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[コラム] 「トゥイナー」全盛時代

    ある男が食欲をかきたてる音を出しながら、出来立てのカルグクス(韓国風うどん)を一気に食べ尽くす。そして、おいしそうな説明と一緒にまた1杯をさっと注文する。最近人気の下に放映されているあるグルメ番組の司会者のモクバンの場面だ。この番組に登場する男の本来の仕事は食品事業家だが、食べ物という専門分野についての詳細な説明が可能であるのと同時に、気の利いた話術でさまざまなグルメ関連番組の進行を務めるなどと、放送人として活発に活動している。

    また、他の番組ではサッカー解説者がスポーツアナウンサーとコンビを成し、バラエティ番組で頭角を現したところ、完全にプロ芸能人として定着した。

    元運動選手、料理研究家、医師、建築家、弁護士が専門性を持った放送人として、各種バラエティ番組の司会や教養番組のレギュラー出演陣としてよく登場する。

    このように、最近では放送という職業とはまた別の仕事を兼ねるツージョブ(Two Job)現象が増えている。

    彼らからは事実的な話や描写が自然に染み出てくる。また、視聴者に信頼を与えられる専門性が結合されているという点と、芸能人よりは親近感が感じられるキャラクターという点から魅力的だと言える。

    しかし、かつてはこのような場合が極めてまれだった。番組の滑らかな進行や面白みの部分に対する不安感が大きかっただけでなく、専門放送人ではない人が番組に登場することに対する制作陣の偏見も大きかったためだ。

    歌手やコメディアンが演技者として、演技者やコメディアンが歌手をするという芸能人たちのジャンル別の移動も容易ではなかった。放送関係者たちは2つのジャンルに出演する芸能人を「ただ欲が多い人」とみなして非難し、ドラマに出演するコメディアンに「タレント病」と呼ぶほど反感が大きかった。

    筆者はまた勉強と演技を並行するため、多くのPDに「勉強をたくさんした演技者は疲れて負担になるため使わない」とし、1種の職業だけを選びなさいという話をよく聞いたりした。

    しかし、最近ではさまざまな種類を兼ねる万能エンターテイナー(Entertainer)、いわゆるトゥイナー (Tweener)が自然な現象として受け入れられている。トゥイナー は主にスポーツ選手に使用される用語だが、2つのポジションが同時に可能な選手を意味する。トゥイナー はどのポジションにもぴったり合わない曖昧さがありながらも、2つのポジションの両方で活躍できる有用さを持っている。

    きらびやかなダンスの腕前で舞台を圧倒していたアイドルが、チャンネルを回す瞬間、美少年の姿でドラマに登場する光景や専門職業人として成功の道を走りながらも、放送では人間的な姿で視聴者たちに笑いを与え、必要な情報も簡単に理解させてくれるシーンで、私たちは放送トゥイナー の姿をよく接することができる。

    現在の放送環境は視聴率競争の激化により、放送ジャンルを問わず、視聴者を呼び集められるスター交渉が不可欠だ。また、情報と面白さという融合・複合的フォーマットの番組が増加し、特定の分野の知識を備えた専門職の人たちの出演が頻繁にならざるを得なくなった。このような理由から、放送業界でもトゥイナーのイメージが肯定的に変貌するようになったのだ。

    一般的に、トゥイナーは「2羽のウサギを捕まえた幸運」と見るのが容易い。しかし、トゥイナーは1つの職業に没頭している人より情熱が少なく見えたり、誠意が不足して見えるという先入観が挙げられる。随時職業を移動しながら、各分野の特性に合わせて動かなければならないという点で適応しにくい点もある。

    したがって、トゥイナーは数倍の努力と絶え間ない自己啓発が重要だと考える。特に、流行に敏感な放送業界でしっかりとしたトゥイナーとして定着するためには、より専門的でプロらしい放送人の面貌を備えなければならない。このような努力でスポーツ界だけでなく、メディア界でもトゥイナーの役割が積極的に、そして末永く位置づくことを期待してみる。
  • 毎日経済 イ・インヘ慶星大学デジタルメディア学部教授・俳優 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-02-25 06:19:06