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[筆洞情談] 韓国版ラストベルト
- 慶南昌原（チャンウォン）市城東産業馬山造船所の敷地にあった700トン級のゴリアテクレーンが、先月から解体作業に入った。270億ウォンをかけて作ったこのクレーンは、30億ウォンまで価格が落ちても、買収者に出会いことができず、最近安値でルーマニアの造船所に売られた。このクレーンが今年末、バージ船に載ってルーマニアへと発つ時、馬山一帯は涙の海になるかもしれない。2002年、現代重工業がスウェーデン・マルメの造船所コクムスでたった1ドルでクレーンを買ってくる時、マルメ住民が涙を流したかのようにだ。
14年ぶりに韓国で再現される「マルメの涙」は、国内造船業の衰退を象徴的に示す事件になるだろう。造船・自動車・鉄鋼などの伝統的な製造業者が布陣した釜山、蔚山（ウルサン）、慶南などの東南圏経済ベルトの低迷は深刻な状況だ。9月基準の東南圏の製造業業況BSIは54で、2009年2月（46）以来の低水準を記録した。輸出不振で工場が停止しながら人材の構造調整の厳しい風が吹いている。生産・消費が金融危機以来最悪として陥り、人口エクソダス（集団脱出）も現れている。こうするうちに重厚長大産業を牽引してきた東南圏地域が、韓国版「ラストベルト（rust belt）」になるという懸念も相次いでいる。
米国北東部五大湖周辺の衰退した工場地帯である「ラストベルト」は、1870年代以降100年間、米国の製造業が活況を謳歌して工場ベルト（factory）と呼ばれたが、今ではそれこそ「錆びた都市」に墜落した。自動車メーカーだったミシガン州デトロイト、鉄鋼産業が花開いたペンシルベニア州ピッツバーグなどがこれに属するが、製造業の衰退と自由貿易の拡散で衰退の道を歩むことになった。この衰退した工業地帯の労働者らの怒りが、ドナルド・トランプを米国の大統領に当選させたという分析が支配的だ。「奪われた仕事を返してあげる」という公約に白人労働者らは圧倒的にトランプの手をあげた。経済的不況がポピュリズム化を容認したものだ。
韓国の製造業の急激な墜落を見ていると「ラストベルト」は、米国に限られた問題ではないという気がする。産業のあちこちで警告音が騒がしく鳴っているが、国全体の関心が「チェ・スンシル（崔順実）ゲート」に注がれながら、なかなか体感できずにいる。東南圏経済ベルトの悲鳴と号泣も埋葬されるのではと心配だ。 - 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2016-12-20 17:54:10
