記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
コラム > オピニオン

[筆洞情談] 下野

    「私は共和国の大統領職の政務を中断します。この決定は今日正午から有効になります」1969年4月28日に発表されたフランス大統領シャルル・ド・ゴールの下野声明全文だ。本当に短い。五月革命がフランスを席巻した後、開かれた地方制度および上院改革に関する国民投票で敗北すると、彼は権力の座から降りた。簡潔なド・ゴールの下野声明は、後々まで語られている。

    ウォーターゲート事件で守勢に追い込まれたリチャード・ニクソン元米国大統領は、下院で弾劾訴追する直前に辞任した。彼はこのような下野署名を残した。「米国は、任期をすべて終えることができるの大統領と議会が必要だ。私が数カ月間、私自身の弁護のために戦ってきた時間は、完全に無駄になった。そのため、明日の正午を期して退くことにした」嘘を重ねながら持ちこたえ彼だったが、最後には国益毀損を憂慮した。

    下野は「田舎に下りる」という意味だ。大統領が退く時にだけ下野という表現を使う。韓国の憲政史では3人の大統領が下野した。尹潽善(ユ・ボソン)・崔圭夏(チェ・ギュハ)元大統領は、軍部によって座を退いたため、事実上、国民の抵抗による下野は李承晩(イ・スンマン)元大統領だけが該当する。4・19革命で退くことになった李元大統領は、「国民が望むなら大統領を辞任する」とし、「3・15正副大統領選挙に多くの不正があったため、選挙を再びするように指示した」と明らかにした。「不正があったため」という部分では、流体離脱話法が感知される。李元大統領の12年の長期政権はそのようにして終わった。

    朴槿恵(パク・クネ)大統領の3次対国民談話をめぐり議論が分かれている。チョン・ジンソクセヌリ党院内代表は、「事実上の下野宣言」としたが、アン・チョルス前国民の党代表は、「そんなやり方ではハエも鳥だ」と迎え撃った。「もうすべてのものを下ろす」という朴大統領の言葉を額面通り信じたい。しかし、真正性に対する疑いが沸き立っている。「任期短縮」「法の手順に従って退く」「政権を移譲できる方案」などの表現は、改憲を念頭に置いた手口だという指摘もある。憲法を改正し、付則に「任期短縮」を入れる場合、途中で降りることがない任期を満たした大統領になる可能性もある。

    朴大統領の退陣がますます解決しにくい「高次方程式」になっていっている。談話以降、弾劾隊伍は乱れ、各党は大統領選の構図を考慮した算盤はじきに追われている。政局の混乱の中でも、政界が決して忘れてはならないのは、毎週ろうそくを掲げる広場の民心だ。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-12-03 08:58:24