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[筆洞情談] 政治終結者の憲法裁

    雪が降った日、安国(アングク)駅2番出口から出て、対向する北岳山の雪景色は、個人的に好きなソウルの風景のうちの1だ。北岳山を眺めながら斉洞道を少し歩いて上がれば、憲法裁判所が現れる。古都ソウルの趣がしっかりとにじみ出る町だ。静まり返っていた憲法裁周辺が、大統領弾劾審判のために冬の間騒々しかった。今年の冬は雪も降らなかったが、雪景色を見に行く意欲も出なかった。

    韓国では数年に1回の割合で、憲法裁判所が政治の舞台の真ん中として召喚される。2004年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の弾劾審判、同年の行政首都移転憲法訴願がそうであって、近年では2014年の統合進歩党解散審判の時もそうだった。その中で今が1番騒々しいようだ。そのたびに凡俗な政治の世界とは塀を積んだように見える憲法裁判官が、「最終政治審判者」として登場する。

    大統領の実情は政治問題だ。韓国のように政治問題を司法機関が審判する制度を持つ国は珍しい。代議民主主義で権力の源泉は国民だ。したがって、選出権力である大統領を非選出権力である憲法裁判所が審判する状況は、政治学的論争の対象になったりする。同じ大統領制である米国は、下院が大統領を弾劾訴追すれば、審判は上院で進行する。普段は副大統領が務める上院議長を、弾劾審判の時だけ連邦最高裁長官が務める。大法院長は判事、上院議員は陪審員、下院は検事の役割をする。英国も上院が首相の弾劾審判権を持つが、弾劾前に内閣が解散する議院内閣制の特性上、有名無実である。米国と英国が弾劾審判権を議会に置いたのは、選出権力はひたすら別の選出権力によってだけ、審判される可能性があるという哲学を敷いている。韓国と似たような憲法裁判所の機能を置いたドイツは、弾劾の対象が大統領と法官に制限されている。ドイツは内閣制国家で、大統領が名誉職であるため憲法裁判所が政治の前面に出ることがほとんどない。

    制度があれば使われることが起こる。だからなのか。10年以上にわたり、大統領が2回弾劾訴追された国は地球上に韓国しかない。政治が解決すべき問題を憲法裁判所にあまりにも簡単に押し付けている。その過程で政治はさらに矮小して無能になった。近いうちに憲法裁がどのような結論を下すにしても、韓国の社会の半分は憲法裁を呪うだろう。しかし、憲法に何の罪があるのか。自分のことを自力で始末できない韓国政治が問題なだけだ。
  • 毎日経済 ソ・ウォンミョン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-03-02 07:56:46