弦をつかむ左手の爪はとてもしっかりと切っていた。

    手から職業があらわになる彼は、「爪が楽器だ。折れると瞬間接着剤でつけるか、薄いシルクテープを巻いて演奏する」と語った。

    女性のようになめらかな手でギター宗主国のスペインをとりこにした。2009年にマドリード国立音楽堂シンフォニーホールで開かれた、スペイン国民音楽家ホアキン・ロドリーゴ死去10周年追慕音楽会の主人公は彼だった。アランフェス協奏曲などギター音楽の絶頂を成したロドリーゴへ捧げる音楽演奏者として、韓国のギタリストが選定されたこと自体が異例的だった。

    スペインで「ダエクン(Daekun)」と呼ばれる彼の演奏が終わるなり、涙を流す人が多かった。ジプシーの哀歓と通じる韓国的な恨と余白の美が調和した旋律が、観客の琴線に触れた。

    韓民族の個性が西洋音楽と出合いながら、さらに豊かな音色をつくり出したようです。スペインの師匠であるオスカー・ギリア先生が、ひときわ私の音楽を好まれました。限りなく伸びても瞬間的に強い力で強烈で、節度あるスペイン音楽を消化するといいます。"お前はテコンドーをして音楽に気合を入れる術を知っている"と言われました」

    独特さと余裕、流麗さが調和した彼の旋律は、国際コンクールをさらった。1997年、韓国人で初めてスペインのマリア・カナルス国際コンクール3位に上がった。ルイス・ミラン国際コンクール、ククルカン国際コンクール、サラウツ国際コンクール優勝を勝ち取るなど、20余りの大会で入賞した。学縁と地縁なく、ただ実力で成し遂げた成果だ。

    「他国の土地で新米の音楽家チャン・デゴンをどのように知って演奏会に呼んでくれるでしょうか。コンクールが唯一の登竜門でした。大会での副賞により演奏会の機会をいただき満足でした。コンクール受賞金は生活費に充てました。幸いにも運がついてきてくれて実を結びました」

    狭い門を通過した秘訣は、早期留学だ。彼は1991年、ソウル永東高校1年の時、ギターの音にはまった。父母にせがみ、単身でスペインのバルセロナに行った。スペイン語も知らないまま、無謀な夢だけで出かけた留学だった。それでも、ギターが好きで一日一日が楽しかった。3年後、巨匠ホセ・トーマスの弟子になるため、休養地のアリカンテに行った。3年後にはスイスのバーゼル国立音大でトーマスのライバル、オスカー・ギリアから学んだ。

    ギターの精髄を学ぼうと故国に戻ってきた彼が、4番目のアルバム「ヒストリア」(アウロスメディア発売)を出した。ルネッサンスとバロックから現代音楽まで、音楽の歴史を盛り込んだ。英国の作曲家ジョン・ダウランドの「前奏曲」と「幻想曲」、バッハのヴァイオリンパルティータ2番「シャコンヌ」と「メヌエット」、ギターのベートーベンと呼ばれるスペインのフェルナンド・ソルの「悲歌風幻想曲」などが収録されている。

    「ギターを通じ、西洋音楽史を聞かせたかったんです。2番目の夫人を哀悼するバッハの"シャコンヌ"には、喜怒哀楽が全て入っています。"悲歌風幻想曲"は、ソル自身の死を暗示したレクイエムのようです。全ての句節に事情がにじみ出ています」
  • 毎日経済_チョン・ジヒョン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2014-05-09 16:07:25