記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
コラム > オピニオン

[コラム] 選びたい人はいないのに、投票しろと言う

有権者の権利に「候補拒否」はないのか 

  • 近所の居酒屋、定食屋、さらには文房具店から集金する利権を巡って争っていた暴力団が休戦を宣言しました。毎日ケンカをしていたため、組織員のほとんどが病院に運ばれてしまい、喧嘩をする不良を集めることも簡単ではない状態だったため、休戦は予見されていたものでした。

    組織の親分たちが久しぶりにお酒を飲むために集まりました。お互いに殺気を込めて睨んだりもし、時には訳の分からない笑顔も見せて、和解とはかけ離れた暮らしをしてきたため、ぎこちないばかりの席でした。そのとき、一人の親分が「どうせなら一つになりましょう」と一言投げかけます。

    「全国組織になろうというのか」
    「まあ、言うなら」
    「それはいい。上手く行ったら。でも、誰が会長になるんだ」
    「民主時代なんだから、投票で決めましょう」
    「誰が投票するんだ」
    「民主時代だから、組織員全員が投票しないと」

    そこで 、史上類を見ない暴力団の親分を選ぶ投票が行われました。親分が全員出馬するため、候補が乱立しました。このままでは可能性が少ないと考えた群小の親分たちが、力のある組織に近づいたり、時には自分たちだけでどうにかしようと意気投合したりもして、選挙の日が目前に迫っているにも関わらず、20%以上の支持率を獲得した親分はいませんでした。

    中には選挙を後悔する者も増えてきました。
    「兄貴、俺たち、これ、やんなきゃいけないんですか」
    「おい、お前たちが投票してこそ俺が会長になるだろう」

    もどかしい気持ちから書いた作り話です。投票は民主市民の権利であり義務だと言いますが、必ず投票しなくてはいけないのかという質問を投げかける人も少なくありません。支持する候補も、応援する政党もないのに、投票場に行くべき理由を見つけることができません。

    政党は、むしろこのような無党派の有権者、投票場を訪れる気持ちのあまりない人を歓迎します。そのような人を除外することが出来れば、自分たちが管理するべき有権者が減るからです。セヌリ党は地域での基盤が固い嶺南、野党は湖南で思う存分候補を立てることが出来るからです。

    4.13総選挙を前にして、与党と野党が候補の公認を選ぶ過程で「真朴」、「親朴」、「非朴」がどうのと言いながら雑音を出し、湖南では「親盧」、「非盧」で争った理由もここにあります。

    政党は無党派には関心がありません。候補者たちが資格未達だからと投票を拒否したとしても、彼らには関係ありません。自分に一票を投票してくれる小数の有権者で十分です。政治家たちは有権者の絶対多数の同意を必要としません。競争者よりも何百票だけ多ければ十分です。子分たちの支持により全国組織の会長を狙う親分のように、自分の言うことを聞く支持者を集めたことで満足します。

    このような現実から、再補欠選挙や地方選挙には有権者の20%未満の支持率で当選する事例が多くあります。去る2014年の国会議員の再補欠選挙で水原市の場合、投票率は27.2%でした。得票率55.7%で当選者が現れましたが、彼はたったの14%が少し超える有権者の支持だけを得て国会議員になったようなものでした。そのような政治家が地域を代表します。自分自身が民意を伝達する代弁者であることを自任します。忙しくて投票できなかった人、めんどくさくて、重要な約束が合って、病気で投票場に行けなかった人の他にも、政治家のすべてを不信して拒否した有権者の審査は眼中にもありません。

    投票を拒否した有権者の声は、決して選挙に反映されません。政治に対する信頼が地に落ち、無党派が増える現実で、政治の現実を拒否する民意が反映される選挙制度が必要な気がします。有権者の25%(投票率50%かける支持率50%)を最低ラインにして、これを超えることのできなかった選挙を無効処理する方法も一つの方法です。

    まあ、そうなると韓国では365日選挙をすることになるかもしれませんが。
  • O2CNI_Lim, Chul | 入力 2016-04-13 08:00:00