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[筆洞情談] 子路

    子路は 、『論語』に30回ほど登場する孔子の弟子だ。『史記』と『春秋左氏伝』で彼は短気だが義俠心の強い人物として描かれる。司馬遷は彼を性質が荒く勇気と度胸があり、志がまっすぐとした素直な人だと評した。脇侍を自任して儒家を見下していたが、孔子に出会った後に熱血追従者に変身する。しかし、生まれつきの一癖を捨てることができず、孔子と衝突することも多かった。孔子が魏に泊まった時、君主の妻で、いたずらすることで噂になった南子に会ったことをめぐり、不適切な行動とし腹を立てる。これに孔子は「私が悪いことをしたなら、天が許さないだろう」とし、弁明に忙しかった。師匠の高知識さのために、弟子たちが困難に直面した時は、「君子も困窮に陥るのか」と皮肉り、孔子の非現実的な状況認識に対しては、もどかしいといいながら直撃弾を飛ばしたりもした。

    彼の非命の死も妥協しない性格のせいが大きい。孔子が亡くなる1年前の紀元前480年、魏では君主が追い出される政変が起こる。子路は当時、魏の有力者の下で働いた。乱が起きると、ほとんどの人は自身の生きる道を探して逃げたが、彼は自分が仕えていた大臣を救わなければならないと言って、簒奪者らと立ち向かい刀で刺された。最後の瞬間にも「君子は死ぬ時、冠を脱がない」という言葉を残し、剛直さを見せたため普通の人ではない。

    最近、「子路」という名前が改めて注目を集めている。セウォル号の沈没が潜水艦の衝突と関係があるという疑惑を提起したネチズン捜査隊のペンネームが子路だからだ。孔子の弟子である子路を意識して名前を付けたのかは分からないが、非常な側面があるという点で通じる。彼は2012年に、国家情報院の大統領選挙介入疑惑を裏付けるアカウントを見つけ出し、2014年にはチョン・ソングン文化体育観光部長官内定者の政治偏向的な文をイシュー化して有名になった。今回はセウォル号の外部衝突説を盛り込んだ「セウォルX」という8時間49分のドキュメンタリーが議論になっている。海軍潜水艦初代前団長キム・ヒョクス予備役提督が、ソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じて彼の主張に反論するなどと、専門家たちは可能性がないと一蹴するのにもかかわらずネチズンの反応は熱い。セウォル号をめぐる不信の溝がそれだけ深いという意味であるため苦笑するだけだ。
  • 毎日経済 チャン・バクウォン論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-01-01 08:01:00