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[筆洞情談] 偉人伝の教育効果

    今は大きく変わったが、以前は小・中学生の必読書として欠かせない本が偉人伝だった。世宗大王、李舜臣、姜邯賛、乙支文徳のような韓国人もいるが、ジョージ・ワシントンやエイブラハム・リンカーンら米国歴代大統領から、トーマス・エジソンやアンドリュー・カーネギーのような偉人の隊列に入れるべきか不明瞭な人物の伝記まで、教室や図書館の片隅を占領した。「すばらしい人になるには、偉人伝をたくさん読まなければならない」偉人伝をあまり読まなかった大人でさえ息子と娘、甥にこのような訓示をしたりした。

    偉人伝を読むべき理由は単純だ。偉人の一代記は子どもたちに楽しさと感動を与えるだけでなく、人生を生きていくことにも大きな助けを与えるということだ。貧しさと困難を克服し、人類と国家のために貢献した人を見習うべきだという主張に反対する理由はない。しかし、率直に言って偉人伝を読み、人生を変えた人は多くないだろう。偉人伝を読んで面白みを感じたと言う人もあまりいない。先生と大人たちが読めと言うから、無理に読んでいたのであり、そうしてみる歳月が流れ、成人になった時は、一通りのストーリーだけを思い出すだけで、教訓になるようなシーンや内容はほとんど浮かばない。むしろ私たちの周りでよく見られる普通の人の話が、感動を与えて人生を振り返えらせたりする。

    偉人伝のこのような不快な真実を、実際に証明した研究結果が最近発表された。米国アラバマ大学のハン・ヘミン教授の研究チームは14日、国際学術誌『フロンティア・イン・サイコロジー』に偉人伝で教育した時より、友人や家族のように道徳的に不完全な人が見せた模範が、学生たちにより大きな動機の付与になるという内容の論文を載せた。ソウルにある小・中学校の学生を対象に実施した実験の結果だが、偉人伝の教育効果に対する先入観を破ったという点で目を引く。「偉人伝無用論」までではないが、偉人伝を読み間違えれば、副作用を生むかもしれないと研究チームは警告した。

    このように偉人伝が冷遇を受けるのは、大人の言葉なら無条件に従わなければならないという権威主義が崩壊し、水平的な関係が重要になった世相と無関係ではないだろう。世宗大王より成功した芸能人をより尊重する最近の子どもたちに適した倫理教育が何なのかを、真剣に悩んでみるべき時だ。
  • 毎日経済 チャン・バクウォン論説委員 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-02-26 08:28:39